日本好き英国女性の話 季節の変化・紅葉の楽しみ方・“ラー”の使い方

「特に花木が豊かである」

19世紀の後半、イギリスの紀行作家イザベラ・バードが極東の島国を旅行し、母国と比べ、日本の自然について彼女はそんな印象をもった。

それから約150年後、日本好きのイギリス人女性(40代)がやってきて、日本の学校や企業で英語を教えていて、10年ほど前に母国に戻って、今はケンブリッジ市に住んでいる。ここでは彼女の名前を、イギリス人女性によくある「オリビア」としよう。
11月はじめ、彼女と話をしたので、これからその内容を書いていこうと思う。

 

イギリスの基本スペック

面積:24.3万平方キロメートル(日本の約3分の2)
人口:6,827万人(2023年)
首都:ロンドン(人口約895万人、2023年)
言語:英語(ウェールズ語、ゲール語等使用地域あり)
宗教:英国国教会等

ソース:外務省HP「英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)基礎データ

 

ーー11月に入って、葉っぱの色も変わりはじめて「やっと秋がきたか、遅かったな」という感じ。静岡ではまだ気温が20度を超える日もあるけど、かなり過ごしやすくなったけど、そっちはどう?

まだ20度を超える日がある! 静岡ってそんなに暑かったっけ? ここケンブリッジの今日の気温は6度〜12度で、もう紅葉のピークも過ぎて、「冬が近づいているゾ』って感じよ。

ーー最近、ポーランド人と話をしたら、もう冬になったと聞いたから、季節が日本と1つズレてると思った。日本で秋が始まるころ、イギリスでは秋の終わりが始まるなら、半歩ズレてる感じだな。細かい地域差はおいといて。

そうね、日本は夏が長くて、イギリスは冬が長い。寒さは我慢できたけど、汗が流れるあの蒸し暑さは本当に大変だったわ。

ーーそう言えば、日本の夏を経験したドイツ人が「熱帯」と言ってた。静岡は温帯だけど、彼にはそう感じたみたい。
(日本は暑くて湿度が高いから、バードは「特に花木が豊かである」と感じたのだろう。)
日本には、1年を24の季節に分けた「二十四節気」という暦があるのを知ってる?

24も!? それを「季節」って言うの?

ーーなんなら、72の季節に分けた「七十二候」ってのもある。
その二十四節気によると、今年はあと数日で「立冬」になって(11月7日)、冬が始まることになっている。でも、現代の日本ではそのころが秋の始めだから、二十四節気はちょっと先走っている。

その日本の伝統的なカレンダーって、今のイギリスに合ってない?

ーーボクもそう思った。オリビアの話を聞いていて、頭の中で立冬とイギリスの冬の始まりが重なった気がした。江戸時代の季節のサイクルは、令和の日本よりも今のイギリスに近かったかもしれない。

 

 

ーーこれから日本は本格的にそのシーズンに突入するから、ネットでは、紅葉スポットの色づき具合を確認できるサイトがいくつもある。イギリス人も紅葉を楽しみにしている?

してるけど、日本人の熱心さには完敗。
通勤や散歩の途中で、黄色や赤くなった葉を見て楽しんでいるわたしは平均的なイギリス人だと思う。ネットで、紅葉の進行状況を確認する人なんて聞いたことないわ。イギリス人は個人主義的で、みんなが同じことをするは少ないのよ。

ーーそれ以前に、イギリスにはそんな需要がないからサイトも無いと思う。ところで、今「通勤」って言ったけど、オリビアは何をしている?

今は「ケアラー(carer)」をしているのよ。

ーーオリビアを聴きながら? ごめん、何でもない。ケアラーというと介護や世話をする人か。対象はお年寄り? それとも障害者の人たち?

わたしはお年寄りのサポートをしている。英語の「ケアラー」の対象は支援が必要な人で、老人と障害者の区別はないのよ。

ーー日本では一般的に老人介護と障害者支援をする人は分かれているけど、英語ではまとめた「ケアラー」なんだ。

そういうこと。そう言えば、日本にいたとき、「マヨラー」っていう言葉を聞いて、日本人は英語の「er(〜する人)」をそんなふうに使うんだと知って、すごく面白いと思った。シンガーやアクターみたいに、そうやって「マヨネーズを大好きな人」という単語を作る発想は斬新よ。

ーーあの始まりは「アムラー」だったかな。ケチャラー、シャネラー、キティラー、クチャラーとか、かなりぶっ飛んだ和製英語だと思う。今は淘汰されて、マヨラーとクチャラーぐらいしか聞かない。

それはもう日本語よ。マヨネーズはフランス語で「ラー」は英語でしょ? その二つをつなげて新しい日本語を作るのは、日本人らしいユニークな発想だと思う。

ーー日本に住んでいるアメリカ人が「朝ラー」と聞いたとき、その文脈で考えて「朝活をする人」みたいな誤解をしたんだって。ところで、日本では「ヤングケアラー」という言葉が使われているけど、それはイギリスにもある?

「Young Carer」はイギリスにもあるわ。

ーーならよかった。自分でも何が和製英語か分からないから、外国人と話していると、迷宮に連れて行ってしまうことがたまにある。ヤングケアラーは大丈夫か。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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