いま日本と韓国の関係はかなり悪い。
今年(2017年)6月、日本と韓国でおこなわれた世論調査では、日本人と韓国人の約80%が日韓関係を「悪い」と考えていた。
*読売新聞社と韓国日報社の共同世論調査による。
今回はその原因について書いていきたい。
もちろん、日韓関係が悪化した原因は1つだけではない。
いろいろな要因がある。
ここでは韓国側の姿勢を取り上げたいと思う。
韓国は過去をとり上げて、よく日本に反省と謝罪を求めている。
でも、韓国が目を向けようとしない過去もある。
日本から受けた支援にはふれず、日本に謝罪を求める。
日韓関係がここまで悪くなった大きな原因には、そんな韓国の姿勢がある。
韓国は20年前、通貨危機をむかえて国が破産する寸前にまで追いこまれた。
韓国は今でも、このときの日本の行動を非難する。
今年1月の中央日報の記事(2017年01月12日)でもこう書いていた。
「日本は一度も韓国が絶対に必要な時、望む時に助けてくれたことがない。むしろ最初にお金を抜き出し不意打ちを食らわせた」
でも実際には、日本は韓国のために汗を流していた。
産経新聞の記事にはこうある。
これについて当時を知る日本の財務、外務両省や銀行関係者は「われわれは官民で対韓融資の維持に走り回り、ウォンの買い支えもした」と憤る。
「通貨スワップ協定を再締結して韓国は「借り」を感じてくれるのか? 事実と異なる1997年通貨危機への恨み節」
ウィキペディアにもこう書いている。
日本国政府は、邦銀に対して返済繰り延べの説得に奔走し、混乱する金融市場の中で邦銀の合意を取り付け
日本は韓国のために支援をしても、韓国はそれを認めようとはしない。
韓国のこうした姿勢は前からあった。
韓国の反日感情が高まった理由には、政府が国民に日本の支援を知らせなかったことがきっとある。
日本は韓国に経済援助や技術支援をしてきたけれど、韓国はそのことを見ようとしない。
だから、先ほどの「日本の財務、外務両省や銀行関係者」のように、腹を立てる人が出てくる。
これでは、韓国に協力しようとする気持ちもなくなってしまう。
これが日韓関係に良いはずがない。
ソウルに行って地下鉄を利用する時、残念に思うことがある。
地下鉄構内には目的地や時刻など、いろいろな情報を知らせているけれど、日韓関係にとって大切なことは伝えていない。
韓国で初となる地下鉄を建設した時、日本は資本援助や技術支援をしていた。
ソウル地下鉄1号線の建設は円借款でおこなわれたのだ。
さらにいえば、地下鉄1号線の車両・信号・通信分野では日本の技術協力により建設されている。
おまけに、開業当時の電車は全部日本製だったのだ。
地下鉄運行に必要な指導をおこなったのも日本。
だから韓国でも、日本式の指差し確認などがおこなわれている(現時点では)。
でも韓国は、こうした支援を国民に知らようとはしなかった。
これはタイ・バンコクの地下鉄。
タイ政府は日本から受けた支援を評価し、国民に伝えている。
今、日本とタイの関係はとても良い。
その理由の1つに、こうしたタイ政府の姿勢がある。
韓国は地下鉄建設で日本の支援があったことを、国民に伝えようとはしない。
それだけならまだいい。
韓国は地下鉄の完成式に、日本人を呼ばなかった。
韓国事情にくわしい黒田勝弘氏は、それを「残念」となげいている。
地下鉄一号線の建設には日本の経済協力資金が投入され日本の技術者が多数加わったが、完成式に日本人は招かれなかった。こうした韓国に対する過去補償的な日本からの経済技術協力はソウル地下鉄をはじめ韓国発展の基礎になった。しかし、“日本隠し”によってこうした事実は韓国ではほとんど知られていない。残念なことだ。
「‘日本離れ’できない韓国 (文春新書) 黒田勝弘」
完成式に呼ばなくても、バンコクのように目立つところにプレートを設置してくれていたら、韓国人の反日感情は今よりはマシになっていたはず。
友人の韓国人は、「地下鉄は韓国だけでつくった」と思っていた。
きっと、ほとんどの韓国人もこれと同じ。
日本の支援なんてだれも知らない。
これはラオスの国道。
ラオスの日本語ガイドが車を停めて教えてくれた。
多くのラオス人も日本の支援を知っている。
ラオスで「反日感情」なんて聞いたことがない。
韓国が誇る「漢江の奇跡(ハンガン)」でも、日本の支援があった。
