今では、どれぐらいの人が知っているだろう?
以前、韓国のソウルには「Hi-Seoul(ハイソウル)」と「Soul Oof Asia(アジアの魂)」という都市ブランドがあった。
これは10年以上使われていたけど、最近変わった。
この発想はわかる。
首都「Seoul」も「Soul」(魂)」 も、読み方は「ソウル」だ。
でも、韓国の町のあちこちで「Soul Oof Asia」という文字を見ていると、「韓国がアジアの中心」とする考え方に違和感を感じてしまった。
アジアの国の1つ1つに、ソウルはあるわけで。
「アジアのソウル(魂)」というのはないだろう。
今ではこの都市ブランドは使われていない。
韓国を中心とするこの考え方に中国人が反発していた、という話を聞いたことがある。
ソウルは新世界に通じる門なのか?
その世界が「ヘルコリア(地獄の朝鮮/韓国)」じゃなかったら、いいんだけど。
韓国の新聞を読んでいると、韓国をアジアの中心におくような意見がちょくちょく出てくる。
これは韓国人の願望というか、基本的な発想なんだと思う。
たとえば、2015年の中央日報には「国連の事務局を韓国につくろう」という記事があった。
この主張は、韓国言論人協会の会長が書いた「アジアの心臓、韓半島国連本部」という本の中にある。
この会長は朝鮮半島の平和を達成するために、「韓国に国連事務局を誘致するべき」と強調している。
成会長は世界の人口の60%、地球の面積の3分の1を占めるアジアの心臓が韓半島という点に注目した。現在国連はニューヨーク本部とスイスのジュネーブ、オーストリアのウィーン、ケニアのナイロビの4カ所に事務局がある。成会長は「韓国に国連事務局を、北朝鮮に国連傘下機関の一部を分散設置すれば韓半島の平和と統一に寄与する」と話した。
「寄与する」とは「役に立つ・貢献する」という意味の言葉だ。
この会長の言葉からは、国連を韓国のために、道具として利用するように読み取れてしまう。
でもそれは、あながち間違った考え方でもない。
「アジアの心臓が韓半島という点に注目した」と当たり前のように書いてあるけど、朝鮮半島がなんでアジアの心臓なのかが分からない。
「Soul Oof Asia(アジアの魂)」と基本的には同じ発想だろう。
心臓も魂も「中心的な存在」ということで、意味としては似たようなものだ。
韓国の人たちにとっては、こんなふうに韓国を大きく見せたり何かの中心になったりすることが気持ち良い。
話は少しそれる。
最近の韓国で気になる動きがあった。
今のところ、国連事務局の誘致はうまくいっていないけど、ユネスコの国際記録センターの誘致には成功している。
朝鮮日報の記事(2017/11/07)から。
韓国行政安全部の国家記録院は7日、フランス・パリで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第39回総会で、ユネスコ傘下の国際記録遺産センター(ICDH)の韓国誘致が決まったと明らかにした。
「韓国がユネスコICDH誘致 世界記憶遺産の管理支援へ」
この目的は何か?
「世界記録遺産」という言葉が示しているように、これは慰安婦に関する記録物をユネスコの「世界の記録」に登録させることをねらっている。
韓国はこの外交的敗北を忘れていないのだ。
中央日報の記事(2017年11月01日)から。
これに関し「遺産登録を阻止するための日本政府の総力戦が受け入れられ、韓国が外交戦で事実上完敗した」という分析が出ている。
きっとこれからも、慰安婦資料をめぐる日韓の歴史戦は続く。
それと、日本は「妨害」なんてしていない。
東京が一番下になったのは、きっと偶然じゃない。
最近、中央日報にこんな記事(2017年11月28日)があった。
韓国の財団法人「韓半島平和構築」の理事長さんが次のように述べている。
「韓国は北核問題解決のための韓・米・日・中・露5者協力の促進者の役割ができる位置にいる」とし「核開発による機会費用を最大化することで北に最大限の圧力を加えながらも、北が対話の場に出てくれば5者が提示できる包括的妥協案を主導的に作る役割をしなければいけない」と強調した。
強調するのはいいけど、本当にできるのだろうか?
韓国が、米・日・中・露の協力を促進させることができるのか?
韓国が、北朝鮮・米・日・中・露にたいして、主導的な役割を果たすことができるのだろうか?
