韓国で先月、ユン大統領が誕生したことで、関係改善にかける日本の期待はとても大きい。
4月に韓国から「政策協議代表団」が来日すると、アメリカではバイデン大統領やブリンケン国務長官との面会がなかったにもかかわらず、日本では岸田首相、林外相、萩生田経済産業相、岸信夫防衛相、松野官房長官、秋葉国家安全保障局長、森元首相や安倍元首相までが面会に応じるという大歓迎ぶり。
これには「われわれの面会要請を拒否した人がいない。日本側の誠意が感じられた」と代表団も感激するしかない。
でも、防衛省の韓国を見る目は冷めているらようだ。
アジア安全保障会議に出席のために、シンガポールを訪れていた岸防衛大臣がきのう帰国した。
現地では日米韓3カ国の防衛相会談が行われ、韓国のイ・ジョンソプ国防相は日本との会談を期待していたけど、それは実現せず。
それどころか日本の雰囲気は険悪だ。
下の中央日報の記事によると、岸大臣は米国のオースティン国防長官に話しかけられると笑顔を見せたのに、「韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防部長官とは目も合わせようとしなかった」という。(6/13)
岸田首相「韓日関係の改善必要」強調したが…首脳会談には慎重
日韓国防当局の間でわだかまりがあるとしたら、2018年の韓国海軍レーダー照射問題が真っ先に思い浮かぶ。
このとき韓国海軍の駆逐艦が自衛隊機に、火器管制レーダーを当てたことで問題がぼっ発。
これは攻撃する一歩手前のとても危険な行為で、同盟国に対してすることではない。
上の記事で、いまでも韓国側は「遭難船舶を探索するためにレーダーを稼動していて」と書いているが、防衛省が公開した動画によって、北朝鮮の船はすでに見つかって探索が終わっていたことが明らかになっている。
「当時は天候が荒く、波も高かったためレーダーを使わざるを得なかった」という韓国の主張もこの動画を見れば間違いだと分かる。
日本からこの危険行為についての説明と謝罪を要求されると、韓国側は自衛隊機が危険な低空飛行を行ったと主張し、逆に謝罪を要求する。
自衛隊機は国際民間航空条約や国航空法にしたがって安全に飛行していて、韓国の駆逐艦に脅威を与えるようなマネはしていない。
米軍やNATOもこれと同じ基準で飛行しているという。
それでそのあと行われた実務者協議で、「脅威的な低空飛行」の客観的な根拠を提示するよう求めた日本に、韓国側が答えた内容を防衛省がホームページ上で公開している。
韓国側からは、そのようなものは示されず、逆に「脅威を受けた者が、脅威と感じれば、それは脅威である」などの全く客観性に欠ける回答を繰り返しています。
客観的な根拠は示さず、「こちらがそう感じたから脅威である」という理屈で日本に何度も謝罪を要求する。
そんな相手との話し合いは無意味で時間のムダ。
ということで、「本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断いたします。」と日本は協議を打ち切った。
自分たちの非を認めることや日本への謝罪は免れたから、これは韓国にとっては”大勝利”。
でも、このとき防衛省関係者が感じた怒りや悔しさ、不信感は日本人なら誰だってわかるはず。
だからこれは終わりではなくて、始まったという予感はあった。
だから今回、韓国の防衛相と目も合わせようとしなかったと聞いても、驚くことはなくて「やっぱりそうでしたか」と。
防衛省幹部はレーダー照射問題について「両国部隊同士の信頼関係に関わる重大な問題。なかったことにはできない」と話している。
韓国側が再発防止策を示されるまで、個別の防衛協力を進めるべきではないという意見が日本には強くあるという。
韓国側はきっともう過去の問題と考えているけど、日本は忘れていない。
防衛大臣なら省内の空気や、部下たちの気持ちをよく知っているはずから、韓国の防衛トップと視線を合わせようともしなかったのも当然のことだろう。
日米韓3カ国の防衛相会談は行って韓国との会談をスルーしたのは、アメリカの立場は尊重すると同時に、韓国には対して「あの問題はまだ終わっていない」というメッセージを発したのでは?
「日本と真摯(しんし)に対話する考えだ」と強調する前に、韓国国防相は内内でいいからちゃんと再発防止策を日本に示した方がいい。
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