日本は1965年に韓国と国交正常化を果たしている。
このとき日本は「大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない」という条件で、8億ドル(知恵蔵)の経済協力金を韓国にわたしていた。
この資金をもとに、浦項総合製鉄(現ポスコ)やソウルと釜山を結ぶ高速道路などがつくられた。
「漢江の奇跡」の経済成長はたしかにすごい。
韓国人がそれを誇るのは当然だとしても、日本の支援があったことにも目を向けてほしいと思う。
たまに韓国も認めることがある。
例えば、中央日報の記事(2016年01月08日)ではこう書いてある。
しかしその時に韓日協定を結んでいなかったら、韓国は今どれほど孤立して後れた国として残っているのか分からない。
この時に導入された無償3億ドル、有償財政・商業借款5億ドルは浦項(ポハン)製鉄・京釜(キョンブ)高速道に、昭陽江(ソヤンガン)ダムなどの経済開発の初期事業と産業化投資を輸血する貴重な元手となった。
でも、これはまれ。
15年近く韓国の新聞を読んでいるけれど、韓国が日本の支援を認めることはめったにない。
これはフィリピン
フィリピンでも対日感情はとても良い。
「漢江の奇跡」を支援してきた日本の関係者も、韓国側が日本の支援を伝えないことに落胆している。
日本側の関係者はもうみんな引退しているが、彼らもその後の韓国での「日本隠し」に不満を漏らしている。
過去を知らない世代が増えるにつれ、逆に反日が目立つことに違和感を感じているのだ。(中略)せっかくの協力が「日本隠し」で国民には知らされず、逆に世論には反日が広がっているからだ。「‘日本離れ’できない韓国 (黒田勝弘)」
韓国のために汗を流しても、それは国民に伝わらない。
「日本隠し」のために、逆に反日感情は高まっていく。
現在の韓国人の反日感情には、この影響が必ずある。
今では韓国政府がコントロールに困るぐらい、反日感情が高まってしまった。
結局、これで損したのは日本であり韓国。
タイヤやフィリピンがやったことを、韓国もしてもほしかったと。
前にも紹介したことがあるのだけど、外務省ホームページにある「大韓民国 最近の韓国情勢と日韓関係」のグラフを見てほしい。
これを見ると2014年の時点で、「韓国に親しみを感じる」人の割合は31.5%と過去最低を記録している。
一方で、「親しみを感じない」という人は66.4%で過去最高。
2017年の調査でも、日本人と韓国人の約80%が日韓関係を「悪い」と考えていた。
過去最悪レベルの日韓関係は今も変わっていない。
でももし、韓国が日本の支援を認めそれを国民に伝えていたら?
韓国の反日感情は今よりは少なくて、この数字は変わっていたと思う。
日本と韓国はもっと良い関係を築いていたはず。
韓国は80年90年前に焦点を合わせて、日本に反省や謝罪を求めている。
だけど、戦後日本が韓国のためにしてきたことには目を向けない。
現在の反日感情はこの延長にある。
今からでも、日本が韓国にしてきたことを隠さず国民に伝えてほしいと思う。
文大統領の言う「未来志向の日韓関係」の構築にも役立つ。
それでも、韓国が日本の支援を受けたけとをしっかり認めている韓国人もいる。
大学教授で作家の呉善花氏はこう書いている。
韓国は朴政権以降、日本からさまざまな形で資金的な援助を受けており、また造船や地下鉄をはじめとする技術面でも、韓国の復興には日本から大きな力を受けています。
「日本の驕慢 韓国の傲慢 徳間書店」
こういうことを多くの韓国人が知ってほしい。
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こんにちは。
どんな方が書いているんだろう?
一体、何ヶ国語話せるんだろう?
韓国や中国のことも、フラットな書き方でとても面白いです。
さすがに過去記事全部!は読めていませんが、新しい記事に関連した過去記事は
目を通しています。
これからも楽しみにしていますね。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
ただの日本人が書いてますよ。
話せる言語は日本語と遠州弁で英語が少し、といった感じです。
そう言っていただけると書いたかいがあります。
これからも、がんばって書いていきますよ。