はじめの一言
「そしてみんなで大笑いをするのだ。笑いは日本人の礼儀作法の一つである、道すがら出会う人びとはみな気持ちよく、顔に笑いをたやさない
(エドモンド・コトー 明治時代)」
始めにチョイとご説明。
この記事では「ヨーロッパの歴史(欧州共通教科書)」から多く引用するようにした。
この本が良いのは、12人のヨーロッパ人の歴史家がヨーロッパ人の若者に対して書いた歴史教科書だということ。
日本人が日本人を対象に書いた「ヨーロッパの歴史」じゃない。
この「ヨーロッパの歴史」はこのような意図がある。
本書は、ヨーロッパの青少年たちが学習に際して利用できるよう特別な配慮の下に作成され、ヨーロッパ史の教科書のひな形、最初の汎ヨーロッパ史的教科書とみなすことができるでしょう
ヨーロッパ人に共通するすべてのもの、ヨーロッパという語に一定の意味を与えるすべてのものを理解することができるのです
(ヨーロッパの歴史 東京書籍)
つまりヨーロッパ人として身につけるべき「歴史の認識」となる。
ヨーロッパの歴史を学ぶなら、ヨーロッパ人と同じ価値観や認識を持てるような本から学んだ方が絶対に良い。
今回の内容
・「血まみれのメアリー」というおしゃれなカクテル
・「血まみれのメアリー」という残酷なイギリス女王
・「血まみれのメアリー」というおしゃれなカクテル
「やっぱ日本人と欧米人は違うなあ」と感じるのは例えば、日本のバーにもよくある「ブラッディーマリー」という名のカクテルを見た時。
ウォッカとトマトジュースを混ぜたこの飲み物は「血まみれのマリ―」という意味になる。
由来となったのは、カトリック教徒で多くの新教徒を処刑した16世紀のイングランド女王メアリー1世だ。
ブラッディ―マリー
画像:Evan Swigart
女王メアリー1世と同じ16世紀の日本には、戦いの連続で「血まみれ」の生涯を過ごした織田信長がいた。
信長も延暦寺を焼き討ちにして、多くの僧を焼死させるとかムゴイことをしている。
でも、日本人がこういう残酷な出来事や人物にちなんで、飲物の名前をつけることはないだろう。
日本人の感覚なら、食事をするときに「血」や「虐殺」をイメージさせるような名前はきっとつけない。
話はチョイとそれるけど、日本軍の自爆攻撃にちなんで、カクテルに「カミカゼ」という名前を付けるアメリカ人の感覚は日本人にはなさそう。
・「血まみれのメアリー」という残酷なイギリス女王
前回オランダが独立戦争を戦って独立宣言をした(実質的にスペインからの独立)ことを書いた。
オランダが戦争に勝利できた要因に、スペインは同時にイギリスとも戦っていたことがある。
スペインは二国と同時に戦ってしまったのだ。
フェリペ2世はイギリスへの侵攻する決意を固めた。それはオランダ人反徒たちへのエリザベス1世女王の後押しに直面し、またアメリカ大陸のスペイン領に加えられるイギリス艦隊の攻撃に業をにやし、そしてさらに女王メアリースチュアートの処刑に憤激したからであった
(ヨーロッパの歴史 東京書籍)
はい、この文に注目!
「女王メアリースチュアートの処刑に憤激したからであった」
このイギリスの女王メアリースチュアート(メアリ1世)というのは、スペインの国王フェリペ2世の妻だったのだ。
愛する妻を処刑されたら、ダンナとしては黙っていられないから、「よし!イギリスと戦争だ!」という発想につながった。
ただ、メアリ1世はかなりのトラブルメーカーだ。
カトリックに復帰し、新教徒を弾圧したため「血まみれのメアリ(Bloody Mary)と呼ばれた
(世界史用語集 山川出版)
これが、記事の始めに出てきたカクテル「ブラッディ―マリー(Bloody Mary)」の「マリー(メアリ)」になる。
メアリがした「弾圧」というのは、新教のキリスト教徒を殺しまくったということ。
でも最後には、自分が処刑されてしまったけどね。
これからブラッディ・マリーを飲む人は、「このトマトの赤色は、メアリに殺された『新教徒(プロテスタント)』の血の色だ」と思ってほしい。
なんてね。
でも日本人のボクからしたら、こういう残酷な事件からおしゃれなカクテルの名前をつける欧米人のセンスが不思議。
ついでに言えば、カクテルにこういう血なまぐさい名前をつけといて、日本人がクジラやイルカを捕まえることに「残酷だ!」と反対するのかもちょっと分からない?
それとこれとは別かな?
次回はスペインの「無敵艦隊」について。
日本でも、サッカースペイン代表を「無敵艦隊」っていうよね?
その無敵艦隊について。
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