韓国の政治家が反日をやめられない理由。リスクなしで支持率アップ。

 

韓国の政治家が支持率を上げることは、そんなにむずかしくはない。

日本をぶったけけばいい。
日本を敵視して反日をアピールすればいい。
今の文大統領がまさにそれ。

朝鮮日報の社説(2017/12/29)でそのことについて書いてあったから、その個所を抜き出してみる。

「日本を敵視する文大統領、国益は計算しているのか」から。

文大統領は自らの「親中反日」の考えをもはや隠そうともしない

まるで日本を完全に敵対視しているかのようだ。このような言動は大衆からの支持は得られるかも知れないが

日本を批判するのは韓国の政治家にとっては非常に魅力的に映る。なぜなら誰もが簡単にできるし大衆からの支持も得やすいからだ

「日本は反省が足りない」「心からの謝罪が必要だ」と歴史問題で反日を叫ぶことは、韓国ではほぼリスクがない。
ノーリスクでハイリターン。
しかも「誰もが簡単にできるし大衆からの支持も得やすい」というのだから、韓国の政治家はこれをやめられない。

 

でも、文大統領は行き過ぎだ。
韓国の全国紙が不安になるほど、という反日ぶりは突き抜けている。

 

朝鮮日報は文大統領について、「まるで日本を完全に敵対視しているかのようだ」と書いていた。

釜山市の区長が日本総領事館前にある慰安婦像を、一度撤去したことがある。
文氏(当時は大統領ではない)がそれを「親日行為」と非難した。
「日本を敵視している」とは、そのことをさしている。

この慰安婦像は韓国の国内法にも、ウィーン条約にも違反している。

区長が法にもとづいてこれを撤去したら、文氏はそれを「親日的な行為だ」と叫ぶ。
法律は関係ない。
反日をアピールすれば支持率は上がる。
実際、文氏は韓国の大統領になることができた。

 

敵をつくってそれをたたけば、人びとの共感を得ることができる。
これはドラマやマンガのお約束。

水戸黄門でも北斗の拳でも、敵はできるだけ悪者にして、見ている人の怒りをあおる。
そして、正義の味方が現れてやっつける。
まさに王道。

韓国劇場もこれに似ている。

 

「反日パフォーマンスをすれば、国民の共感を得られて支持率も上がる」

去年、トランプ大統領のために韓国政府が開いた夕食会でもそれを強く感じた。

このときの晩さん会で、「独島エビ」と「元慰安婦」が出てきたことには日本中が驚いた。

日本のテレビ番組がこれに飛びつく。
これを「反日晩さん会」と紹介する番組もあった。
ボクのまわりで、韓国に関心がなかった人が「韓国って何か感じ悪いよね」ということを言っていたのがこのときで、ネットでも韓国への評判は散々。

 

でも韓国では違う。
この後に韓国でおこなわれた世論調査では、文大統領の支持率は80%を超えていた。
「KBS WORLD Radio」の記事(2017-11-13)から。

文大統領の国政運営を肯定的に評価している人の割合は全体の80.9%に上り、先月に比べて1.4%ポイント上昇しました。

文大統領の支持率が80.9%に

韓国の人たちが文大統領を支持する最大の理由は「国民とのコミュニケーション」で、これが全体の28.3%をしめていた。

「独島エビと元慰安婦」に対して、日本の反応は怒るかあきれるかがほとんどだったけど、韓国ではこれが「国民とのコミュニケーション」になる。

 

トランプ大統領をもてなすための夕食会なんだから、大統領がよろこぶものだけを用意すればいい。
日本は関係ないから、無視すればいい。

”反日晩さん会”というのは、本当にバカバカしい。
でも、韓国でそれは「誰もが簡単にできるし大衆からの支持も得やすい」のだから、政治家としてはやめられない。

 

中国に孟子(もうし:紀元前372年? – 紀元前289年)という儒学者がいた。

韓国も日本も 孟子の考え方には大きな影響を受けている。

その孟子が「為政者(政治家)が天下をとる方法」についてこう言っている。

天下を手に入れるには方法がある。一言でいえば人民を得ること。人民を得るに方法がある。すなわち民心を得ること。そうすれば人民が得られる。民心を得るには彼らが欲するものを彼らのために集め、いやがることは行わない。これだけでよい。

「一九九〇年代の日本  山本 七平(PHP文庫)」

まさに文大統領ではないか。

文大統領は「日韓合意で慰安婦問題を解決することはできない。日本が被害者に謝罪して許されることが、完全な解決だ」と言って、韓国国民が欲するものをあたえる。

でも、国民がいやがることは行わない。
日本大使館前の慰安婦像を撤去しようとはしないし、そのことについて何も言わない。

 

「彼らが欲するものを彼らのために集め、いやがることは行わない」という孟子の言葉どおりのことをして、文大統領は天下(圧倒的な支持率)を手に入れた。

 

元駐韓日本大使で韓国をよく知る武藤氏が、韓国の反日についてこう話している。
産経新聞の記事(2015.5.21)から。

韓国の反日については「韓国では政治を離れ、国民レベルでは、日本が好きという人がむしろ多いと思う」と話し、「反日を言っているのは朴槿恵(パク・クネ)大統領であり、政治家であり、マスコミであり、非政府組織(NGO)だ」と非難した。

「韓国はもう反日をやめるときだ」 「日韓対立の真相」著者の武藤正敏・前駐韓大使に聞く

支持率を上げるために反日を叫ぶのは、今の文大統領だけではない。
韓国では、昔から政治家はそうしてきた。

 

でも、最近の文大統領は調子が良くない。
中央日報の記事(2018年01月26日)では、初めて50%台にまで支持率が落ち込んでいる。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率が就任後初めて50%台に落ちたことに対して青瓦台(チョンワデ、大統領府)が驚いた様子だ。

文大統領の支持率50%台墜落の警告

こうなると、また支持率を上げるために「日本を完全に敵対視」するようなことを言い出すような気がする。
朝鮮日報が書くように、「なぜなら誰もが簡単にできるし大衆からの支持も得やすいから」。

2012年、李明博元大統領は支持率が低下したときに、独島(竹島)へ上陸した。
この後、支持率が回復している。
政治家が反日アピールをすると、国民がよろこぶ。
韓国のこの社会構造は変わらない。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。