「尻目にする(かける)」という言葉は人を見下して、バカにしたり無視することをいう。
自分に何か言う人をチラリと見て相手にしないことだから、かなり上から目線の失礼な態度だ。
こんな言葉とは別で、日本にはお尻に目のある「尻目」という妖怪がいる。
海外には日本の妖怪文化に興味のある人がたくさんいて、まえにアメリカ人(たぶん)が妖怪ファンの外国人に向けてSNSで尻目を紹介していた。
「The Japanese Shirime (Butt eye) Yokai (Ghost/spirit) appears to be human in a kimono from a distance but up close it as no facial features and grey skin.」
遠くから見ると尻目は着物を着た人間のように見えるけど、近くで見ると目・鼻・口がなくて灰色の肌をしている。
「Yokai」は日本独特の存在で、ゴーストでもありスピリットでもありモンスターでもあり英語では一言でいえない。
中国には妖鬼、妖精、妖魔といった人ならざるモノがいるけど、日本の妖怪とは違うらしい。
この顔の特徴のない尻目はのっぺらぼうの一種で、江戸時代の俳人で画家の与謝蕪村が描いた『蕪村妖怪絵巻』に出てくる妖怪だ。
京都の帷子辻(かたびらのつじ)に現れたという尻目の目は雷のように光り、夜に路上で人と会うと服(着物)を脱いで全裸になってビックリさせるという。
人を食べるような恐ろしい妖怪ではなくて、愉快犯のようなヤツ。
これで目・鼻・口があればただの痴漢や変態で、いまの日本でもよく出没して警察に捕まっている。
先ほどのアメリカ人の説明も大体そんな感じ。
「It appears at night and wonders the streets looking for people walking alone to scare and play a joke upon.
Once it has the attention of the person it asks them if they have a moment to spare but before the person can answer it drops its kimono and bends over showing a large glowing eye where its butthole should be.」
お尻の穴(butthole)のあるところに大きな目があるというこの妖怪は、誰が何を考えてつくり出したのか。
平安時代、帷子ノ辻には嵯峨天皇の皇后だった橘嘉智子(檀林皇后)の死体が捨てられたという。
のっぺらぼう
さて尻目を知った外国人の感想は?
・Awesome
いいね。
・Did this demon eat humans or something?
この悪魔は人を食べるのか?
・No , It only liked to scare and play jokes on people .
いや、人間を怖がらせたり驚かすことが好きなだけだ。
・What will happen if we kill him … Does this demon have a solid body?
もしこの妖怪を殺したらどうなるんだ?この悪魔の体は液体になるのか?
・What a guy!
なんてヤツだ!
・No wonder they now have hentai…
いまなら間違いなくヘンタイだな…。
・Disgusting..eye in the ass.
お尻に目があるなんて。最低…。
アメリカには「Shirime」というバンドがあって、『蕪村妖怪絵巻』の尻目をアイコンにしている。
*ちょっと前にバンド名を変えたらしいけど、まぁ細かいことはいい。
江戸時代の京都に出没していたヘンタイは、いまニューヨークでコンサートを開いている!
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> 京都の帷子辻(かたびらのつじ)に現れたという尻目の目は雷のように光り、夜に路上で人と会うと服(着物)を脱いで全裸になってビックリさせるという。
いや、別に尻の穴に目が無くても、いきなり目の前で全裸になって肛門を向けられたら、相手がたとえ妖怪でなくてもビックリしますよ。びっくりしすぎて肛門の位置に目があるかどうかまで気づかないかもしれない。
そのアメリカ人(?)のバンドが真似をして警察に逮捕されないよう、祈ります。良い子は真似しちゃダメ。
尻目も謎ですけど、ある意味、もっと謎な妖怪は豆腐小僧ですね。
元々は特に悪さをする訳でもなく、縁起物の服を着てただ豆腐を持っているだけ。
または家に豆腐や酒を届ける小間使いとも。
もはや、本当に妖怪なのかも怪しい存在ですね。