日本へ行けば「売国奴」 韓国で反日ムード高まる8月15日

 

毎年8月15日は、日本では戦争が終わった記念日で、韓国では日本の統治が終わっためでたい記念日(光復節)になる。
現代の韓国社会では、その35年間は大きな苦痛と悲しみの時期とされているから、その「地獄」から解放された8月15日が近づくと、どうしても反日ムードが高まる。

知人の韓国人にそのことをたずねると、「たしかにそんな雰囲気はありますけど、日本人が気にする必要はないです。大丈夫ですよ!」と太鼓判を押した。
しかし、日韓の友好親善を目的に、日本人と韓国人が集まるネットグループの投稿を見ていると、今年の8月15日に、韓国人メンバーがこんなメッセージを投稿したのを発見した。

「한국민에게는 광복절. 일본인에게는 종전기념일이지요.두 나라 사람들이 오늘 혹시라도 만나면 어색해하지 맙시다」
(韓国人にとっては光復節。日本人にとっては終戦記念日。きょう両国の人が会ったとしても、気まずくならないようにしましょう。)

この人は、個人的には日本政府に対して恨みがあるのは事実だが、韓国の文化を好きな日本の友人には、不快な感情を表してはいけないと考えている。まずは日韓の両国民が相手の心を傷つけるような言動はひかえ、文化的な交流を楽しむことが重要。そして、 仲良くなって心を開き合う関係になったら、いろいろ深い話ができるようになると訴えた。
(それは日本人にとっては、不快な話になる可能性が高いのだけど。)

 

8月15日は日韓にとって敏感な日になる。
でも、実際のところ、それで日本人が何か悪い経験をしたという話は知らない。むしろ、よく耳にするのは逆のパターンだ。
今年は人気K-POPグループ「Stray Kids」のメンバーが、チャットアプリの bubble で光復節に、日本のアニメ『しかのこのこのここしたんたん』を取り上げたところ、韓国のネットで「あまりにも軽率」「日本で活動しろ」とぶっ叩かれた。

光復節の時期になると、こんな声も毎年のように湧き上がる。
「KOREA WAVE/AFPBB」の記事(2024年8月13日)

「解放記念日に日本に行く売国奴、SNSで自慢するな」…韓国で相次ぐ「渡航者への歪んだコメント」

ある韓国のネットユーザーが光復節の連休を前に、日本旅行を計画する韓国の旅行者を「売国奴」と非難し、「目を覚ましてほしい」と呼びかけたことが韓国で注目を集めた。
この人は日本ではなく、西大門刑務所や独立記念館へ行き、SNSで堂々と自慢しようと訴える。
これに対してほかのネットユーザーからは、

「日本に行ってSNSに太極旗(韓国国旗)を振る写真を投稿すれば認める」
「光復節の前後に大地震が来ることを祈る」
「他の日ならまだしも、光復節に日本に行くのは本当に理解できない」

といった賛同のコメントが寄せられたという。
しかし、こんなことで「日本熱」を冷ますことはできず、光復節の連休中には、たくさんの韓国人が日本旅行を楽しんだ。
先ほどのネットグループには、ある韓国人が大阪の「城フェス」(8月10日~12日)に参加して、武士の格好をしたりたくさんの日本人と交流したりして、とても楽しかったと投稿し、こんな感想を書き込んだ。

「많은 사람들과 교류를 할수 있어서 좋았습니다 특히 한국에서 왔다고 하니 모두 친절하게 대해주셨고 선물도 많이 받았어요 일본에서」
(特に韓国から来たと言ったら、みんな親切に接してくれて、プレゼントもたくさんもらいました。)

こんなネット投稿をすると、韓国では「売国奴は目を覚ませ!」「光復節には独島へ行け!」と非難する人が現れる。
8月15日の光復節の時期に、日本人と韓国人が会って気まずくなったという話は知らないが、韓国人と韓国人で怒りの応酬があったという話はよく聞く。
反日ムードが高まると、実際には、韓国人どうしの間でよくトラブルが発生する。
「日本人が気にする必要はないです。大丈夫ですよ!」という知人の意見は正しかった。

 

 

韓国 「目次」 ②

韓国 「目次」 ③

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

【反日疲労】NOジャパンにノーを突き付ける韓国人

 

4 件のコメント

  • > 8月15日の光復節の時期に、日本人と韓国人が会って気まずくなったという話は知らない

    ははは、それは当然でしょう。そうなりそうな人は、韓国人でも日本人でも、そもそも普段から互いに会うことはないでしょう。8月15日だからと言って、その日だけ相手に対して気まずくなるような行動を取る人がいますかね?
    あるいは、たとえ韓国人自身が自分で気づかないうちにそのような行動を取ったとしても、韓国人に友好的な日本人だったら何も気づかないフリをすると思いますよ。

  • 今回の光復節を前後して、韓国ではたくさんのことがありました。
    それを話す前に、韓国での”光復節”の意味について説明します。現在、ほとんどの韓国人は光復節を「日本帝国主義から解放された日」と認識しています。これは非常に間違った認識です。 一言で「誤解」です。光復節の本当の意味は「大韓民国が建国された日」、つまり「建国記念日」です。したがって、その日は1945年8月15日ではなく、1948年8月15日です。毎年8月15日になると、世界各国から韓国への「建国の日を祝う」という祝電が来るのですが、1948年を基準にしています。そこで今年は”第76周年建国の日を祝う”という祝電がやってきました。 日本からも韓国へそんな祝電を送ってきて、アメリカからも来ています。しかし、韓国の左派(事実上、共産、社会主義者)は建国の日を認めず、ただ1945年8月15日を記念して日帝から光復された日だけを光復節と認めています。前置きが長かったです。

    今回の光復節を前後して、韓国ではいろいろな反日的行動がありました。
    まず、韓国プロ野球で短期契約で活躍している白川恵翔選手が光復節に登板することが予定されていましたが、一部のファンが日本人が光復節に登板してはならないと主張し、結局彼の登板は霧散しました。そして球場に掲げられていた日の丸も他の海外国旗とともに下ろされました。
    そして公共放送でオペラ「蝶々夫人」の一部を放送しましたが、そこに君が代が流れたとして視聴者が抗議し、その放送は謝罪しました。そして京都国際高校が夏の甲子園で優勝し、韓国内では「韓国が日本に勝って、甲子園球場に韓国語校歌を響かせた」というニュアンスの「精神勝利」が蔓延しました。今年は特に反日感情が強かったです。

  • >韓国内では「韓国が日本に勝って、甲子園球場に韓国語校歌を響かせた」
    この反応に京都国立校の野球部の監督や生徒が困惑していると思います。彼らは練習の成果を発揮し、試合に勝つために甲子園にきました。
    韓国語の校歌を歌うことが目的ではないけど、韓国ではそれが特に注目されていますね。
    それは選手や監督にとって不本意なことだと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。