日本人には「変える力」がある。
外国のものを、自分たちの必要や好みに合わせて変えてしまう。
外来のものを日本化してしまう、というのが日本人の強み。
その代表的な例が着物だ。
着物はもともと中国由来の服だけど、いまでは日本文化の象徴になっている。
日本と中国にくわしい作家の陳舜臣さんに言わせれば、日本の着物は「帯」がちがう。
日本のキモノも、中国の古制とはいうものの、そのとおりではなく、やはり日本ふうにアレンジして保存されたのだ。とくに帯などは、まったく別物になってしまっている。
「日本的 中国的 (陳舜臣)」
中国のものを日本風にカスタマイズした例には、他にも扇子(せんす)がある。
そんな日本文化については、この記事をご覧あれ。
中国文化の日本文化への影響②日本風にアレンジした5つの具体例。
日本のラーメンも中国とは別物だ。
日本にいる台湾人や中国人に聞くと、日本と中国のラーメンの大きな違いはスープにあると言う。
中国のラーメンスープは味がうっすい。
中国ではスープではなくて、ラーメンに乗せる具で勝負しているらしい。
メンツが命の中国人らしく、見栄えを意識しているように思う。
これに対して日本のラーメンはスープを重視している。
大勝軒でバイトをしていた台湾人は、日本人がラーメンスープを作るのに恐ろしいほどの時間と手間をかけていることにビックリしていた。
ということで日本と中国では着物は帯、ラーメンはスープが大きく違う。
*着物は唐の時代のもので、いまのチャイナドレスとはまったく違う。
中国のラーメン
ラーメンよりうどんに近いような。
それと日本のラーメンは味が濃い。
先ほどの台湾人の母親が日本でラーメンを食べたとき、あまりに塩辛かったから、ラーメンに水を入れていたという。
そうするとおいしいらしい。
香港人の知り合いは味噌ラーメンが大好きだったけど、30後半になった今は、味が濃すぎて食べられなくなってしまった。
今では日本のラーメンは一切食べていない。
健康を考えたら、日本より中国式ラーメンの方がいいらしい。
でも、ラーメンのない人生なんて、生きる目的の半分を失ったようなものだ。
ミャンマー人もそんなことを言っていた。
日本食はだいたい味が薄いけど、ラーメンだけは濃いと言う。
ミャンマーには「モヒンガー」という麺料理がある。
日本人にとってのラーメンのようなもので、国民に広く愛されるヌードルだ。
ミャンマー料理はだいたい味が濃いけど、モヒンガーは薄味であっさりしている。
麺はライスヌードルを使用しており、スープはなまずなどの魚からとられている。ミャンマーの国民食的存在の食べ物として知られている。
モヒンガー
いま台湾で「名古屋めし」の人気が急上昇中らしい。
名古屋めしには、具体的にこんな食べ物がある。
味噌煮込みうどん、味噌おでん、卵とじラーメン、手羽先唐揚げ、鉄板ナポリタン、インディアンスパゲッティ、鉄板ナポリタン、インディアンスパゲッティ、台湾ラーメン、マヨネーズ入り冷やし中華、小倉トースト、天むす、ひつまぶしなどなど盛りだくさん。
この中の台湾ラーメンは名古屋で生まれたラーメンで、台湾にそんな食べ物はない。
名古屋で初めて台湾ラーメンを見た台湾人もいる。
ただ「名古屋めし」といっても、必ずしも名古屋発祥のものではない。
天むすは三重県津市で生まれているしね。
こんな名古屋で愛されているのがラーメンの「スガキヤ」。
スガキヤラーメンを名古屋のソウルフードと呼ぶ人もいた。
台湾にもスガキヤは進出している。
でも、日本のラーメンとは味が違うらしい。
台湾のスガキヤラーメンを食べたフードライターの永谷正樹さんは「あれ?」と、違和感を感じている。
よく見ると、麺に混じって白いイモムシがいたのだ。
というのは中国旅行でのボクの実話。
永谷さんの食したところ、とんこつスープが明らかに味が薄い。
台湾のスガキヤでは、台湾人の好みに合わせて味を薄くしていたのだ。
あえてね。
東洋経済オンラインの記事(2018/10/14)で、台北でラーメン屋を開いている日本人オーナーがこう言っている。
「日本のラーメンを台湾人は塩辛く感じるんです。だから、台湾進出した日本のラーメン店の多くは、日本人が食べておいしいと感じるギリギリまでスープを薄味にしています」
台湾で「名古屋めし」が人気化した根本理由
台湾で勝負するなら、台湾人の好みに合わせないといけない。
でも、外来のものを魔改造してきた日本人なら、日本のラーメンを台湾化することもできるはず。
日本人には「変える力」があるのだから。
それが無理なら、ラーメンに注ぐ水を用意しておくしかない。
台湾人が岡崎で飲んだ味噌コーラ
SNSには「味噌可樂ʕ•͡ᴥ•ʔ」と書いてあった。
「名古屋電視塔-日本愛知縣名古屋市中區久屋大通公園的一座電視塔」
さあ、がんばって訳してみよう。
縣(県)や區(区)という漢字は、日本人も明治時代に使っていた。
台湾人と明治村に行ったとき、「台湾と同じ漢字です!」とよろこんでいた。
日本人は漢字も改造してしまいますた。
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