「仕方がない」とは静かな強さ。海外が注目する日本人の精神

ふだん何気なく使う「仕方がない」という言葉。
実はこれは英語のウィキペディアに載るほど、外国人から見たら特別な意味があり、日本人の「らしさ」が表れていることをご存知だろうか。
これから、この言葉に秘められた日本人の「強さ」を探っていこう。

目次

2月19日に起きたこと

歴史を振り返ると、2月19日にはこんな出来事があった。

・1942年のこの日、アメリカのルーズベルト米大統領が敵性外国人の強制収容を可能とする大統領令に署名した。これによって、国内の日系人が収容所へ入れられることとなった。
・1945年、硫黄島の戦いでアメリカ軍が硫黄島に上陸した。
・1946年、昭和天皇が「巡幸」を始めた。天皇はこの日から、約10年かけて全国各地を訪れ、復興に努力する国民を励ましたり、戦災者や遺族に慰めの言葉をかけたりした。

この3つには、「第二次世界大戦」という共通点がある。
「硫黄島の戦い」は激戦となって日本軍はほぼ全滅し、2万人が死亡したとも言われる。

最初の地上戦・硫黄島の戦い 激戦から生まれた日米の友情

その1年後に天皇が巡業を開始したのだから、当時の日本の社会や人の変化は本当に早い。

 

収容所へ向かう電車に乗せられる日系人

日系人の強制収容と「Shikata ga nai」

太平洋戦争が始まると、日系人は何の罪もないにもかかわらず、劣悪な環境の収容所に入れられ、過酷な生活を強いられた。不当に人権を奪われた日系人は「Shikata ga nai」という言葉をよく口にしていた。

日系人の強制収容 米国が「最も恥ずべき歴史」と認め、公式謝罪した

上の記事を書いているとき、英語のウィキペディアに「Shikata ga nai」という項目があることを知って、違和感をもった。
人生は思いどおりにならない。どこの国のどんな人間でも、自分の力ではどうすることもできない困難な状況を迎えることはある。
「仕方がない」を英語にすると「it is what it is」となるように、こういう考え方や言葉はどこの国にもあるはずだ。それなのに、ウィキペディアで「仕方がない」を1つの項目として作った理由は何なのか?

海外が注目する日本人の精神力

ウィキペディアの説明を読むとそのワケが見えてきた。
この言葉は、避けられない悲劇や不条理に直面しても、尊厳を失わない日本人の精神力(資質)を表現する言葉として使われてきた、とある。

It has been used to describe the ability of the Japanese people to maintain dignity in the face of an unavoidable tragedy or injustice

Shikata ga nai

「仕方がない」は、日本人の独特な精神性や文化を表しているから、外国人には日本人を理解するために、この言葉の意味を知る必要があるのだ。

しているから、外国人には日本人を理解するために、この言葉の意味を知る必要がある。

 

収容所のトイレでは、プライバシーという「贅沢」は与えられなかった。

困難を受け入れて前に進むための言葉

さまざまな海外サイトの説明を読んだ結果、個人的に、この言葉は海外で次のような意味と理解されていると解釈した。

・自分の力を超えた事態に対し、単なる「あきらめ」ではなく、大きな困難を「受け入れる」ことに重点がおかれている。
・「仕方がない」と考えることで、冷静に状況に適応することができる。
・そうすることで、困難に耐え抜く方法や希望を見出し、内なる強さが生まれる。

海外で「仕方がない」という言葉は、消極的ではなく、前に進もうとする積極的な態度と考えられている。
硫黄島の戦いの1年後に、昭和天皇が「巡幸」を始めたのも、日本人がこの精神で敗戦を受け入れ、気持ちをすぐに切り替えたからだろう。

理不尽な環境を生き抜く心の支え

第二次世界大戦時、北米にいた日系人たちは、敵国にルーツを持つというだけで財産を奪われ、鉄条網に囲まれた強制収容所に入れられた。それでも暴動を起こさず、秩序を保って生活していた。
理不尽で苦しい環境のなかでも、彼らは人間としての尊厳を失わないために、「Shikata ga nai」を心の支えにして耐えたのだろう。

昔から日本に根づく「仕方がない」の精神

これは個人的な見方だが、今でも欧米人やアラブ人、アフリカ人と比べると、日本人は理不尽な事態に直面しても、大声で自分の権利を主張したり、激しく抗議したりしないで素直に受け入れてしまう。
韓国人や中国人と比較しても、日本人の「抵抗力」は弱く、大きな怒りをぶつけることもない。日本人は無意識に「仕方がない」と受け入れ、冷静に「ではどうするか」を考えている気がする。

「仕方がない」という言葉がいつ生まれたか分からないが、日本にはその精神は昔からあった。織田信長が「本能寺の変」で、明智光秀が攻撃を仕掛けたと知ったとき、「是非に及ばず」と言ったという話は有名だ。
良い悪いの問題を超えて、信長は自身の運命をいさぎよく受け入れたのだろう。
ウィキペディアで「Shikata ga nai」という項目が作られたのも、こうした文化や精神性が海外にはあまりなく、日本人に特有と思われているからだ。

日本人らしい静かな強さ

これまでインド人やトルコ人などから、こんな質問をされた。

「日本はアメリカに原子爆弾を落とされて、罪のない市民が何十万人も殺されたのに、なぜアメリカに対して怒らないのか?」

そう聞かれると、「あの当時は仕方がなかった」「もう、今さらアメリカを恨んでも仕方がない」と、日系人と同じように「Shikata ga nai」を何度も言ってしまう。
同じ質問をされたら、多くの日本人がこの言葉を使うと思う。
「仕方がない」とは、「降伏」を意味するのではなく、現実を受け入れながらも前向きに生きようとする、日本人らしい静かな強さを表す言葉なのだ

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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