【甩鍋】関係悪化の原因はあっち!日本・韓国の責任論バトル

 

「他人に責任を押し付ける」という意味の中国のネット用語に「甩锅」ってのがある。
これは放り投げる、勢いよく投げるという意味の「甩」と、「過(ち)」と同じ発音の「锅」の合成語らしい。
自分のせいで失敗したにもかかわらず、「おまえがぜんぶ悪い!」と言うような超自己中で無責任な態度を「甩锅」と言う。
ちなみにそういう人間は「甩鍋マン」になるらしい。
逆に、他人の罪を負うことを「背黑锅」という。
この場合の锅は「鍋」のことで、すすけた黒い鍋を背負うと自分の背中も黒くなることから、こんなことばができたとか。

*「甩锅」と「背黑锅」の意味は上で合ってるけど、由来については、いまネットでパパッと調べただけだから、間違いがあったら教えてプリーズ。

 

さて最近、慰安婦問題について茂木外相が国会で「韓国によって、せっかくのゴールポストが常に動かされる状況がある」と発言した。
ゴールポストとはいわば「解決地点」のこと。
日韓が話し合って「これでこの問題は解決しましたね」と確認しても、韓国側があとから「まだ解決していない!」と言いだして追加要求などをしてくるから、解決地点が移動してまた話し合いをしないといけなくなる。

まぁくわしいことはここを見てくれ。

約束・宣言・合意・条約などを勝手に変更や無視して向こうの決めた事を履行せずに、相手国に知らぬ存ぜぬで追加要求をする状況を意味する時に特に使われる。

ムービング・ゴールポスト

 

日本がこれまでの対韓外交で、悩まされ続けてきたのがコレ。
だから2015年の慰安婦合意ではゴールポストが動かないように、日本は『最終的かつ不可逆的な解決』を韓国側に確認させて、それだけじゃ不安だからアメリカからも「歓迎する」ということばを引き出した。

ところがそのあと文政権になるとすべてが一変し、慰安婦合意は実質的に破棄されて、あの合意は紙切れになった。
そして日韓関係は「戦後最悪」という暗黒ゾーンに突入して、いまだに出口が見えない。
「この責任は日韓ともにある」というのは中立に見せかけた不公平で、日本は約束を守ったのだから、責任は合意を破った韓国側にある。
2020年に「日韓関係がこのように急速におかしくなるとは考えられなかったが、日本と韓国のどちらがゴールポストを動かしたかは『証人』の米国もよく知っているだろう」と菅首相が言った背景にはさっきのことがある。

合意で慰安婦問題の解決を確認したにもかかわらず、韓国側はいまでも謝罪要求をしてくるから、元木外相はゴールポストは絶対に動かさない、韓国の要求は拒否すると明言したわけだ。
これは当然しごく。
もしここで日本が韓国にゆずったらロスタイムどころじゃない。
交渉という試合がまた最初から始まるから、慰安婦問題に区切りをつけて、未来志向的な両国関係を希望する日本人や韓国人に迷惑がかかってしまう。

 

現在氷河期の両国関係は、韓国政府が合意を破ったことから始まった。
そのことは韓国メディアの朝鮮日報も社説で指摘する。(2021/03/02)

韓日関係の破局は、文大統領が就任するなり韓日慰安婦合意を破棄したことで始まった。(中略)「大統領自ら韓日慰安婦合意について『重大な欠陥が確認された』『新たな交渉をすべき』と破棄しておいて、

4年間反日の文大統領が突然「過去史が足を引っ張ってはだめ」…これも外交なのか、ひたすら恥ずかしい

 

「破棄しておいて」、日本との関係改善が必要になると文大統領は突然、15年の合意は「両国政府間の公式合意だったという事実を認める」と言いだす。
よく言えば臨機応変、悪く言ったら厚顔無恥。
朝鮮日報に言わせると、この態度急変は「ひたすら恥ずかしい」。

 

中央日報日本語版の記事によると、元木外相が今回、「ゴールポスト」というワードを国会の場で使ったことは偶然ではなく、それなりの狙いがある。(2021.06.01)

「ゴールポスト論」再び取り出した日本…「問題は韓国」対米世論戦に出るか

日韓で慰安婦合意が結ばれるまえ、日本はいくら謝罪しても、そのたびに韓国がゴールポストを動かすために歴史問題が終わらないとアメリカ側に説明していた。
アメリカも日本の主張を認めて、「韓国も今後はゴールポストを動かすことは止めなければならない」と考えるようになり、15年の合意ではアメリカも含めて慰安婦問題の『最終的かつ不可逆的な解決』を確認した。

このときオバマ政権にいて、この過程をよく知る複数の人物がいまバイデン政権の中枢にいる。
たとえば慰安婦問題で日本を非難する韓国に、

「政治指導者が過去の敵を非難することで安っぽい拍手を得るのは簡単だ。しかしこのような挑発はまひを誘発する」

とド正論を言った当時のシャーマン国務省政務次官はいまでは国務省副長官だ。

こうした状況で日本が「ゴールポスト論」を取り出したのは、アメリカに対するメッセージだと中央日報は分析。

結局韓日関係の悪化の原因は韓国にあるという点を浮き彫りにすることが日本の狙いとみられる。韓日米安保協力に集中するバイデン政府に対しても「問題を起こしたのは韓国だから、解決策も韓国が出さなければならない」という立場を貫徹しようしているとも考えられる。

 

「韓国によってゴールポストが常に動かされる状況がある」と言ったのは、関係悪化の原因は韓国にあるということをアメリカ側に印象付けようとする狙いがあったらしい。
実際、「韓日関係の破局は、文大統領が就任するなり韓日慰安婦合意を破棄したことで始まった」は不動の事実だ。

とはいえ、問題を起こした韓国が解決策を出さなければならないとアメリカも認識するようになったら、韓国政府としては軽く絶体絶命だ。

投げられたボールは、外交部(外務省)がすぐに投げ返す。

聯合ニュースの記事(2021.06.01)

韓国外交部「ゴールポスト動かしたのは日本」 茂木外相の発言に反論

これは、約束を破った側が守った側に言っていいセリフじゃない。
関係悪化の責任は360度どうみても韓国政府にあるのだから、日本が韓国の追加要求に応じて、「背黑锅」になる必要は1ミリもない。
ゴールポストの次は、「甩鍋マン」というパワーワードの登場が期待される。

 

 

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1 個のコメント

  • 「甩锅」の読みを調べたところ、「甩」は部首が「用」であり音読みは「シュツ」、「锅」はこの記事にも書いてある通り「鍋」の異体字であり、音読みも同じで「カ」だそうです。なので、「甩锅」は「シュツカ」あるいは「シュッカ」ととでも読めばいいのでしょうか?
    まあ意味的にも「出火」させるようなものなので、その読み方で丁度いいですかね。
    今回の場合、出火させた犯人は明らかに韓国側です。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。