カナダに興味のある人に、ぜひ今回の記事を読んでほしい。
登場人物は、マンガがきっかけで日本に興味を持って、静岡の大学に留学してもうすぐ1年になる20代のカナダ人男性・アレックスだ。
ではさっそく、親日カナダ人から聞いた歴史や文化、アイデンティティの話をお届けしよう。
木の文化|カナダと日本の意外な親和性
ーーおお〜、アレ、久しぶり。元気だった?
アレ:元気でしたよ。でも、人の名前を省略して、日本語の代名詞みたいに呼ばないでもらえますか?
ーーそんなツッコミができるんだ。アレックスの日本語がうまくなっていて、ボクもうれしいよ。
ところで、この『コメダ珈琲』に来たことある? 日本生まれの日本風のコーヒー店なんだが。
アレ:いえ、コメダには初めて来ましたけど、なんだか落ち着きますね。
壁、床、テーブルなどで木材が使われているから、カナダでよくあるログハウスに雰囲気が似ていると感じました。だから、しっくりくるのかな。
ーーコメダも居心地の良さを大切に考えている。HPにも「街のリビングルーム」でありたいと書いてあるから、そういうコメントを聞いたらきっとコメダもうれしいよ。
アレ:「飛んで火に入る夏の虫」ですね。
ーーいや、それは違うかな。
とにかく、日本では伝統的に木の建築物が多いから、コメダには「和の雰囲気」を感じる。カナダも木材事情は似ているから、それに近い感覚があるんだ。
アレ:カナダにも木材建築物はたくさんありますよ。例えば、18階建てで高さ53メートルの「ブロックコモンズ」は、完成当時は世界で一番高い木造の建築物でした。
ーーカナダには世界最高の木材建築物があったんだ。ならば日本には、今でも世界最古の木材建築の「法隆寺」があるけどね。
アレ:日本の歴史は本当に長いですね!
カナダは新しい国なんです。1867年7月1日にできたので、今ではその日が「カナダデー(建国記念日)」になっています。
だから、まだ150年ほどしか経っていません。
ーーそれは北米的な日本観だな。
日本に住んでいたあるアメリカ人も、「俺の住んでいる町内だけでも、合衆国が建国される前に作られた建造物がいくつもある!」と驚いていた。

歴史と文化は別|カナダ人から見たアメリカ文化を好きすぎる日本人
ーーじつは、最初はスターバックスにしようと思ったけど、アレックスがコメダを気に入ってくれたみたいで良かったよ。
アレ:スタバはカナダにもたくさんありますし、こっちのほうが良いですね。あなたも役に立つんですね。
ーーなあ、それはひょっとしたら、褒め言葉のつもりなのか?
アレ:それより、日本には想像以上の数のスタバがあって驚きました!
ーー韓国はもっとすごいけどね。人口から考えたら、日本よりもスタバの密集度が高い。
アレ:日本人は本当にスタバというか、「アメリカ文化」が好きですよね。
そこがちょっと不思議なんです。
過去に原爆を落とされた歴史を考えると、複雑な気持ちになりませんか?
ーー確かに、日本人にとって核兵器はとても敏感な問題だ。
10年ほど前、原爆ドームの近くの川でカキ料理を提供していた「かき船」が、「祈りや追悼の場にふさわしくない」という理由で市民団体に訴えられたこともあるくらいだ。
アレ:そうなんですか。個人的にはそれはいいと思うんですけど。
ーーでも、広島市内にスタバはいくつもあるし、今の日本で核兵器とコーヒー店を結びつける人がいるとは思えない。
日本には「過去を水に流す」という考え方があるし、「Shikata ga nai(仕方がない)」という独自の精神もあるから、アメリカを憎む気持ちはないんじゃないかな。

ここでカキ料理を食べるのは不謹慎か?
アレ:日本人はこのテーマに対してはとても真剣です。
ちょっと前に、映画『バービー』がそれで失敗して大変なことになったじゃないですか。
ーーあったね〜、そんなことが。スキップしながら地雷を踏んでしまって、日本人を怒らせて映画は大爆死した。
アレ:やっぱり日本人はこの話題に敏感ですよね。だから、日本人が「二重人格」のようにも見えるんです。
ーー「2回も原爆を落とされたのに、日本人はアメリカ文化が大好き。それはちょっと不思議な気がする」と、インド人やトルコ人からも言われたことがある。
外国人から見たら、日本人の「普通」は変なのかな?
アレ:原爆投下は悲惨な歴史でしたが、だからといって、それを理由に今のアメリカ文化まで恨むのはおかしいんです。
でも、日本人はそれが極端に感じます。
ーー韓国人は過去の歴史で日本を厳しく非難するけど、日本の文化は大好きだから、毎年たくさんの人が旅行にやって来る。
それを見て、日本人はネットに「なんで矛盾を感じない?」って書き込むけど、第三者から見たら、「ダブスタ(二重基準)」に見えるのは日本人も同じかも。

これでは嫌いにはなれない。
カナダとアメリカを一緒にしないで!
ーーアメリカ文化は単純に魅力的だから、日本人も韓国人も好きなんだよ。でも、カナダ人はアメリカ人を嫌っている。
アレ:それは言い過ぎ。そこまでではない。近すぎるから、適度な距離を取りたいと思うカナダ人が多いんです。
カナダとアメリカは英語の違いはほとんどないですし、共有している歴史や文化も多いです。
でも、絶対に「同じ」ではないんです。だから、外国人からアメリカとカナダを一緒くたにされるのは「イヤ」ですね。
ーー昔、海外をバックパッカーで旅行中に、そういうカナダ人と会ったことがある。
彼がバックパックの目立つところにカナダの国旗を縫い付けていたから、「君はカナダが好きなんだな」って言ったんだ。
そしたら、「それもあるけど、“アメリカ人と間違われたくない”という思いのほうが大きい」って言われて、どう返事をしていいか分からなかった。
アレ:あー、その気持ちはすごくわかります。
でも、それは仕方ありません。アメリカは経済力も軍事力も世界ナンバーワンで、とにかく存在感があってカナダはどうしても目立ちませんから。
ーー謙虚だね。
アレ:それがカナダ人とアメリカ人の違いの1つです。
傾向として、アメリカ人は自己主張が強いけど、カナダ人の性格は控えめなんです。
ーー韓国人と日本人みたいだ。「隣り合う国では性格が逆になる」という法則でもあるのかな。
アレ:カナダ人はアメリカが嫌いじゃないので、誤解されても気にしないか、「またか」って少しウンザリするくらいです。
たぶん、オーストラリア人のほうが「アメリカ人と一緒にされたくない!」って気持ちが強いと思いますよ。
ーーなるほど。海外で台湾人と韓国人が、現地の人に日本人と間違えられるようなものか。台湾人は気にしないけど、韓国人は強く否定する。実際、インドのお土産屋でそんな話を聞いた。
アレ:その例えはよく分かりません。

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