【崇洋媚外】中国人はクリスマスをどう考え、どう過ごす?

日本と中国はどっちも漢字を使っていて、文化的には共通点があるけれど、政治的には大きく違う。
このロイターの記事が伝えている内容は、日本だったらありえない(2023年12月25日)。

中国、地方はクリスマス「封印」 外国の風習に神経とがらす当局

中国のある地方では、ショッピングモールでクリスマスカードやプレゼントを売らないように、当局から「指導」があった。また、別の地方では、朝鮮戦争での中国軍と国連軍の戦いを描いた映画『長津湖の戦い』の鑑賞が呼びかけられた。

いっぽう、日本では、クリスマスにカップルがデートをするのは「裏山けしからん」ということで、革命的非モテ同盟が「クリスマス粉砕デモ」をおこなっている。
「クリスマスには戦争映画を観よう!」と呼びかけるのは、アニメや小説に出てくる日本だけで、現実では考えられない。

さて、最近、成都から来た中国人留学生(20代・男性)と会って、クリスマスについて話を聞いた。これから、その内容を「大学生の龍(ロン)とショウがカフェで会話をしている」という設定でお届けしよう。

 

 

ロン:ショウ、見てよ。この店のクリスマスツリー、すごく綺麗だね。ショウのセンスもこれくらいキラキラしてたらいいのにね。

ショウ:……。ほめ言葉で人を絶望的な気分にさせるのも、ある意味才能だと思うわ。で、中国でもクリスマスをやるの?

ロン:普通にするよ。レストランやいろんな店でクリスマスの飾りを付けるし、ロマンチックな日だから、若いカップルは頑張って良さげなレストランで食事をすることもある。

ショウ:へ〜、なんか意外。中国は共産主義の国かと思ったけど、日本と同じで商業主義が行き渡っているんだ。
クリスマスにはアメリカでは七面鳥、日本ではフライドチキンというのが定番だけど、中国人は何食べるの? やっぱり北京ダック?

ロン:リンゴかな。若い人のあいだでは、クリスマスイブにリンゴをプレゼントする習慣がるからね。でも、「クリスマスにはこれ」っていうのが無いから、みんな好きなものを食べるよ。

 

 

ショウ:中国共産党は、宗教関係のイベントにはもっと厳しいと思ってたよ。サンタクロースは入国禁止Death、みたいなさ。

ロン:そうそう、この前サンタがフィンランドへ送り帰されたって人民日報に書いてあった。しらんけど。でも、信仰の自由が認められているのはホント。クリスマスの日にはキリスト教徒は教会へ行って礼拝してるし。

ショウ:へぇ。それはもっと意外。「宗教=アヘン=厳禁」ってイメージだったけど、そうでもないんだ。でも、ネットをみると、中国内のキリスト教組織は政府の「指導下」にあるって書いてあるけど(中国のキリスト教)。

ロン:共産主義は無神論という立場だから、共産党員がクリスマスのお祝いをするのはできないだろね〜。でも法律の範囲内なら、普通の人が文化として楽しんだり、信者が祈ったりするのは問題ないんだ。

ショウ:なるほどな。日本や欧米ほどの自由はなさそうだけど、それくらいなら無問題(モーマンタイ)なのか。
まぁ、宗教に関して日本は自由すぎるけど。お坊さんがサンタクロースの格好をして、お寺でクリスマスパーティーをしている写真を見て、マダガスカル人のキリスト教徒が「This is too funny 🤣🤣🤣」って笑ってたし。

ロン:そうそう、日本は宗教にユルくて「何でもアリ」だよね。そこが好きなんだけど。

ショウ:中国では政府が宗教を管理下におくけど、日本政府は基本的にタッチしないから。

 

北欧の巨大クリスマスツリー

 

ロン:日本では「クリスマス粉砕デモ」みたいに、クリスマスモードに反発する人がいるんだよね?

ショウ:ネタとしてね。

ロン:中国では、クリスマスを楽しむ空気が広がると、それに反発して「崇洋媚外」って非難する人もいる。ショウは日本人だから、少しくらい頭がポンコツでも漢字を見れば意味がわかるよね?

ショウ:あおりはスルーして、「外国の文化を崇拝して、媚びへつらう」ってことだろ。福沢諭吉の「脱亜入欧」の逆だな。これって、おもに西洋文化に対してだよな?

ロン:そう。政府は漢民族の伝統文化を尊重しろって呼びかけてるし、国民もそれを基本的には支持してる。それで、クリスマスを楽しむ風潮に反発する愛国者がいる。

ショウ:愛国的な反動か……。日本にもあったよ、もっとずっと過激な形で。明治時代、神聖な日本(神州)に西洋文化が広がることを「ケガレ」と嫌悪して、反乱を起こした集団もあった。

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ロン:中国なら義和団事件かな。あれもキリスト教や外国勢力を駆逐して、民族の伝統や尊厳を守ろうとした運動だった。
現代の「崇洋媚外」の中心にも愛国心があるから、義和団事件と背景は似ている。

ショウ:やっぱり、クリスマスには北京ダックが最適解じゃないか。
そういえば、数年前に中国で女の子が浴衣を着て街なかで写真を撮っていたら、警官に「お前は中国人だろ!」と怒られた。それも「崇洋媚外」が原因にあったんだろうな。
だから、中国のクリスマスも政府の意向を意識して、愛国心を持って楽しまないといけない。

ロン:そこまで堅苦しくないと思う。

 

 

中国 「目次」

日本 「目次」

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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