日系ブラジル人が語る日本生活 「好き」と「嫌い」と「違和感」

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サンバのリズムに乗らないブラジル人

2月13日、ブラジルで真夏の祭典「カーニバル」(謝肉祭)が始まった。
ワインの愛好家で知られた日本のある女優は「私の血はワインでできている」と言った。そのセリフをパクらせてもらうと、ブラジル人の体にはきっと血とサンバのリズムが流れている。
カーニバルは祝日になっていないけれど、国民にとっては仕事どころではないらしく、「任意休日」にする自治体や企業が多い。

さて、知人の日系ブラジル人(30代・男性)は母国の大学を卒業したあと、日本の大学に留学し、そのまま静岡県にある企業に就職した。
ちなみに、彼はカーニバルもサンバも好きではない。彼はそういう日本人のステレオタイプに少しウンザリしている。
これから、そんな控えめな性格のブラジル人から聞いた話を紹介しよう。

日本の生活で良いところ:コンビニ

ーーカルロスは日本にもう10年近くいるわけじゃん? それは、日本での生活を気に入っているからだよね。具体的にどんなところが良いと思う?

カルロス:そう聞かれて、まず思いついたのは、とても便利で質の高いコンビニがどこにでもあることですね。ブラジルにはガソリンスタンドに、24時間営業している小さな店があります。でも、商品が少なくて食べ物もおいしくないです。ブラジルの生活に比べたら、日本のコンビニは本当に素晴らしいですよ。

ーー相変わらず、外国人に日本のコンビニは人気だな。日本に旅行に来たイギリス人やインド人も「どれを食べてもおいしい!」って絶賛していた。「コンビニで売ってるものは健康にも良い」というアメリカ人の感想には同意できなかったけど。

カルロス:あと、日本人はルールを守るので、社会に秩序があるところもポイントが高いですね。たとえば、ラッシュアワーで駅にたくさん人がいても、乗客がスムーズに乗り降りできています。ブラジル人にはちょっと難しいです。

日本の生活で良いところ:信頼性

ーー日本に来て、人びとの規律正しさに感心する外国人もよくいる。そういう声はもう聞き飽きて、新鮮味が無くなった。

カルロス:人に質問しといて、ずいぶんな反応ですね。まぁいいです。あと、日本人はしっかりルールを守るので、社会的に信頼性が高いところもいいですね。

ーーたとえば?

カルロス:ファミレスでよくあるドリンクバーです。日本では、あれを個別で注文できるじゃないですか。ブラジルだったら、1人だけ注文して他の人がそれをシェアするから、そんなやり方は成立しません。ブラジル社会では、他人を簡単に信用できないんです。

ーー最近は日本でも、そんな性善説が通じなくなってきているみたいだけどね。1人が注文してほかの人が便乗することが増えたから、「もうおかわり自由のサービスはやめました」とSNSで宣言する店を見るようになった。

 

日本で嫌なところ:「外国人お断り」

ーーじゃあ逆に、日本で生活していて「嫌なところ」ってある?

カルロス:日本の社会には差別が潜んでいて、ときどき顔を出すので、それは正直、嫌だなって思います。

ーーほ〜、どんな場面でそいつが出てくる?

カルロス:外国人がアパートを借りようとすると、「外国人お断り」の壁とぶつかることがあります。

ーー「国籍ブロック」か。確かにその話はたまに聞く。

カルロス:私がアパート探しで不動産屋に行ったときは、言葉で「あれ?」って思われて、国籍を聞かれました。「日本人です」と答えたら、「すみませんでした。じゃあ大丈夫です」と謝られて、なんか複雑な気持ちになりましたね。

ーー国籍だけで判断したら、「差別」と言われても仕方ない。

カルロス:そうなんですけど、それを一方的に非難しても意味はないでしょうね。その不動産屋で、外国人相手の「苦労話」を聞きました。あるアジア人に部屋を貸したら、ゴミ出しのルールを守らなかったり、文化の違いから日本人の住民を怒らせたりして、管理人は大変な思いをしたそうです。

ーー知人のインド人がまさにそれだよ。周囲に配慮して、静かにパーティーをしたつもりだったのに、あとで大家から文句を言われた。「日本人の求める静けさはレベルが違う」って驚いていた。

カルロス:家賃や水道代を滞納されたあげく、母国に逃げられたという話を聞くと、単純に「国籍差別だ」って不動産屋や大家を責められないですね。彼らも自分たちの仕事を守らないといけませんし。

ーーそれは同感だ。「外国人お断り」という表面的な事象をたたくだけじゃなくて、そうなった背景を知らないと解決しない。

カルロス:日本人は全体的に、ルールや規律を守って生活しています。外国人にはその基準が高すぎることが多いので、悪意はなくてもトラブルは起こりやすいでしょうね。私が管理人だったら、日本人に貸したいと思いますよ。

 

日本で感じる違和感:パチンコ

ーー日本の社会について、不思議に感じたことってある?

カルロス:パチンコですね。まず、あれはどう見てもギャンブルです。

ーー日本の法律的にはギャンブルじゃない。でも、そう言われて納得する外国人と会ったことがない。「景品と交換したらOK」という理論は、海外では通じないだろうね。

カルロス:アパートの近くにパチンコ屋があるんですけど、駐車場はいつも車でいっぱいなんです。ブラジルでは、賭け事は不道徳なので「人目を避けてするもの」というイメージがあります。だから、街なかで堂々と営業していることには、「これでいいのか?」という違和感を感じまますね。

ーー日本では、「ギャンブルじゃない」が前提だからね。にしても、パチンコ店はネオンがド派手だし、存在感をアピールしすぎではある。

カルロス:日本の社会は基本的に規律正しいから、「逃げ道」として欲望にオープンな場所も必要なんですかね。

ーーさすが日本歴10年のカルロス。鋭いことを言う。日本の社会はそうやってバランスをとっているかもしれない。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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