【本望ですか?】不買運動の結果、日本の大企業が韓国撤退

 

きょねんの夏、日本は韓国に対して輸出管理の強化を発表した。

これは、たび重なる韓国側の不誠実な対応によって日韓の信頼関係が地に落ちたことが最大の原因で、そのころ世耕経産相はツイートでこう説明していた。

 

 

 

これを聞いた韓国側はそれまでの自身の行動を振り返って対応を修正することで、日本の輸出管理強化はすぐに撤回された。
というハッピーエンドを期待できないのが日韓関係で、韓国側は日本の対応に猛反発。
政治家やマスコミが国民をあおって反日感情に火をつけ、「日本製品は買わない、日本には行かない」というノージャパン運動が全国的に展開された。

でも、激しくて熱しやすいのが韓国の人たちで、本来ブレーキをかけるべき政治家や役所が国民の反日感情に迎合するから歯止めがかからなくなる。
それで市民が役所の反日活動を批判するという、日本では見られない珍現象も起こるのだ。

例えばソウル中区庁が管轄地域に「NO JAPAN」の旗をいくつも掲げたところ、「これでは多くの日本人観光客も旗を見てしまう。これは行き過ぎだ」などと中止を求める声が市民の間から上がって、その後この旗は撤去された。

政治家だって負けていない。

韓国の全国紙・ハンギョレの社説(2019-08-06)にはすごい政治家が登場している。

一部の政治家が「日本に行けば、Kopina(鼻血が出るという意味の韓国語。放射能による健康被害と今回の事態を結び付けたもの)」と書かれたTシャツを販売するのも“不適切な愛国マーケティング”といえる

「NO JAPAN」ではなく「NO安倍」、賢明で成熟した対応を

 

放射能汚染された日本に行くと鼻血が出る。
それが事実なら、鼻血が止まらない日本人が続出して社会問題になっているはずだけど、そんな話は一切聞かないし、そもそも東京の放射線量はソウルより低いのだ。
これはデタラメを超えて、もはや日本への「ヘイト」。
政治家がそんなTシャツを売って金をもうけるというのは、世界でも韓国以外には考えられない。

世耕元大臣が指摘したように、日本は旧朝鮮半島出身労働者問題の解決策を求めていたのに、韓国のやってることは見当違いでまるでかみ合っていない。

ただ、こんな感じに燃え広がった反日の炎を見て不安に思う人もいて、このころから運動を「NO JAPAN」ではなくて「NO安倍」にシフトしようという人も増えていった。
韓国的にはそれが「賢明で成熟した対応」になるのだけど、叫び声が変化しただけでやってることは相変わらずの日本製品ボイコット、運動の中身はまるで変わっていない。

韓国国民が不買運動をして打撃を受けるとすれば、それは主に日本企業と関係する韓国企業だ。
韓国では「NO安倍」を叫ぶけど、これによって政権支持率が下がったわけでもなく、安倍首相には実質ノーダメージ。

韓国の不買運動は数か月つづいたワケだけど、大東文化大学経済学部の高安雄一教授が指摘するように、

「不買運動が日本経済に及ぼす影響はゼロに近い。」
「マクロ的な観点で微小だ」
「日本経済全体に波及するものではない」

という結果が判明。

くわしいことは中央日報の記事をどうそ。(2019.11.19)

「不買運動、日本経済に及ぼす影響はゼロ」…強硬一辺倒の日本の観点

 

それでも韓国での販売活動だけに限定すればやっぱり被害は大きく、きょねん9月の時点で日産はこんなことを考えていた。

中央日報の記事(2019.09.07)

不買運動で販売台数58台の日産、結局は「韓国撤退を検討」

 

そして先日、日産はとうとう撤退をきめた。

中央日報の記事(2020.05.29)

日本製品不買運動が始まってから、国内の日本車ブランドは大幅な割引政策と年末の在庫処分で耐えてきたが、日産の場合、今年1月にプレミアムブランドのインフィニティが1台しか売れないなど特に苦戦を強いられた。

不買運動で圧迫され経営難にあえぎ…日産「韓国から撤退」

 

韓国日産は公式声明でこう言う。

「韓国市場で事業を持続するための韓国日産の努力にもかかわらず、対内外的な事業環境の変化により、状況がさらに悪化しながら、本社は韓国市場で再び持続可能な成長構造を整えることが難しいと判断した」

「対内外的な事業環境の変化」という遠まわしの表現は、中央日報が指摘する「日本製品不買運動」と見て間違いない。
韓国国民の反日感情とそれをあおる政治家やマスコミがいたら、韓国日産の努力だけではどうしようもできない。
これはよく分かる。日産は大アウェーの中で、いままでよく頑張ったと思う。

でもこの最大の被害者は、これによって仕事を失う韓国人従業員だ。
GUもことしの夏をめどに、韓国の全店舗での営業を終了すると発表したけど、日本製品の不買が活動の目的なら、日本企業の撤退も望むところか。
スローガンを「NO JAPAN」から「NO安倍」に変えて、中身も反日運動から反安倍運動にしていたら、これと違った結果になっていたと思う。
「賢明で成熟した対応」の結果がこれか。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。