【日本の謝罪が前提】つき合いきれない韓国の被害者感情

 

冬に入って冬眠したのか、いまではすっかり聞かなくなったけど、きょねん韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が徴用工訴訟問題の解決策として「1プラス1プラスアルファ」を提案した。

それは今月中ともうわさされる、日本企業の資産現金化を見すえたもの。
2018年に韓国の最高裁が1965年の日韓合意をひっくり返して、日本企業に賠償を命じるビックリ判決をだす。
それによって生じた国際法違反の状態を是正するよう日本政府はくり返し求めたけど、ムン政権はこの状態を黙認。

このままだと日本企業の資産が現金化されてしまうし、自国の企業が不当な扱いを受けたら日本政府も黙っていられない。
そうなったら「両国の争いが拡大し、取り返しがつかなくなる」とあせったムン国会議長が唱えたのが、韓日の企業に加えて国民が自発的に寄付を出して原告側にお金をわたすという「1プラス1プラスアルファ」という案だ。

解決案をだしたところで申し訳ないのだけど、この問題はすでに終わってる。
日本は5憶ドルというばく大な経済支援金をわたして、韓国側はそれを満額うけ取って経済発展のためにつかった。
いまになってそのときの約束を一方的にひっくり返して、今度は日本企業からお金を取ろうというのはアニメの悪役の発想だ。

日本がこれに納得できるはずもなく、麻生副首相の思いにはほとんどの日本人が賛成するだろう。
文藝春秋digitalのインタビュー記事(2019/12/10)

結果、「漢江の奇跡」と呼ばれる韓国の経済発展に繋がったわけです。それを今さら「なかったこと」にすると言われたら、ちょっと待ってくれと言うしかない。

麻生太郎副総理が激白 「安倍総理よ、改憲へ四選の覚悟を」

 

だから、また日本にお金を出させるという「1プラス1プラスアルファ」案はひかえめに言って論外だ。
韓国の国内問題は韓国自身で完結しないといけないのだから。

でも、ひとりで勝手に盛り上がるムン議長は国内の反日世論に迎合して、どんどんハードルを上げていく。

聯合ニュースの記事(2019.12.20)からムン氏の発言を見てみよう。

韓国国会議長「法案は日本の謝罪が前提」 首脳会談で再確認を

 

「再確認するための韓日首脳間の謝罪と許しがなければこの法案もない。存在する意味がなく、(成立を)進めることもない」

安倍首相が謝罪して、文大統領が許しを与えることがこの案のスタートになる。
そうは言われても、解決済みの問題について、日本が謝罪する必要も義理も理由もない。
あり得ない要求を最低条件として提示するこの人は、本当に問題を解決する気があるのだろうか。

 

「1プラス1プラスアルファ」案の具体的な運用については財団をつくって、原告側に慰謝料をわたすという。

「両国の企業と国民が自発的に募った寄付金で「記憶・和解・未来財団」を設立する」

なるほど。
だが待て。
慰安婦問題の最終的な解決を確認して、日本が韓国側に10億円をわたして設立された「慰安婦財団」を勝手に解散させたのは韓国ムン政権ではないか。
しかも韓国政府はこの約束破りをまったく反省していない。
こんなことをしておいて、「また財団をつくりましょう。協力してください」言われてもまったく信用できない。

ムン議長は自分の思いをひとしきり語ったあと、日本が韓国を輸出管理の優遇対象国「グループA」から除外していることに触れて、「措置を撤回しなければならない」と述べる。
これも韓国側が日本の信頼を失った結果だから、韓国が信頼を回復したら措置も自然と撤回される。
命令してなくなるものではないのだ。

 

とにかくムン議長の発想は現実感がなさすぎて、とてもついていけない。
「安倍首相が謝罪して文大統領が許しを与える」という越えられない山をはじめに設定して、これが「両国が合意できる唯一の案」とのたまうのだから。
この独善的な発想の根本にあるのは、韓国側のいきすぎた被害者感情だ。
終わったことを終わりにしないで、いまでも日本を加害者、自分たちを被害者とおもうから、相手の立場を無視して一方的な要求を当然のように言える。

唯一、共感できた言葉は「韓日間でこのような事態が続くのは不幸なこと」ぐらい。
あとは、「そんなこっといいな、でっきればいいな」という願望いっぱいの空想ファンタジーだ。
これが唯一の案というのなら、韓日関係はもう終わってる。

日本の反応を見ても、「1プラス1プラスアルファ」案に共感する人はいそうにない。

・まーた始まった
・いいから国際法守れ
・約束も守らない国に謝罪するわけないだろ
・なんでここまで謝罪にこだわるのか全く理解できない
・謝罪したら日本が罪を認めたから賠償しろって慰安婦と同じパターンになる
・韓国だけでやれよ日本は関係ない

「日本=加害者、韓国=被害者」という発想が通じない人から見たら当然こうなる。

それに韓国は夢を熱く語っている場合じゃなくて、せまりつつある危機に目を向けたほうがいい。

麻生副首相は先ほどのインタビューで、もしも韓国側が日本企業の資産を現金化したら、かなり厳しい対応をとることを示唆した。

韓国との貿易を見直したり、金融制裁に踏み切ったり、やり方は色々あります。いずれにしても、日本より経済規模の小さい韓国が先に疲弊するのは間違いない。その上で、文在寅大統領がどういう判断をするのか、ということでしょうね。

「日本の謝罪が前提」と言うムン議長にはきっとこのリアルが見えていない。
文大統領も、自分がボールを持っていることに気づいているかどうか。

 

でもそれから時間が過ぎて、ムン議長の案も最近は耳にしなくなった。
とはいえ韓国側はいまでも問題が終わったことを受け入れず、過剰な被害者感情をもとにこういう都合のいい考え方をしていることは間違いない。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。