韓国の「旭日旗狩り」 vs アメリカの「民主主義・表現の自由」

 

民主主義や表現の自由で、大切な理念とはなにか?
そんな超むずかしいことをシンプルに表すとこうなる。

「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」

18世紀の哲学者ヴォルテールがこう言ったという。

そういえば以前、こんな話をどこかの本でたしかに読んだぞ。
アメリカで白人の人種差別主義者が裁判を受けるとき、ユダヤ人か黒人の弁護士が彼についた。
その弁護士のおかげで無罪か軽い刑ですんだのだけど、白人はこの弁護士が気に入らない。
それで「オレはおまえのような人間が嫌いだ。アメリカから出て行け」と毒づいたところ、弁護士は「あなたの意見には何ひとつ賛成できないが、あなたがそれを言う権利は命をかけて守る」と言ったとか。

この言葉には民主主義や表現の自由の核心がある。
最近アメリカで、これと韓国の「旭日旗狩り」がぶつかった。
さて、勝つのはどっちだ?

 

話の舞台はロサンゼルスにあるケネディ公立学校。の壁。
ロサンゼルスには韓国系の住民が多い。
アメリカ全都市の中で一番多く住んでいるといわれる。
人口の3%(約12万人)というから、ロサンゼルスで韓国系住民の影響は無視できないほど大きい。
ついでに言えば、彼らは声も大きい。

この学校の校舎の壁にはとても目立つ絵が描かれていた。
それは、女優のエバ・ガードナーさんとヤシの木から赤と青の放射状の光が広がっている、というもの。
画像を貼りたいところだけど、著作権パンチをくらうから各自で検索されたし。

 

かつおがハリウッド女優、白い線が青色になった絵と考えてほしい。

 

この壁画の作者に言わせると「太陽の光線は世界共通のシンボル」。
でも、韓国系の人たちの目には別のものに見えた。

「あれは日本の旭日旗だ!」

韓国の人たちは旭日旗を「戦犯旗」と呼んでとても嫌っている。怒っている。
それで世界中からこれを消す「旭日旗狩り」をおこなっているのだ。
それについてはこの記事をどうぞ。

韓国人と旭日旗①徐教授の「戦犯旗退治キャンペーン」展開中

ズワイガニの絵すら「旭日旗に見える!」と抗議する人もいる。

 

この学校の壁画についても、

「これは日本帝国主義のシンボルである旭日旗を思い起こさせる」
「旭日旗はアジアを侵略し、人類に対する犯罪を象徴したもの」
「ナチスのハーケンクロイツと同じ」

と抗議をおこない、これを塗りつぶすよう学校側に強く熱く執拗に求めた。
その結果、学校は壁画の消去を決定する。

中央日報の記事(2018年12月07日)

「歴史の教訓を認識して傷を癒やさなければならないという韓人社会の意見に共感する」と付け加えた。

米LAコリアタウンにある公立学校の「旭日旗壁画」、消されることに

これを聞いた韓国系住民の代表者は、「これほど嬉しい日はない」と勝利に酔った。

 

在日米軍は旭日旗を日米友好のシンボルと考えている。
これは米軍基地で売っている栓抜き。

 

これがアメリカに広く伝わると、「韓人社会の意見に共感」しない人たちが声を上げはじめる。

アメリカの「教育・言論の自由」や「自由人権」を守るいくつかの市民団体が、壁画塗りつぶしに反対する。

ヘレンケラーが創設しアメリカ社会で大きな影響力のある「アメリカ市民自由連合」や全米の学校長も参加している「アメリカ学校教育責任者協会」がこの決定に異議を唱えた。
「~のように見える」という主観的な理由で公共の絵が消されることは、アメリカの民主主義精神や表現の自由を脅かすものだから。

 

さてここで、この学校名を思い出してほしい。
これはケネディ学校。

ジョン・F・ケネディ元大統領の弟「ロバート・ケネディ元上院議員」にちなんでこの校名がつけられた。
ロバート・ケネディ氏の息子もこの「旭日旗狩り」には猛反対。
朝鮮日報の記事「旭日旗想起の米学校壁画、消去に「待った」(2018/12/18)で、怒りをこう爆発させている。

「父と伯父は政治的アジェンダ(重要課題)のために芸術作品を破壊した人々を最悪の悪党だと考える」

「今回の壁画除去計画には非理性的で非難されて当然という部分があまりに多く、ばかげた欠点を列挙する論文がかけるほどだ」

 

これだけではない。
この学校内にケネディ氏の肖像画を描いたフェアリー氏は、もし学校が壁画を消去するなら肖像画の撤去も要請すると述べた。
さらに壁画の作者は、もし壁画が消去されたらロサンゼルス統一学区を裁判に訴えるという。

アメリカの民主主義精神や表現の自由を守る声を聞いて、学校側も考え直す。
壁画の塗りつぶしは冬休み中におこなわれる予定だったのだけど、これを保留することにした。
とはいえ、壁画の保存や消去が決定したわけではないから、これからどうなるかわからない。
韓国側の「巻き返し」もすごいだろうから。

でも、アメリカのことはアメリカ人が決めればいい。
ここでは、表現の自由の理念をおぼえておこう。

「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」

 

次のターゲットはアリゾナ州旗か?

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。