アニメとパンダ:国のイメージを作る「外交官」
アニメを通じて日本のファンになる外国人はとても多い。日本にとってもっとも優秀な「外交官」がアニメなら、中国にとってのそれは「パンダ」だろう。
あの愛くるしい姿は、国や宗教の壁を越えて人々の心を癒やし、中国の印象を大きく上げている。
上野動物園の人気者、シャオシャオとレイレイも役目を終えて、明日(1月27日)、中国に移動する予定だ。
ところで、世界中で親しまれている「パンダ」という名前には、実は意外な歴史が隠されているのを読者諸兄はご存知だろうか。
「パンダ」はレッサーパンダを意味した
「パンダ」という言葉は、フランス語を経て英語になった。語源はネパール語で「竹」を意味する「ポンヤ」がなまったもので、「竹を食べる者」を指す説が有力だ。
もともと、これは現在の「レッサーパンダ」のことだった。
19世紀前半、ヒマラヤ付近で発見されたこの生き物が、最初に「パンダ」として西洋に伝わった。その後40年以上、パンダといえばレッサーパンダを指していた。
しかし、わが世の春を謳歌していたレッサーパンダに、強力なライバルが出現する。
ジャイアントパンダの登場と名前の逆転
19世紀後半、同じく笹(ささ)を主食とする、白黒の大きなクマのような動物が発見され、「ジャイアントパンダ」と呼ばれるようになった。
おそらく見た目のインパクトからこの新参者が世界中で人気になり、あまりに有名になったため、「パンダ」という名前を独占してしまった。
その結果、元祖パンダは「レッサー(lesser;小さい方の)」という言葉を付け足され、「パンダ」の名を譲ることになった。
まさに名前の「逆転現象」だ。
中国や台湾での呼び名の違い
中国語でも同じ現象が起きた。
歴史的にパンダ(ジャイアントパンダ)には「貘」、「花熊」、「竹熊」といった名前が付けられたが、今では「大熊貓」、または単に「熊貓」と呼ばれている。
英語の「panda」と同じように、中国語で「熊貓」はもともとレッサーパンダだけを指していたのに、今ではそれはジャイアントパンダを指し、元祖(レッサーパンダ)は「小熊猫」と呼ばれるようになった。
ちなみに、台湾では少し違う。中国語の「大熊猫」ではなく「大猫熊」と呼ぶ。
パンダはクマ科の動物だから、という理由だと思われるが、中国との違いをアピールしたいという政治的な意図もあるかもしれない。

ポテトにも起きた「名前のハイジャック」
これと同じ「悲劇」はポテトにも起きた。
大航海時代、ヨーロッパ人がアメリカ大陸で発見した甘いイモを、最初は「ポテト(現在のサツマイモ)」と呼んでいた。
しかし後から、別の種類のイモ(ジャガイモ)が持ち込まれてヨーロッパ全土に広がると、「ポテト」という言葉はいつの間にかジャガイモを指す言葉に変わった。
その結果、元祖ポテトは区別するために「スイート(甘い)」と付け足されることになった。
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言葉の由来と変化:次はどの名前が奪われる?
言葉は生き物だから、時代の移り変わりによって変化する。今、当たり前に呼んでいる名前も、いつかまた別の「新参者」に奪われているかもしれない。レッサーパンダとスイートポテトのような「被害者」は、これからもきっと現れるだろう。
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