【日本人と韓国人の違い】良識ある市民意識・信頼という資本

 

10年ぐらい前、ワーキングホリデーで東京に住んでいた韓国人と京都旅行をしたときのこと。
そのときたまたま日本へ来ていた韓国人と合流して、2人の韓国人(20代の男性・女性)から日本と韓国の違いについて話を聞いた。

韓国人男性が感動したのは無人販売所。
「日本人はすごく良心的ですね!」とほめると、女性が「いや、韓国にもあると思う」と反論する。
2人ともソウルに住んでいて無人販売所を見たことがないけど、女性は「都会にはないけど地方にはある」と主張して、男性は「無理だね。次に行ったときにはつぶれてる」と言い返す。
結局このときは決着がつかず、すぐに別の話題へ移った。

2人にとっては小さなことで、いまはもうすっかり忘れているはずだけど、「韓国には無人販売所がない(かもしれない)」ということがボクには意外で、このときの論争をまだおぼえている。

 

 

さて、それから時は流れて話は現在だ。
いま新型コロナウイルスが日韓で特大問題になっている。

これには手指にスプレー消毒をするのが効果的ということで、日本の公共施設ではこのボトルが設置されている。
ボクも図書館でこれを見て、手のひらにシュッとした。

同じことを韓国でしてみた結果が、中央日報の記事にある(2020.02.04)

3日、ソウル市によると、市内の地下鉄の駅などに準備されていた無料マスクや手指消毒剤などがまるごと消えた。

「地下鉄の無料マスクをわしづかみで持ち去る…消毒剤もボトルごと消える」=韓国

 

地下鉄の駅にマスクを置いたところ、持ってけ泥棒状態になって利用客はわしづかみにする。
そんな市民の“民度”にソウル市疾病管理課のキム課長は、「できるだけ良心的に1人1枚使ってほしいと思ったが、状況がそうではない」となげく。
仕方がないから、これからは駅員がマスクを手渡しすることにしたという。

こういう手間をかけたくなかったから無人配布にしたのだろうけど、残念ながら、ソウル市の想定と市民の実態にはかなりのギャップがあったらしい。

でもマスクがこうなるのは分かるとして、驚いたのは、消毒剤のボトルをまるごと持って行く市民が続出していること。
もはやこれは窃盗だ。
ソウル市庁でも“ボトル失踪事件”ことがあったことを踏まえて、キム課長はこう話す。

「良識ある市民意識を発揮してほしい」と訴えた。市は窮余の策として消毒剤のボトルの下に接着剤を塗ったり鎖で固定したりしていると付け加えた。

 

日本では聞いたことがないし、聞くこともない話だ。
「良識ある市民意識」が不足していたら、その分は接着剤と鎖で補うしかない。
この記事には、大量のガムテープを巻いて壁や床と一体化した消毒剤ボトルの写真がある。
韓国人のことは韓国人がよく知っているから、この方法がいちばん正しい。

2020年でこれだから、韓国で無人販売所はないか、例外的にあるとしか思えない。

 

ノルウェーでは無人販売所をよく見たという人が韓国を訪れて、その印象をこう書いている。(2013年07月22日)

韓国でも、田舎道を通れば、農家の人がマクワウリ、スイカなどを並べて売っている光景をしばしば見かけるが、無人販売というスタイルは想像し難い。(中略)韓国は、世界で7番目に人口5000万人、国民1人当たりの国民所得2万ドル(約200万円)の双方を達成したと誇っているが、信頼資本の面ではまだ道のりは遠い。

「信頼」という資本が足りない韓国

 

アメリカの学者フランシス・フクヤマは「一国の競争力は、その社会が固有のものとして有している信頼の水準によって決まる」と語って信頼の重要性を説いたという。

規模や内容はよく分からないけど、韓国の全羅南道の村に無人販売所が登場したときは、全国的な“ニュース”になって中央日報がこう報じた。(2006.01.03)

村の‘良心小店’がそれだ。 新年にメディアに紹介されたこの店は、24時間‘無人’で運営される。 主人と従業員がいないだけでない。 泥棒も良心不良者もいない。

【噴水台】小店(クモンカーゲ)

 

ただこの話にはオチがある。
メディアで全国に紹介されると村外の人たちがやってきて、

・窃盗事件が10回以上起こるようになった。
・たばこの自動販売機が壊された。
・料金を入れる木の箱から10万ウォンが盗まれた。

という世紀末状態になってしまった。
監視カメラの設置を余儀なくされた村長は、この無人販売所を続けるかどうか悩んでいるという。
同じ共同体の一員であれば、良心や信頼関係が発揮されるという韓国らしいオチ。
村長には気の毒だけど、こういう「韓国劇場」は嫌いじゃない。
これは10年以上も前のことだから、いまはどうなっているんだろう?

「良識ある市民意識」や「信頼という資本」

韓国は大惨事、じゃなかった第三次韓流ブームで気持ちよくなる前に、こういうものを日本から持って行けばいいのに。
慰安婦合意と日韓請求権協定で日本との合意を一方的に破った韓国にはとくに信頼が大事だ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。