慰安婦論文:米教授への攻撃に、韓国の外国人教授「差別的だ」

 

フランスが生んだ世界的な哲学者ヴォルテールが、民主主義の精神や言論の自由をあらわすイケメンな言葉を残した。

「私はあなたの意見に反対だ。だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」

 

彼は、人間の理性を信頼し、自由を信奉した。ヴォルテールの活動として最も有名なものは、腐敗していた教会、キリスト教の悪弊を弾劾し是正することであった。

ヴォルテール

 

当時、ヨーロッパ社会に絶大な影響力をもっていた教会(キリスト教)を批判したため、ヴォルテールの本は『禁書目録』に指定された。

さて、強大な「空気」を否定した勇気のある人なら現代にもいる。
米名門大学のラムザイヤー教授が『慰安婦は性奴隷ではなかった』と論文に書いたことで、疑うことも許されない真実『慰安婦=性奴隷』説を否定された韓国はパニック状態におちいった。

これについてはすでに、慰安婦が性奴隷だったという根拠がひとつもなかったことから、日本政府や韓国の知識人らが以前から主張してきたことで新しい話ではない。
でもそれを第三国の、しかも世界的に有名なハーバード大学教授から指摘されたことで、韓国社会はいま大騒ぎだ。

反論があるのなら、慰安婦が性奴隷だった証拠を突き付けて、教授の論文を破壊すればいい。
だけど、ないものは出てこないからそれはできない。
それで韓国のメディアや政治家は「歴史を歪曲した」、「妄言を吐いた」と教授が論文を書いたことを非難している。

ほかにもこの教授の肩書きに「三菱日本法学教授」とあることから、それをターゲットにしぼって個人攻撃をする手法もある。

たとえば韓国の全国紙・中央日報のこの記事だ。(2021.02.03)

「慰安婦は売春」と主張の米ハーバード大教授、公式肩書きに「三菱」含む

企業が大学に寄付することは韓国企業もしているはず。
それに公式肩書きに「三菱」を含んでいることは、ハーバード大学が認めていることで何も問題はない。
ないけれど、「日本から金をもらって論文を書いた」という方向に読者を誘導しようとする。

これは同じく全国紙・ハンギョレの社説(2021-02-04)

ラムザイヤー教授はハーバード大学ロースクールの「三菱日本法学教授」だ。第2次世界大戦当時、朝鮮人を動員して強制労働させた戦犯企業である三菱が寄付した100万ドル(約11億ウォン)で作られた地位だ。

戦犯企業の支援を受ける米国学者による「慰安婦」歪曲

 

これを読むとまるで三菱の100万ドルによって、ラムザイヤー氏がハーバード大教授になったような印象を受けないだろうか。
もちろんそんな事実はない。
こういう誘導記事は、教授のそれまで功績やそれを評価した人たちを否定するものだ。
教授が支援を受けて、日本に都合のいい論文を書いた事実もない。

結局、『慰安婦=性奴隷』説の根拠を示すことができないから、こうやって論文や教授に悪印象を持たせるようなことをする。
全国紙がそうやって国民感情をあおるから、いま韓国の大学生や市民団体が論文の撤回を求める抗議活動を行っている。

 

慰安婦問題については、「私はあなたの意見に反対だ。だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」の精神がいまの韓国社会にはほとんどない。

「学問の自由」や「表現の自由」が死につつある状況を見て、韓国の大学を拠点とする2人の(おそらくアメリカ人の)准教授、ジョー・フィリップス氏とジョセフ・イ氏が声を上げた。
彼らは非難ではなく論議が必要だと訴えて、教授と日本を執拗に結び付けて議論から目をそらそうとする風潮を批判する。

ニューズウィークの記事(2021年2月26日)

ラムザイヤーが個人的に日本と親交が深いことを理由に、学問的誠実性に欠けると攻撃するのは非生産的で、外国人差別めいている。

慰安婦問題で韓国が公的議論を受け入れるとき

 

大事なことは論文の内容で、公式肩書きに「三菱」含むかどうかは関係ない。
そうやって個人攻撃をするのは、客観的に見れば「外国人差別」になる。
前にも書いたが「性奴隷」という表現については、元慰安婦のイ・ヨンスさんが2020年に「どうして私が性奴隷なのか。とんでもない話だ」と怒っている。
今回のラムザイヤー教授の論文をめぐる韓国メディアの報道を見ても、この点にふれている記事はひとつもない。
妄言、歴史わい曲、三菱が寄付したと論文に関係ないことを言って教授や論文を否定するだけで、本当に非生産的だ。
ただラムザイヤー教授の論文をきっかけに、慰安婦問題について話し合いをしようと提案する韓国の知識人もいる。

 

言論の自由については、ドイツの詩人ハイネがこんなことを言った。

「本を焼く国ではいつか人をも焼くようになる」

21世紀にこんなことは起こりえないが、でもいま韓国の学生や市民団体はラムザイヤー教授の辞任を求めて社会的に抹殺しようとしている。
教授の論文を支持するのではなく、慰安婦問題について公的議論をしようと訴えた両教授に対しても、辞任を求める動きがある。
教会を批判したヴォルテールもこんな思いをしたのだろうか。

 

 

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2 件のコメント

  • 日頃、自分達が行っている事は相手もやっているに違いない式で必ず金云々の話が出るのはテンプレ。

  • 別に韓国でも日本でも米国でもその主張はできるでしょう。が、サイエンス(科学)は事実を前提としなければ成立しません。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。