すべての努力が”ムダ”になったいま、韓国の文大統領は何を思うか?
「無だ」と答えるかもしれない。
文氏は北朝鮮とアメリカの間に入って話し合いを続け、一か月ほど前には、米朝首脳会談をおこなう約束までこぎつけた。
それで海外メディアから、「The Great Negotiator(偉大な交渉家)」とスポットライトをあびた。
でも今になって、トランプ大統領がいきなり米朝首脳会談の中止を発表した。
韓国にとっては、まさに寝耳に水。
寝耳にスタンガンを当てられたぐらいの衝撃だ。
韓国政府は、米朝首脳会談は必ず実現すると楽観的に考えていた。
政府関係者は「米朝首脳会談は99.9%実現するとみている」と胸をはっていた。
それが一転、まさかのドタキャン。
この知らせに韓国政府はパニック状態におちいり、文大統領も「当惑しており、極めて遺憾だ」とあたふたしている。
得意の絶頂から、一か月で、失意のどん底に叩き落とされる。
「The Great Negotiator(偉大な交渉家)」と世界から称賛された文大統領は、完全にメンツを失ってしまった。
これからその過程をみていこう。
トランプ大統領が会談中止を発表する直前まで、文大統領はアメリカにいた。
文大統領の頭の中は、米朝首脳会談を成功させることしかない。
それでわざわざアメリカまで行って、「6月12日の首脳会談は、必ずおこなってください」とトランプ大統領に念を押していた。
このとき韓国側は、トランプ大統領の同意を得たと確信していたようだ。
聯合ニュースの記事(2018/05/24)にこうある。
文大統領は訪米中、トランプ米大統領と会談し、6月に予定されている朝米(米朝)首脳会談が支障なく行われるよう努力することで一致した。
でもこのときのトランプ大統領の様子は、少しおかしかった。
文大統領との会談で、トランプ大統領は文氏を無視するような態度をとる。
それで韓国メディアが「あれは失礼だ」とムッとする。
文大統領との会談をはじめる直前、トランプ大統領は、その場にいた記者らに質問する機会をあたえる。
そんな予定はなかったのに。
横にいる文大統領を”無視”して、トランプ大統領は記者たちと一問一答を続けた。
トランプ氏は36分間もこれをおこなう。
この”放置プレー”に、韓国側で「外交的に非礼だ」と非難の声が上がる。
しかもこの一問一答で、大事な首脳会談の時間が削られてしまった。
中央日報の記事(2018年05月24日)では、「誰か見ても外交的欠礼だった」と指摘する。
トランプ大統領はこの日、記者らの質問を受けながら「ワンマンショー」を見せた。両首脳が胸襟を開いて話すために準備された単独会談は遅れ、時間も当初の30分から21分に短縮した。誰か見ても外交的欠礼だった。
同盟国のトップを待たせておいて記者と話しはじめるというのは、たしかに失礼だ。
普通ではない。
でも後から考えてみれば、この時にはもう、トランプ氏は文氏を信頼できるパートナーとは見ていなかったのだろう。
韓国側を不満にさせる出来事は他にもあった。
「北朝鮮の態度変化に対する懸念の声が出ているが、どう考えているか」という記者の質問に、文大統領が韓国語で答える。
それを通訳がトランプ大統領に英語で伝えようとすると、トランプ大統領はそれを断る。
この態度は「文大統領の言葉は聞く必要がない」というようなもので、韓国側はこれにもカチンときた。
中央日報の記事(2018/05/23)から。
トランプ大統領は「通訳の言葉を聞かなくてもいい。なぜなら、以前聞いたこと(答え)がはっきりしているからだ」と述べた。トランプ大統領のこの態度についても、外交非礼ではないかとの指摘がでている。
こうした外交非礼があったものの、トランプ大統領との会談を終えた文大統領は、米朝首脳会談の成功に疑いはなかった。
朝鮮日報の記事( 2018/05/23)で、記者団にこう語っている。
「トランプ大統領が会談を必ず成功させ、65年間終わらせられなかった朝鮮戦争を終息させ、北朝鮮の完全な非核化を実現させるとともに、朝鮮半島の恒久的平和体制を構築し、朝米間の国交正常化など正常な関係を築くことを確信する」と述べた。
韓国大統領「朝米会談の成功確信」 トランプ氏は見送りの可能性言及
文大統領がこう話した次の日に、トランプ大統領は米朝首脳会談の中止を発表する。
まさかのドタキャンに韓国政府は言葉を失う。
中央日報の記事(2018年05月25日)には、「『悲報』が飛び込んだ」「衝撃が広がった」とある。
文大統領がアメリカでしたことは、ムダになってしまった。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の真意を保証し、最後まで米朝首脳会談が開かれるべきだとトランプ大統領を説得してきた文大統領の努力が事実上、水泡に帰したという分析がある。
「トランプ大統領が会談を必ず成功させる」と語った文大統領は帰国したとたん、会談の中止を聞かされた。
トランプ大統領は北朝鮮に対して、「我々の核兵器はとても大きく強力だ。私はこれらが使われないことを神に祈る」と言う。
さらにマティス国防長官らに、必要であれば軍事的な態勢を整えるよう命じた。
こういうことをトランプ大統領は、アメリカで文大統領に一言も言っていなかった。
アメリカで外交非礼を受けてからのドタキャン。
これでは、文大統領のメンツは丸つぶれだ。
産経新聞の記事(2018.5.25)から。
米朝首脳会談の中止に、米朝間の「仲介役」を自任していた韓国の文在寅大統領は、面目が完全に潰れてしまった。
トランプ大統領の信頼を得て、海外メディアから「The Great Negotiator(偉大な交渉家)」と世界に伝えられた文大統領は、その1か月後、「当惑しており、極めて遺憾だ」とうろたえてしまう。
世の中、何が起こるか分からない。
南北融和が進む中で、日本は存在感をなくしていた。
それで「日本は蚊帳の外に置かれている」と酷評されたのだけは、今になってみたら、蚊帳の中に入らなくてよかった。
でもこれは”現時点”での話。
これから先、「偉大な交渉家」としての文大統領が復活するかもしれない。
首脳会談の中止を発表したトランプ大統領は、「6月12日に開催されることもあり得る」と後で述べている。
また文大統領にスポットライトが当たるかもしれない。
世の中は、何が起こるか分からないから。
そもそも何をもって韓国の大統領が偉大な交渉家になるのかが疑問です。北と休戦、終戦協定を結ぶ事なのか、慰安婦問題のちゃぶ台返しする事なのか。
厳しいですね。笑。
北朝鮮を対話の場に引き出して、米朝首脳会談を約束させたことは、やはりすごいと思いますよ。
日本に対しては、ヒドイことばかりですけどね。