これも「大韓国主義」や「韓国中心主義」といった、韓国人の好きな考え方のあらわれだと思う。
韓国が主導して北朝鮮の核問題を解決してくれるのなら、大歓迎だけど。
でも、現実の韓国の力からすると、それは果てしなくむずかしそうだ。
朝鮮日報は社説(2017/11/25)で、中国にたいする韓国の態度はあまりに弱腰で「物乞い」のようだ、と怒っている。
会談で中国外交部(省に相当、以下同じ)のトップが韓国に無礼な態度を取ってきたかと思えば、今度は韓国を完全に従わせようとしているのだろうか。
「物乞いをしてまで韓中首脳会談をやるべきなのか」
韓国は自国の安全保障さえも、中国に支配的な影響を受けている。
アメリカから見ても、今の韓国は信頼できるパートナーにはなっていない。
フジテレビの「とくダネ (2017年11月8日)」によると、トランプ大統領は韓国の文大統領にかなりの不信感をもっている。
以下、番組のキャプチャー
こんな韓国だけど、財団法人の理事長は「韓国が中心となり、北朝鮮・米・日・中・露のなかで主導的な役割を果たせ」と強調する。
でも、大変失礼ながら、今の韓国にそれができそうな可能性を感じさせるものが何もない。
アメリカ・中国・北朝鮮に振り回されていないか?
中国だけにでも、韓国が主導的な役割を果たしてことがあったか?
「韓国が生き残るためには、現実離れした偉そうな態度をとってはいけない」というのが、韓国の伝統的な考え方だった。
朝鮮の国王は、中国の天子=皇帝にたいし、「小を以て大に事える」の礼をとることによって、大国の脅威から小国の安全を保つことができた。つまり夜郎自大な態度をつつしみ、大国にたいする小国の礼を堅持したのである。
「朝鮮儒教の二千年(姜 在彦)」
韓国と中国は陸続きだ。
中国の皇帝を怒らせたら、すぐに攻め込んでこられ、国はメチャクチャになる。
「夜郎自大になってはいけない」という考え方は、弱いとか臆病とかではなくて、中国という強大な国の隣で生き続けるために必要な知恵だった。
今の韓国が中国には弱いのは、こうした歴史によるものだろう。
ちなみに、「夜郎」とは古代中国にあった異民族のことをいう。
やろう‐じだい【夜郎自大】
《「史記」西南夷伝にみえる話で、昔、夜郎が漢の強大さを知らずに自分の勢力を誇ったところから》
自分の力量を知らずにいばること。また、そのさま。「デジタル大辞泉の解説」
国連事務局を韓国に持ってくるとか、北朝鮮・米・日・中・露のなかで韓国が主導的な役割を果たすとか、実際の韓国の力量を超えているとしか思えない。
でも、韓国の人たちは、こういう大きなことを言ったり聞いたりすることが好きなんだと思う。
韓国の新聞には、昔からそんな記事やコラムがある。
そういう言葉を読者はいつも求めているからだ。
「Hi-Seoul」と「Soul Oof Asia」がなくなって、今のソウルの都市ブランドは「I SEOUL U」になっている。
これは「私とあなたのソウル」という意味なのだけど、ハッキリいってよく分からない。
レコードチャイナの記事(2016年10月28日)の記事には、韓国人からも不評だと書いてある。
ソウル市のブランド「I SEOUL U」、決定から1年もなお異論
「アイソウルユーに代わってからハイソウルの価値を実感した」
「外国人の友達に『I SEOUL U』を見せたら、みんなきょとんとしてた」
「市長の無能がよく表れた結果」
「アイソウルユーって何だよ?翻訳を間違った店のメニューみたいじゃないか」
「I SEOUL U」にはこんな意味がある。
「わたしとあなた、市民と市民、ソウル市民と世界の人々・・。あらゆる関係の中心にソウルがあります」
「Soul Oof Asia」という言葉を変えても、「ソウルが中心にある」という考え方は変わっていない。
やっぱり韓国は韓国だった。
こちらの記事もいかがですか?
韓国の新聞の特徴②日韓関係が悪くなると慌てる(釜山の慰安婦像)
海外から見た明治の日本①日清戦争・中国の半植民地化・朝鮮独立
コメントを残す