これまでに、飛行機には50回以上乗ったことがある。
飛行機の窓の外で見たものは雲や鳥なんかで、珍しいものはない。
あえて言えば、雷ぐらい。
でも、香港のキャセイ航空(Cathay Pacific Airways)の乗務員が見たものはワケが違う。
彼らが飛行機の中から目にしたのは、大陸間弾道ミサイル(ICBM)だった。
香港と米国を結ぶ便に乗っていた乗務員が北朝鮮のICBMを見た、とニュースになっている。
AFPの記事(2017年12月4日)から。
北朝鮮は11月29日、米本土に到達可能とみられるICBMを発射しているが、同航空の声明によると、乗務員は同日に「DPRK(北朝鮮)が最近試射したミサイルの大気圏再突入とみられるもの」を目視したという。
キャセイ航空の乗組員は、ミサイルが「爆発してバラバラになった」というところまで見ていたという。
飛行機の乗務員は世界中にいるけれど、「大陸間弾道ミサイルを見た」というのはこのキャセイ航空の乗務員ぐらいだろう。
北朝鮮のミサイルのことは日本政府にまかせるとして、ここではキャセイ航空の「キャセイ」という言葉に注目したい。
香港のキャセイ航空のことは前から知っていた。
でも、「キャセイ」という言葉の意味や由来が分からなかった。
香港人の友人に聞いてみたところ、彼女も知らなかった。
「キャセイの意味ですか?それは知りませんねえ。イギリス人がつくった会社だから、英語なんでしょうけど」
こんなことを言って首をかしげる。
キャセイ航空は彼女の言うとおり、1946年にスワイヤーというイギリス人によってつくられている。
中国がアヘン戦争でイギリスに負けてから、香港はイギリスの支配下(1842年~1997年)におかれていた。
調べてみたら、「キャセイ」とは、高校の世界史で習った「契丹(きったん)」のことだった。
ウィキペディアの「キャセイパシフィック航空」にはこう書いてある。
契丹に由来する中国の名称「カタイ」の英語訳で、英語では中国の旧称となっている。現地中国語名は國泰航空公司と表記されている。
契丹とは中国の北方にいた遊牧民のこと。
契丹
遼王朝を建てた、遼河上流域に居住していた遊牧民。中国の史料では、6世紀初頭から元朝時代まで「契丹」とあり、キタイやキタン、カタイ(Khatai)とも称される。中国を指す呼称としてイスラーム圏やヨーロッパに伝わった。
「世界史用語集 (山川出版)」
10世紀の契丹(ウィキペディアから)。
この地図にあるとおり、契丹は中国北部にあった。
でも、香港は中国南部にある。
なんで「契丹」が香港の航空会社の名称になったのか?
この理由は、英単語の「Cathay(キャセイ)」は「中国」をあらわすからだった。
ウェブスター辞典には「China」と書いてある。
China; — an old name for the Celestial Empire, said have been introduced by Marco Polo and to be a corruption of the Tartar name for North China ( Khitai, the country of the Khitans
キャセイとは中国の古いよび方だった。
ウェブスターの説明には、「introduced by Marco Polo(マルコ=ポーロによって紹介された)」と書いてある。
マルコ=ポーロ(1254~1324)はイタリアの商人で、冒険家としても知られている。
中国にわたり、元の皇帝フビライにつかえていた。
「celestial」には、「天の、神聖な、素晴らしい 、最高の」といった意味がある。
キャセイ(中国)を「Celestial Empire(神聖な帝国、最高の帝国)」として、マルコ=ポーロがヨーロッパに紹介したのだろう。
イギリス人が香港の航空会社に「キャセイ」と名づけたのは、この言葉に「Celestial Empire」という古くて神秘的なイメージがあったからもしれない。
キャセイ航空には「マルコポーロクラブ」という会員制のクラブがある。
「マルコポーロがキャセイ(中国)をヨーロッパに紹介した」とうことにちなむのだろう。
*ホームページのキャプチャー
おまけ
中国の紫禁城。
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