【半裸】開放的なオーストラリア人が日本で失敗した件

 

ことしの夏、韓国は「ため息さえ熱かった」と言われるほどの猛暑に襲われた。 その影響で「裸族」が出没して、市民の不快指数は倍増したらしい。

朝鮮日報の記事(2024/09/04)

記録的猛暑のソウルに上半身裸の男性急増…苦情続出も処罰は困難 

記者がソウル市内の公園で2時間ほど観察していると、十数人の男性が上半身裸で運動をしていたのが確認できた。その1人に話を聞くと、「騒ぎを起こしているわけでもないので、後ろめたいことは何もない」と言い切り、迷いは一切ない。
ソウル市などは、市民からの苦情が続出して対応に困っているのだけど。

ネットを見てみたら、日本でも夏になると同じような「半裸おじさん」が現れて問題になっている。
中国では以前、シャツを胸元まで上げて、デベソを出して歩く「北京ビギニ」のおじさんが有名だった。

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こういう開放的な人たちは日中韓では嫌われるが、文化が変わればそうでもない。

 

2023年の夏に、日本を旅行していたオーストラリア人男性が警官から職務質問を受け、その様子をSNSで配信した。その際、警官はスマホの翻訳アプリを使って、彼とこんなやり取りをした。

警官「あなたは上半身裸になって、歩き回っていましたか?」
オージー「そうそう。ズボンは履いてたけど、上着は着てなかったね」
K「日本では、街中で上半身裸になることは許されていません」
O「オオ〜、それはすみません。近くのビーチで泳いでいたんです」

警官が職務質問をしたとき、オーストラリア人はタンクトップを着ていて、自分の行為が誤りだったことを認めて謝罪したため、口頭注意で終了。これは日豪の文化やマナーの違いでしかない。
彼の投稿には外国人から、こんなコメントが寄せられた(原文は英語)。

・この警察官が彼を殴り倒さなくて、話し合いを行ったことに感動した。
・アメリカの警察がこんなに忍耐強く、親切だなんて想像できない😅
・日本人はとても理解があるんだ。
・謙虚さはとても大事なことだと思う。

オーストラリアでは、少なくとも彼が住んでいた地域では上半身裸のまま街を歩いても問題はないが、日本はそうじゃない。それだけで公然わいせつ罪になることはまずないが、これはマナー違反で周囲の人を不快にさせる。
ちなみに、このオージーは日本を旅行中、持ち物をさらけだしてベンチで寝ている日本人を見て、「オレの出身地だったらあり得ないね!」と治安の良さに驚いていた。

調べてみたら、オーストラリアでは、公然わいせつ罪が適用されるのは「性器の周辺」のみとなっている。しかし、多くの地方で独自の規則があり、トップレスの人に退去を求めることができる。また、トップレスになった女性は、迷惑行為をしたといった曖昧な罪に問われることもある。
公共のビーチでは規則がゆるやかで、女性は問題なくトップレスで日光浴ができることが多い。
また、女性が公共の場で子どもに授乳することは法的に認められている。

ソース:Clothing laws by country

 

10年ほど前、日本にいたオーストラリア人の男性から、価値観や文化の違いで日本人の彼女と別れたという話を聞いた。
彼が言うには、英語や国際交流に興味があったその女性が、彼にアプローチしてきて、つき合いがはじまった。彼女は、彼のフレンドリーさや自分のしたいことをする自由さに、一般の日本人男性とちがった魅力を感じたらしい。
2人とも体を動かすことが好きだったから、あるとき、公園(かどこかで)で一緒にランニングをすることになった。

その日、2人が待ち合わせをして、公園で走り出そうとした瞬間、彼は上着を脱ぎはじめた。
横にいた彼女は、三沢光晴がマスクを取ったのを見た若林アナなみに驚いて、「ちょっと待って、ここで上半身裸になるのはやめてほしい」と訴えた。
(彼はタトゥーをしていたかもしれない。)
しかし、彼はオーストラリアでいつもその姿でランニングをしていた。Tシャツを着たままだと風を感じられないし、汗が体にまとわりついて気持ちが悪い。
その姿でカフェに入ってコーヒーを飲むわけでもないし、これぐらいの自由は認められるべきだと彼は言い返す。彼にとっては、上半身裸がランニングの「正装」だ。
2人で言い争った挙げ句、彼が「後ろめたいことは何もない」と言ったかは知らないが、彼女の抗議を押し切ってランニングをはじめた。
その数カ月後、彼女との関係が終わった。

破局から1年以上が過ぎて、彼はこんなことを考えていた。
彼女はオーストラリア人らしい裏表のない性格や、自由に行動するところに魅力を感じたけれど、日本に生まれ育ったから、文化や価値観の面で「キャパオーバー」でついていけなかった。「ランニング事件」は象徴的な事例で、そんなすれ違いは何度かあった。
今は日本の事情が分かってきたから、もう「半裸ランニング」はしない。しかし、失ったものが戻ってくることはない。

 

おまけ

知人の日本人がオーストラリアでカフェに入ると、制服を着た警察官がコーヒーを飲んでリラックスしているのを見て驚いた。オーストラリアには日本にはない自由がある。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。