IOCと日本人のお願い「韓国は選手に敬意をしめしてほしい」。

 

オリンピックという世界最大のスポーツ大会では、良いことも悪いことも起こる。

今回の平昌五輪で世界中の人たちが失望したことに、韓国人による”サイバーテロ”がある。

一部の韓国人がSNSで、五輪参加選手に個人攻撃をおこなった。
カナダ選手だけではなく、自国の選手にまで”攻撃”をしかけて、選手のアカウントを閉鎖に追い込む。

これには韓国紙の中央日報も「歪んだ愛国心のあらわれ」と強く非難している。

歪んだ愛国心…韓国の「国格」を落とすサイバーテロ

 

多くの韓国人が選手に、殺人脅迫をふくむ心ないメッセージを送りつけたことで、IOC(国際オリンピック委員会)が対応に乗り出した。

五輪開催中に、IOCのスポークスマンが「選手に敬意を払ってほしい」という内容の公式声明を出す。
産経新聞の報道によると、これは「異例」だ。

フランスAFPの記事(2018年2月15日)から。

「選手とそのパフォーマンスに敬意を払い、彼らのこれまでの努力と五輪精神を支持することを、すべての人にはっきりお願いする。五輪は異なる国の選手が友愛の精神の下に競い合う場だ」

カナダのショートトラック選手に韓国国内から非難殺到、IOCは「敬意」求める

「すべての人に」と表現しているけれど、この声明の前後を考えると「韓国人に向けた言葉」とみていい。

また、イギリスBBCの記事(14 February 2018)にも「respect the athletes(アスリートに敬意を)」と書いてある。

でもこれ以前に、カナダのブタン選手にたいして韓国のネットユーザーが大量の嫌がらせメールを送ったことが世界中に報道された時点で、韓国のブランドイメージ(国格)は地に落ちたのだけど。
くわしいことは韓国紙・中央日報の記事(2018年02月15日)をご覧あれ。

韓国人からSNSで殺害脅迫まで…授賞台で大泣きしたキム・ブタン

 

 

話は平昌五輪から離れる。

IOCと同じように「選手に対して、もっと敬意を払ってほしい」と、日本人が韓国にお願いをしたことがあった。
今回はそのことを書いていこうと思う。

キム・ヨナ選手への見方をふくめて、韓国人のいろいろな考え方が見えてくる。

 

 

「選手にもっと意を払ってほしい」と、日本中の人たちが韓国に言ったのは去年のこと。

浅田真央選手が引退を発表したときだ。

このときの韓国の報道が多くの日本人を怒らせる。
「読者受け」をねらった週刊誌ではなて、全国紙の中央日報が次のような記事(2017年04月12日)をのせていた。

キム・ヨナを追い抜けず浅田真央が引退へ

記事のタイトルは「浅田真央が引退へ」だけでいい。
「キム・ヨナを追い抜けず」という言葉をつけたところに、韓国人の”らしさ”があらわれている。

記事の内容もこんな感じだ。

2010年バンクーバー冬季オリンピック(五輪)でキム・ヨナが当時、女子シングルで歴代最高点(228.56)を受けて浅田をおさえ金メダルを獲得した。

他にも、キム・ヨナ選手は「優れた演技で賛辞を受けながら引退した。一方、浅田は6位にとどまった」と、キム選手のすばらしさをたたえる内容になっている。

記事のタイトルも中身も、引退を表明した浅田選手への敬意に欠けている。

 

 

韓国最大の発行部数をほこる朝鮮日報もこのことを伝えていた。
そのタイトルが露骨。

フィギュア:サヨナラ真央 ヨナの陰に隠れたナンバー2、平昌五輪の夢破れる」

記事もひどかった。

「ナンバー1だけが記憶される世界」では多くのスポーツ選手が涙を流す。

もちろん「ナンバー1」はキム・ヨナ選手で、涙を流したナンバー2が浅田選手。
残念ながら、記憶されるのはキム・ヨナ選手だけらしい。

全国紙の新聞がこんな記事を国民に配信している。

 

これを知った日本人がどう反応したかは、だれでも想像できるだろう。

ネットには「韓国はあまりに失礼」「浅田選手に対して、もっと敬意を払ってほしい」というコメントが殺到した。
IOCの「選手とそのパフォーマンスに敬意を払ってほしい」という訴えと同じ。

でも実際は、こんなおだやかな表現ではない。
ここでは書けないような言葉が並んでいた。

それとほかにも、こんなコメントも多かった。

「韓国はもう浅田真央に関わらないでほしい」

 

 

でも、この言葉はどうだろう?

韓国五輪が公式インスタグラムにこんな言葉をのせた。
中央日報の記事(2017年04月17日)から。

「キム・ヨナ選手と善意の競争をしてきた日本のフィギュアスター、浅田真央選手が引退を発表しました。浅田真央選手の今後の明るい未来を祈ります。お疲れさまでした」

浅田真央の引退を2度載せて非難される韓国五輪のSNS

これが一番まとも。
とボクは思ったのだけど、韓国人はちがう。

この言葉には、怒りのコメントが殺到した。

これに反対する内容の書き込みでいっぱいになった。浅田真央はキム・ヨナと善意の競争をしていた関係ではなく、キム・ヨナに多大な被害を与えたため、該当掲示物は適切でないということだ。

国民から袋叩きにされて、韓国五輪はこのメッセージを削除する。

それにしても、「(浅田真央は)キム・ヨナに多大な被害を与えた」という言葉を見たときは少し驚いた。
「こんなことで驚くようでは、まだまだ韓国人の考え方を分かっていない」と反省。

日本人と韓国人の認識には、どれだけ深い溝があるのだろう。

 

一度削除したあと、韓国五輪アカウントは「浅田真央選手、お疲れさまでした」という言葉を再度投稿した。
でも韓国の一部の人たちは、これすら「理解できない」と怒っている。
「浅田真央選手、お疲れさまでした」もダメとか、この態度には日本人が理解できない。

 

 

この話には続きがある。

平昌五輪が開催される3ヵ月ほど前、韓国の李(イ)首相が日本オリンピック委員会の竹田委員長と会ったときに、こんな提案をした。

中央日報の記事(2017年10月25日)から。

安倍晋三首相夫妻の出席も呼びかけながら「キム・ヨナと浅田真央が平昌五輪に参加してガラショーをしてみてはどうだろう」と提案した。竹田委員長は具体的な返事を控えたまま笑顔で返答した。

韓国首相、日本に「キム・ヨナ-浅田真央のガラショー」提案

五輪を成功させるために、浅田選手に平昌でショーをしてもらう。
韓国のこの提案には、竹田委員長も笑うしかないだろう。

1位しか記憶されないのだから、ナンバー1が1人で滑ればいい。

共感はできないけれど、この韓国人らしい発想は理解できる。

韓国がスポーツ選手に対してもっと敬意をしめしていたら、IOCはあんな声明を発表することはなかったし、このショーも実現していたかもしれない。

 

 

こちらもどうぞ。

平昌オリンピック・関連記事 ①

平昌オリンピック・関連記事 ②

「浅田真央の引退」韓国紙の反応。結局は「キム・ヨナすげえ」

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。