これから始まる日韓歴史戦韓国側の主張のおかしなトコロ

日本では節分、韓国では正月のきょう２月３日、そんなことには１ミリも関係なく、日韓両国は相変わらず歴史認識の違いでにらみ合っていた。

中央日報（2022.02.03）

外交戦に広がった佐渡金山の世界遺産登録…韓日ＴＦが正面対抗

採取から精錬まで手作業で金の生産をしていて、 17世紀には世界で最も多くの金を産出したという佐渡の金山。
「これは『ナニコレ珍百景』を超えて、ユネスコ世界文化遺産に登録される価値がある！」と日本政府は判断して、いまそのための準備を進めているところ。
一方、この金山を「朝鮮人強制労働の現場」と主張する韓国は、登録には全身全霊で反対している。
そして日本はこれを「韓国側の独自の主張」「言われなき中傷」と呼び、「受け入れられない」」と切り捨てる。

登録に向けて日本がタスクフォース（ＴＦ）チーム（作業部会）を結成すると、韓国でも阻止するためのＴＦチームがつくられた。
もう日韓の外交戦は止められない。
要はユネスコ世界遺産委員会で３分の２（21カ国中14カ国）の賛成を得られれば日本の“勝ち”、それを阻止すれば韓国の“勝利”となる。

韓国政府も登録阻止に全力で取り組む意向を示し、韓国メディアのハンギョレ紙は「骨を削るような外交戦へ」と伝えた。
大統領選挙が来月に迫った韓国では与党のイ・ジェミョン候補は日本に対して、「強く糾弾し、即時撤回するよう求める」と非難し、野党のアン・チョルス候補も「人権を蹂躙（じゅうりん）した暗い歴史を隠そうとしている」と非難する。
立場と価値観が違っても、この点では一致できるらしい。

正月や節分のときに、これから本格的な歴史戦が始まるということには、若干のむなしさもあるけれど、これが日韓の現状だ。

果たして佐渡の金山は「朝鮮人強制労働の現場」なのか、それともそれは「言われなき中傷」なのか？
この点で韓国側の主張はおかしい。
日本は期間を江戸時代に限定しているのに、明治時代以降に照準を定めて怒る韓国はそもそもの前提が間違っている。
朝鮮半島出身の労働者は１人もいなかったのだから、本来ならこれは韓国には関係なくて、日本の国内事情でしかない。
それを別にしても、決定的におかしいところがある。
韓国側は「強制労働させられた被害現場」を強調するわりには、それを示す客観的な根拠を何も提示していないか。だから日本でこの説には、心情的に共感する人はいても、全体的には支持されていない。

「強制労働があったという韓国側の主張は事実に反しており、受け入れられない。」（読売新聞）
「昭和１５～１７年に佐渡金山で働いていた朝鮮半島出身者には給与が支払われていた。」（産経新聞）

という感じだ。

これについて複数の韓国メディアの記事を見ても「強制労働」の証言があるだけで、それを事実と裏付ける根拠はひとつもなかった。
代わりにあるのがこんな報道だ。

中央日報（2022.02.03）

【噴水台】完全な歴史＝韓国

ドイツは第２次世界大戦中、ポーランド人やウクライナ人を「ランメルスベルク鉱山」に連行して強制労働をさせた。
その闇歴史を否定しないドイツはこの鉱山を世界遺産に登録する時、強制労働の歴史をしっかり示したという。
もうオチが見えてきましたね。
こんな誠実なドイツの真逆が日本で、韓国人の歴史認識や感覚からすると佐渡の金山は「日本版ランメルスベルク鉱山」となる。
で、これが結論。

明白な証拠と証人が存在する暴力と加害の歴史はなおのこと消してはならない。恥ずかしい歴史は認めて被害者に謝って反省しなければならない。それが完全な歴史に近づく道だ。ドイツはそちらへ進んだ。日本は反対に進んでいる。

ナチスによる強制労働は歴史の事実で、これはドイツ政府も否定していない。
対して日本による「強制労働」には根拠がないから、事実とはいえない。
「明白な証拠」とは一体何のことなのか？
朝鮮人労働者に、キッチリ給料を払っていたという歴史資料ならある。

こんなふうにまったく関係ないことに結びつけて、「日本版ランメルスベルク鉱山」という造語で非難するから、日本からは「言われなき中傷」と反発される。
「恥ずかしい歴史」という前に、ナチスがポーランド人やウクライナ人に賃金を払っていたかどうか確認してほしい。
こんな構図はホント昔から変わってない。
これから国際社会を舞台にして始まる日韓の歴史・外交戦でも、韓国がナチスと重ねて、日本がそれに反論する場面はあると思われる。
お互いこれは譲れないから、かなり激しい対立になる予感。

一方、民間レベルではまったく違う。
日本人と豆まきを楽しんだ韓国人や、韓国人とお正月料理を食べた日本人がそれぞれSNSに投稿しているのを見た。
もちろんこんな動きは、両国政府が絶滅危惧種に指定していいぐらいの少数だけど、歴史問題を抜きにすれば日韓はけっこう分かり合える。