日本人にとっての台湾と韓国:歴史が絆になれば亀裂にもなり

 

2020年が終わって21年が始まっても、隣人に対する日本人の気持ちは変わらないらしい。

産経新聞の記事(2021.1.6)

台湾に「親しみ」78%、コロナ対策57%「評価」、日本人の意識調査、対中感情との差浮き彫り

台湾の駐日大使館に相当する台北駐日経済文化代表処の発表によると、昨年11月に行った「日本人の台湾に対する意識調査」で「台湾に親しみを感じる」という回答が77.6%と、日本人は相変わらず台湾さんが好きだったことが判明。
16年は66.5%だったから、台湾への好感度は4年間で11ポイント以上もアップしている。

日本人が好感を感じるポイントはこんなところ。

台湾人は親切で友好的(77.8%)
歴史的に日本との交流が長い(43.4%)
東日本大震災への支援(34.8%)

新型コロナが落ち着いたら台湾に行きたいという人は49.9%だったから、2人に1人は訪台を待ち望んでいるということか。(調査対象は20~80代の1000人)

また、「台湾は信頼できるか」という質問には67.6%が「信頼できる」と回答し、その理由として「自由と民主主義の価値観」(60.7%)が多かったという。
日本と台湾の関係については「よい」が25.2%、「どちらかといえばよい」が48.4%と、両方を合わせると7割以上の人が良好と考えている。
そんな日台関係をおびやかす不安材料の第1位は「台湾海峡情勢(台湾と中国との関係)による日本への影響」(37.5%)で、次が「ない」(22.9%)という結果。
関係悪化の要素が思い浮かばないという人が多いらしい。

一方、別の調査機関が行ったアンケートでは、中国に「良くない」印象を持つ日本人は89.7%と台湾とはまさに正反対。

こうした実態を踏まえて産経新聞はこう書く。

「日本で対中感情が悪化する一方、台湾への親近感が強まる傾向が浮き彫りになってきた。」

この記事に対するネットの反応もおおむね良好。

・日台友好!
・何食ってもうまい。
何故なら文革から脱出した元貴族が料理人を連れてきたらしい
・台湾は大好きだし、また行きたいが、信頼するのはお花畑脳だと思うぞ
・台湾はタピオカとか?
まあ悪いイメージは無いよ
・今や見かけなくなった台湾バナナ 懐かしいだす

 

台湾のトップ・蔡英文総統はよく日本語でメッセージを発信していて、元旦にはこんなツイートが話題になった。

 

日本の隣人には台湾さんのほかに韓国さんにいるのだが、こちらとは今年も絶望的のようだ。

時事通信の記事(2020年02月08日)

対日信頼度、韓国が最低 東京五輪認知に差―海外6カ国調査

外国の日本に対する「信頼度」を調査したところ、タイ(95.6%)、アメリカ(79.5%)、フランス(76.6%)、イギリス(63.0%)に対して、中国(25.7%)が急激に減って、韓国(13.0%)にいたってはその半分ほどしかない。
日本への好感度も韓国が22.7%と、調査対象国の中でもこちらも最低を記録した。

その理由は言わずもがな。
元徴用工問題・日本の輸出管理強化・軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の韓国の一時破棄決定など、過去の歴史問題とそれに関係する現在の政治問題で韓日関係が冷え切っているからだ。

日本の報道について「関心がある」についてはタイの77.1%につづいて、韓国が2位の75.3%だったから日本の一挙手一投足には気になるらしい。

 

ただ相手国への不信感なら日本も似たようなものだ。

朝鮮日報の記事(2020.10.06)

日本人の文大統領への信頼度、韓国および韓国人への好感度は?

ムン・ジェイン大統領に対して「信頼している」という日本人はわずか2.4%で、ほぼすべての人が政治的には韓国に強い不信感をもっている。
また韓国に「好感を持っている」と回答した人は10.8%とこちらも超低空飛行で、日本に対する韓国の信頼(13.0%)と同じ水準。
ネガティブな印象なら日韓はほとんど一致している。

 

そんな台湾と韓国には日本統治という同じ歴史をもっている。
その期間は韓国の35年(1910~45年)よりも、台湾(50年:1895~1945年)のほうが長い。

同じ経験があってもその見方がまったく違い、台湾では日本時代の光と闇を伝えていて、その時代の出来事を現在の政治問題にして日本に謝罪や反省を要求することはない。
ムン政権が歴史問題を何度も蒸し返すから、「信頼している」は2.4%にまで低下したのだ。

台湾では日本時代をネガティブに考えるのではなくて、特に建物については新しい魅力を加えてよみがえらせ、観光などで積極的にアピールしている。

中央通訊社のこの記事には、台湾の中心都市・台北市に残る日本時代の警察署と倉庫をみごとに再生させたとある。(2019/07/19)

新たな生命を吹き込んだ同市政府文化局の修復・再活用プロジェクトが、台湾建築業界の最高栄誉とされる「国家卓越建設奨」でそれぞれ賞を獲得した。

日本時代の建物を修復・再活用 台北市のプロジェクトに台湾の建築賞

 

この2つの建物は台北の新しいランドマークになっていて、今回の受賞によって、台湾での文化財保存が一層推進されることとなったという。

 

これはリニューアルされた日本統治時代の建物

 

日本人にはどこかなつかしい。

 

 

台南市の市役所は、台南神社があったところに記念碑を設置した。
そこには昭和天皇が皇太子時代に、この地へ視察に訪れた様子も紹介されている。

 

上3点の画像は台湾情報を発信してくれているHsu Hsuさんのもの

 

これに対し韓国では、日本統治時代につくられたものは「残滓(残りカス)」と呼ばれていて、撤去の対象になることが多い。

中央日報の記事(2019.12.10)

「少女像のそばに日帝残滓があるとは」忠州朝鮮殖産銀行の保存が論議の的に

この建物の復元に反対する住民たちは「植民残滓を税金を投じて保存するのは正しくない」、「植民残滓であり凶物になった殖産銀行建物を復元するという忠州市の決定は歴史の本末を忘れた行動」と主張している。
*日本時代の建物は「凶物」と呼ばれることもアリ。

社会にこんな空気があるから、もしムン大統領が日本語で「あけましておめでとうございます」なんてメッセージを出したら、政権支持率を直撃する大騒動になる。

 

先ほど日本人が台湾を好きな理由のひとつに、「歴史的に日本との交流が長い」があった。
過去の歴史によって絆を深める台湾と、それが理由となって印象が悪化する韓国は本当に対照的だ。
「ランドマーク」と「凶物」という呼び方がそれを象徴している。
両者のこの違いは多くの日本人が気づいているし、日台関係と日韓関係が反比例する傾向は2021年もきっと変わらない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。