文大統領、偉大な交渉家から”北の首席報道官”へ。欧州の冷たい目。

 

今年4月、韓国の文大統領を「The Great Negotiator(偉大な交渉家)」とアメリカメディアのタイムが紹介した、と韓国メディアの中央日報が紹介した(2018年04月29日)

タイムは文大統領当選翌年の今年4月23日、文大統領を「The Great Negotiator(偉大な交渉家)」と改めて度紹介した。

「交渉家」から「統一する者」へ…進化する海外メディアの文大統領評価

 

「タイム」はアメリカを代表する世界的なメディアだ。
そこでこう称賛されるなんて、さすがは世界大統領。
文大統領が「偉大な交渉家」と評価された理由は、なんと言っても北朝鮮に世界の仲間入りをさせたこと。

今年のピョンチャン五輪を通じて、文大統領は南北首脳会談をおこなった。
さらにアメリカと北朝鮮の間に入って、史上初の米朝首脳会談を実現させた。
これだけのことをすれば、「The Great Negotiator」とホメられるのも納得。
そう言われたら、韓国紙はホルホルしたくなりますわ。

この時点で文大統領は、2018年のノーベル平和賞に一番近い人物と思われていた。
でもノーベル委員会は秋に残酷な発表をする。

 

このときから半年が過ぎた。
「Time goes by」にして「time flies like an arrow」。
時は過ぎ去る。それも矢のような速さで。

いまのヨーロッパには、「偉大な交渉家」と絶賛した文大統領を歓迎するムードはない。
大統領を見る目は冷めている。

 

ムン‐ジェイン【文在寅】

[1953~ ]韓国の政治家。第19第大統領。
朝鮮戦争時に脱北した家族のもとで育つ。学生運動などを経て、盧武鉉(ノムヒョン)とともに弁護士事務所を開業。盧が大統領となると民間から政権入りした。2012年に国会議員当選。朴槿恵(パククネ)の罷免に伴う2017年大統領選に、左派系の「共に民主党」から出馬し当選した。

デジタル大辞泉の解説

 

「朝鮮戦争時に脱北した家族のもとで育つ」という経験のせいかわからないけど、いまの文大統領は北朝鮮と仲良くなることに夢中。

夢中になると周りが見えなくなる。
だから、いま国連がしている北朝鮮への制裁を「不当なもの」と認識してしまう。

そこで文大統領はフランスに行って、マカロンを食べた。
ではなくて、マクロン仏大統領と会った。
国連常任理事国であるフランスに、北朝鮮への国連制裁をゆるめるよう協力を求める。

でも、それに対する返事はノン。

東亜日報の記事(2018.10.17)で、マクロン大統領はやさしく拒否している。

「それまではフランスは国連安保理が採択した制裁を継続しなければならないだろう」と述べた。制裁緩和は時期尚早と遠まわしに断ったのだ。

欧州の冷たい視線にも「対北朝鮮制裁緩和」を説得する文大統領

 

これから文大統領はイギリスのメイ首相やドイツのメルケル首相とも会う予定だ。
でも東亜日報は、「制裁緩和を非核化促進カードに提示するだろうが、欧州首脳が呼応するかは疑問だ」と不安そう。

また「冷たい視線」を向けられるだろう。
対北朝鮮については、いまのヨーロッパ首脳は文大統領と距離をおいているから。

 

でも安心してほしい。
日本のネットは文大統領を全力支持だ。

・もう統一宣言すればいいじゃん
・自ら皆に踏み絵を踏ませに行くのか
・韓国をもう誰も止めることはできない
・この歴然とした温度差は過去を知る者と無視する者の違い
・メイとメルケルにも会いに行くのか
色々面白くなりそうだ
・日本は蚊帳の外(笑)
・蚊だらけの蚊帳に入る意味あるか?
・北の首席報道官だっけ?

「北の首席報道官だっけ? 」については、朝鮮日報のコラム( 2018/10/14)にこう書いてある。

ブルームバーグ通信が文在寅(ムン・ジェイン)大統領を「北朝鮮の首席報道官」と報じたのに対し、大統領府からはこれに反発する声明が出るかと思ったが、結局出なかった。

文大統領が北の報道官ならば韓国の報道官は誰なのか

日本からも冷たい視線が…

 

北朝鮮に対する日本の立場はヨーロッパと同じ。
だから文大統領とは対照的に、安倍首相の笑顔は輝いていた。

産経新聞の記事(2018.10.17)

北朝鮮問題では、非核化に向けて国連安全保障理事会の制裁決議の完全な履行の必要性を再確認。日本人拉致問題の即時解決が重要だとの認識でも一致した。

日スペイン、戦略的パートナーで合意 両首相が初会談

 

北朝鮮への制裁緩和に向けて全力疾走している文大統領には、ヨーロッパも日本も冷たい視線を送っている。
何ならアメリカも。

でも待ってほしい。
これはすべて現時点でのこと。

Tomorrow never knowsで、明日のことは誰にもわからない。明日は明日の風が吹くのだ。

中央日報は文大統領に対する海外の評価が、「交渉家」から「統一する者」へ進化したと書いた。でもいまは「北朝鮮の首席報道官」だ。

でも、これが進化の最終形態かどうかはわからない。
来年の2月には、またThe Great Negotiatorと呼ばれているかもしれない。

ひょっとしたら刑務所の中にいたりして。
不謹慎な言い方だけど、前大統領と前々大統領はいまそこで服役している。
韓国の大統領は、こんな”別荘”でセカンドライフを過ごすことがよくあるのだ。

先のことはわからないけど、今回のことで1つハッキリしたことがある。
ノーベル委員会の判断は正しかった、ってこと。

 

 

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”偉大な交渉家”文大統領①世界は彼をそう評価した(遠い目)。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。