今、自民党の萩生田(はぎうだ)幹事長代行の言葉に関心が集まっている。
萩生田氏は大阪市で開かれた党大会で、歴史問題に関してこう
「戦後72年たっても、72年ちょっと前の歴史をつまみ出されて日本が批判され、国際社会の中で時には袋だたきに遭う。おかしなことだと思わないか」
具体的な内容にはふれなかったけれど、これは慰安婦問題での日本批判を念頭においている。
くわしいことは、時事通信社の記事(2017/12/10)を検索して見てください。
「対日歴史批判に不満=萩生田氏」
この歴史認識について、ネットでは賛否が分かれている。
〇賛成
・国際社会では自国の正当性を主張せず黙ってるほうが悪い
米にしろ中にしろ英も露も批判されてそのままにしてる国などないし そもそも批判自体そんなに気にしてない
・この問題で日本を支持する人はいないとか誰かに言われたらそれだけで引いちゃうんだよ
・支持されてないならなおさら主張しろよと
何も言わなきゃそのまま支持されないまんまだろ
されなければなにをやっても無意味、最近は少し頑張ってる
〇反対
・まだ72年しかたってないとか怖いよね
・批判されるようなことをしたんだから仕方ないだろ
・そりゃ言い訳ばかりして真正面から謝罪しないからだろ
あなたはどう思いますか?
ボクとしては萩生田(はぎうだ)氏の意見には賛成できる部分もあれば、同意できないところもある。
これは国民一人一人が考える問題だ。
何ていう「どっちもつかず」のズルい言い方はしませんよ。
萩生田氏の表現には違和感を感じるところがあるけれど、基本的にはこの考え方に賛成だ。
国際社会での日本批判には、事実にもとづかない不当なものがある。
それには黙っていないで、反対の声をあげたり具体的な行動で抗議したりしたほうがいい。
そう考えるのは、安倍首相のほかの政策はともかくとして、この考え方は支持しているから。
あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。
今の大人たちが歴史問題での日本批判にたいして何も反論しなかったら、世界では、間違ったことが「歴史の事実」になってしまう。
そうなると、迷惑するのは今の子どもや孫たちだ。
実際サンフランシスコ市では、「慰安婦の強制連行」が事実になってしまった。
先ほどの安倍首相の談話では、「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」と慰安婦の人たちについてもふれている。
そうした辛い思いをした人たちがいたことはたしか。
でも、慰安婦問題について「強制連行」「性奴隷(sex slaves)」「慰安婦20万人」という説は事実ではない。
根拠がまったくないのだから。
歴史の事実と想像の産物とはしっかり区別しないといけない。
でも今の国際社会では、この3つが「歴史の事実」として広く定着している。
それで2016年に、やっと日本政府が動き出した。
国連の場で、「強制連行・性奴隷・慰安婦20万人」の3つを「事実に反する・根拠がない」と公式に否定したのだ。
日本政府が”反撃”に出たのはこれが初めて。
英語のことわざで、「better late than never(遅れてもやらないよりはまし)」というものがある。
やらないよりはましだったけど、それでも日本政府の動き出しは遅かった。
10年以上前に国連の場で明確に否定していたら、今のような”日本たたき”はなかったのではないか?
サンフランシスコ市に慰安婦像が建つこともなかったかもしれない。
日本軍による「慰安婦の強制連行」の根拠は、吉田清治氏の証言だった。
日本軍の命令で韓国の済州島で女性をさらった(女性狩り)と言ったのだけど、後になって、これがウソだったと吉田氏が認めている。
さらに、日本軍が強制連行したという根拠が出てこない。
これを受けて日本政府はようやく、国連で日本軍による強制連行は「想像の産物」だったと否定した。
る産経新聞の記事(2016.2.17)から。
吉田氏の本の内容が「朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた」とも述べ、内容は「複数の研究者により完全に想像の産物であったことがすでに証明されている」と明言した。
でもハンギョレ新聞の記事(2016.03.07)によると、はじめ外務省は国連の場でこうしたことを言わないつもりだったという。
日本外務省は当初、韓日政府間の12・28合意に基づき、慰安婦問題についての詳細な言及は控える方針だった。しかし、安倍首相の最側近の一人、衛藤晟一・首相補佐官が「外務省が事実を明らかにしないことが、問題をこじらせてきた」と反発し、方針転換を求めた。
安倍首相が外務省を動かした背景には、「私たち子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」という思いがあったのだと想像する。
安倍首相はこの2ヶ月ほど前、参議院予算委員会で「海外のプレスを含め、(慰安婦問題について)正しくない事実による誹謗中傷があるのは事実」と発言していた。
日本が初めて国連の場で「強制連行・性奴隷・慰安婦20万人」の3つを否定したことも、この考えにそったものだろう。
「外務省が事実を明らかにしないことが、問題をこじらせてきた」というのは、まったくそのとおり。
萩生田(はぎうだ)氏は「日本が批判され、国際社会の中で時には袋だたきに遭う。おかしなことだ」と言う。
それはそうだけど、それは外国だけに責任があるわけではない。
日本にもそうなるだけの原因があった。
慰安婦問題をはじめ歴史問題について日本が批判されても、「見て見ぬふり」をして黙っていた日本人も多かった。
「慰安婦問題についての詳細な言及は控える方針だった」という外務省の考え方もこれと同じだ。
慰安婦問題についてみれば、日本が外国から非難されたとき、日本は黙っているか「遺憾の意」をしめすぐらいの抗議しかしてこなかった。
2017年の今になって見ると、慰安婦像は韓国国内だけではなく、アメリカをはじめ世界の各地で建てられてしまっている。
日本人が沈黙することで、問題が解決したり広がらなかったりしたらよかった。
でも、現実は逆だ。
下のグラフは、FNNがおこなった世論調査(2017年1月28日~1月29日)の結果をあらわしている。
韓国・釜山の日本総領事館の前に慰安婦像が設置された。
これに対する抗議として、日本政府は韓国に駐在する大使らを一時帰国させた。
「これについてどう思うか?」を聞いたところ、80%以上の人がこれ支持、大使らが韓国へ戻るのは慰安婦像が撤去されてからという人が68%という結果が出た。
80%以上の国民が政府の決定を支持している。
「遺憾の意を唱えるだけでは意味も効果もない」と多くの人が気づいているのだろう。
たとえ韓国が反発しても、日本は強く抗議する。
そんな日本政府の強い態度にこれほどの支持が集まったことは、あまり記憶にない。
国連の場で日本政府が「強制連行」や「性奴隷」を否定したことについての世論調査をしたら、多くの国民は政府を支持するだろう。
この記事のはじめに「最近は少し頑張ってる」というコメントを紹介したけれど、日本政府や日本人の意識が変わってきているように思う。
日本人はむかしから自分の意思をハッキリあらわさない。
そんな国民性について、評論家の小室直樹氏はこう書いている。
一言も反論しようとしない。
これでは相手が困ってしまう。 韓国でも中国でも欧米でも、右のような態度をとると、この喧嘩、こっちが負けました、という意味でとられる。
(中略) 日本人みたいに何も言わない、反論しないとなると、こっちの言っていることに、この日本人は賛成なのか反対なのか、それどころか、自分の言っていることが正確に伝わっていないのか、それすらわからない。「韓国の悲劇 (小室直樹)」
相手が日本人なら「沈黙は金」で通じるけれど、外国人にはそうはいかない。
沈黙は損ではなくて、負けだ。
それで困るのは未来の日本人だ。
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