前回、元駐韓日本大使で韓国をよく知る武藤氏の言葉を紹介した。
産経新聞の記事(2015.5.21)から。
韓国の反日については「韓国では政治を離れ、国民レベルでは、日本が好きという人がむしろ多いと思う」と話し、「反日を言っているのは朴槿恵(パク・クネ)大統領であり、政治家であり、マスコミであり、非政府組織(NGO)だ」と非難した。
ここでは韓国で反日が高まる原因として、韓国のマスコミ報道をあげている。
逆に、日本人がそんな”反日”的な報道を見たら、嫌韓になってしまう。
前回は、中央日報の記事「ユネスコ慰安婦記録物登録妨害に成功した日本、分担金支払いへ 」や朝鮮日報の記事「相手によってソファー取り換え、安倍首相の稚拙な外交」を例にあげて、そのことを説明した。
今回もその延長で、韓国のマスコミ報道が日本の”嫌韓”をつくる原因になっていることを書こうと思う。
最近、中央日報にこんな記事(2017年12月15日)があった。
はじめは、北朝鮮のフィギュアぺアが平昌オリンピックに出場するはずだった。
そのはずだったのだけれど、北朝鮮が出場権を放棄したため、日本のペアが出ることになった。
だったら見出しには、「北朝鮮が出場権を放棄、代わりに日本フィギュアペアが参加」とでも書いたらいいと思うのだけど、韓国の新聞記事では「北朝鮮のおかげで」といったイヤらしい言葉をつけることがよくある。
日本の全国紙が記事に、「韓国フィギュアペア、北朝鮮のおかげで出場権を獲得」という見出しをつけることはないだろう。
韓国に対する悪意を感じる。
慰安婦問題や竹島問題でもないのだから、もう少し日本に配慮した言葉を使ってほしいもんだ。
フィギュアといえば、浅田真央選手が引退を表明したときの韓国の報道もひどかった。
「ひどかった」というのは”日本から見れば”ということで、韓国の価値観からすれば「ふつう」なんだと思う。
韓国のマスコミが浅田真央選手について書くとき、必ずといっていいほどキム・ヨナ選手が登場する。
ライバル関係にあったのだからそれは分かるけれど、その書き方が日本人からするとイラッとくる。
たとえば、中央日報はこんな記事(2017年04月12日)をのせていた。
「キム・ヨナを追い抜けず」というのは、2010年のバンクーバー・オリンピックでキム・ヨナ選手が浅田選手をおさえて金メダルを取ったことをさしている。
でも、「浅田真央が引退」に「キム・ヨナを追い抜けず」なんて言葉が必要だろうか?
先ほどの「北朝鮮のおかげで」と同じで、韓国の新聞記事には余計な一言が多い。
この記事は「浅田真央が引退」というものなんだけど、内容はキム・ヨナ選手をたたえるものが多い。
「キム・ヨナは2014ソチ五輪では釈然としない判定のせいで金メダルをアデリナ・ソトニコワ(ロシア)に譲った」
(キム・ヨナは)「優れた演技で賛辞を受けながら引退した。一方、浅田は6位にとどまった」
「釈然としない判定のせいで金メダルを~」というのは、「浅田真央引退」とはまったく関係ない。
キム・ヨナ選手を「韓国の誇り」にしていることは分かるけど、引退する選手に対してもう少し敬意を表してほしい。
韓国で最大の発行部数を誇る朝鮮日報も、浅田選手の引退を伝えている。
その記事のタイトルがこれ。
「 フィギュア:サヨナラ真央 ヨナの陰に隠れたナンバー2、平昌五輪の夢破れる」
そしてこれが記事の中身。
「ナンバー1だけが記憶される世界」では多くのスポーツ選手が涙を流す。
「ナンバー1」とは金メダルを取ったキム・ヨナ選手のことで、「涙を流す」というのが6位に終わった浅田選手のこと。
「サヨナラ真央」は分かるけど、「ヨナの陰に隠れたナンバー2」なんて言葉を使うから、日本人をイラッとさせてしまう。
中央日報の記事でも同じような表現がある。
韓国メディア、浅田の引退を一斉に報道…「韓国のファンも残念」
キム・ヨナがグランプリとバンクーバー五輪を制覇するなど“フィギュアの女王”として派手に注目されたが、浅田はいつもキム・ヨナの影にとどまった
「キム・ヨナを追い抜けず浅田真央が引退へ」
「サヨナラ真央 ヨナの陰に隠れたナンバー2」
「浅田はいつもキム・ヨナの影にとどまった」
これらの言葉は、新聞社の中で複数の人間がチェックしているはずだから、「適正で問題はない」と判断されたのだろう。
韓国でこれは、常識の範囲内なんだと思う。
でも、日本の新聞だったら、こうした書き方はしない。
日本人の感覚からしたら、引退する選手に対して、もう少し配慮したり敬意を表したりする。
韓国の新聞記事は韓国人の読者を想定して書かれたものだから、日本人の価値観や考え方に合わせていないことは分かる。
韓国の考え方からしたら「ふつう」で、悪意があったわけではないと思う。
だけど、こうした報道が日本にあたえた影響は大きかった。
「浅田真央引退」のニュースの次に、「韓国ではこんな報道がされている」ということがニュースになる。
韓国の報道が日本に伝えられた結果、韓国を好きでも嫌いでもなかった人が韓国嫌いになってしまった。
このとき、韓国に関心がなかった多くの人を”嫌韓”にさせたと思う。
実際、ボクのまわりにそういう人がいたし、ネットでもそんな声が上がっていた。
でも、それは当たり前。
日本の国民的アスリートが引退するのに、「ヨナの陰に隠れたナンバー2」という言葉を見て、悪感情を持たない日本人を探す方がむずかしい。
韓国のマスコミ報道を知って、韓国が嫌いになっても不思議ではない。
日本人の常識からしたら、韓国の報道はやや失礼で配慮にかけている。
でもこれは、良い悪いの問題ではなくて、「日本人と韓国人では、価値観や感覚が違う」というだけのことだと思う。
韓国の社会では、こうした記事は問題ない。
でも、日本人からするとイラッとしてしまう。
韓国の新聞は時々、日本での嫌韓を非難する記事を載せている。
たとえば、中央日報にはこんな記事(2017年04月28日)がある。
記事について書き込まれた全体のコメントは数十万件。韓国関連のコメントが最も多い20%を占めた。その多くに嫌韓の意識が色濃くみられたと、同紙は伝えた。
侮蔑的なコメントだけを別に分析した結果、嫌韓コメントの比率は80%に上がった。
韓国の新聞は、”嫌韓はこびる”日本の社会を問題視しているけれど、日本人を”韓国嫌い”にさせている原因は韓国のマスコミ報道にもある。
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