ことし4月、プロレスラーのグレート-O-カーンが酔っ払いから女児を助けたことは記憶に新しい。
「O(オー)カーン」といえば、きのう6月24日は1880年にカナダの国歌「オー・カナダ(O Canada)」が初めて歌われた日だ。
カナダにはフランス語圏と英語圏があって、カナダ国歌「オー・カナダ」ははじめにフランス語で作詞されて、あとから英訳がつくられた。
カナダ人のカナダ人によるカナダ人のための国歌ができるまでは、イギリス国歌を歌っていたらしい。
国歌はその国の伝統や歴史、国民が大事にする価値観の結晶体だから、もう国歌は国家と考えていい。
国のシンボルである国歌には、国民が愛情や敬意をもつのは世界のアタリマエ。
だからあるスリランカ人は、五輪で初めて国歌(National Anthem)が流れたのを聴いて感動に震えたとSNSに投稿。
「First time We listened to Our National Anthem at an Olympic event. This is a proud moment for every Sri Lankan 🇱🇰🥇」
これは全スリランカ国民にとって誇りとなる瞬間だと。
国歌は全国民に等しく平等だ。
でも、時代とともに意識も変化していくから、「オー・カナダ」の英語詞のこの部分が問題視されるようになる。
「True patriot love in all thy sons command」
(汝(なんじ)の息子全ての中に流れる真の愛国心)
じゃあ、オンナには真の愛国心が流れていないのか?
女性の立場を無視しているということで、この歌詞には「男女差別」の非難が上がっていた。
2010年にバンクーバーオリンピックが開催されたとき、カナダの金メダル14種目のうち6種目は女性選手によるものだったから、表彰台で演奏される”女性無視”の国歌を聴いて、カルガリー大学の教授が違和感を感じる。
その意見に共感した首相が国歌修正案を国会に出すと、国民から圧倒的な支持を受けて可決された。ということはなく、批判が殺到したから首相はすぐに修正案を撤回した。
国歌の変更について、同じカルガリー大学の政治学の教授はこう言う。
「ひとたび国歌の論争を始めれば、無神論者は“God”を削除せよと主張し、平和主義者は“stand on guard”に異議を唱え、先住民は“native land”とは誰の土地だと言い出して収拾がつかなくなるだろう。」
「パンドラの箱」を開くようなので、一度開けたらいろんな問題が次から次へと飛び出してくるから、もう手を触れるなと。
それでも国歌における女性スルーは、国家における女性無視も同然。
ということで2018年に、「息子たち(sons)」を「私たち(us)」に変更する案が上院で可決されると、その場で国会議員が新しい「オー・カナダ」を合唱した。
今のところ、これがカナダ国歌の最終形態だ。
これでやっと五輪の舞台で、「This is a proud moment for every Canadian🍁」と全国民が誇り高く感じることができる。
それではお聴きください。
カナダ国歌グレート-O-カーンじゃなくて、オー・カナダ。
ちょっと気になったので調べてみました。
>「True patriot love in all thy sons command」(汝(なんじ)の息子全ての中に流れる真の愛国心)
> 2018年に、「息子たち(sons)」を「私たち(us)」に変更する案が上院で可決される
???
「thy(“ザイ”、汝の)」は、古英語「thou(“ザウ”、汝が)」の所有格、つまり現代英語においては your が you の所有格であるのと同じです。でその次、sons(息子たち) を us (we の目的格「私達を」)に変更しただけでは、全体の意味が通らなくなってしまう。まあ「汝の私達」でも、そりゃ分からないこともないですが・・・。
調べてみたら、実際の変更は次のとおりでした。
all thy sons command(汝らの息子たち全員が戦って) → all of us command(私達の全員が戦って)
これなら意味が通ります。元々の「thy(汝らの)」は建国に至るまでの昔の移民開拓者を、sonsが今の自分達を指していたのでしょう。
ところで、最後のカナダ国歌紹介のところ、
> それではお聴きください。オー・カナダ。
の次に貼り付けてある動画ですが、中の歌詞が変更前の古い形のままになってますよ。
せっかくだから、ここでは現在の正式な歌詞を紹介した方がいいですね。
ここでは男女差別の話です。
>現在の正式な歌詞を紹介した方がいいですね。
おっしゃる通りです。
新しいものを貼っておきました。
ご指摘ありがとうございます。