すっごく離れたところに情報を伝達する手段としては、世界最古とも言われるのが狼煙(のろし)。
前回その歴史を書いて、今回の内容はそのオマケというか続きのようなものですよ。
昭和に生まれて、平成・令和を生きてきたボクがはじめてインターネットで情報を受け取ったのは、大学のゼミで教授から「電子メールの送受信の仕方」を教わったとき。
いまの日本人なら、こんな技術は小学校に入る前にみんな身につけているのだろうけど、当時は大学生がやり方を学ばないといけなかった。
このとき友人からもらった人生初のメールの中身は、「飛べない豚はただの豚」だったのを昨日のように覚えている。
いまでは2時間の映画を一瞬で送ることができるというから、この分野の進化のスピードはもうワケがわからない。
前回にも書いたけど、きょう10月29日はインターネットの誕生日だ。
1969年のこの日、アメリカでいまのインターネットの原型となるARPAnet(アーパネット)というコンピュータネットワークが完成し、歴史上はじめての通信が行われた。
このとき送信された人類初の文字は「LO」。
「LOL」(大笑い)と送りたかったわけではなくて、カルフォルニア大学からスタンフォード研究所に接続して、「LOGIN」と入力して送ろうとしたけど、「LO」の2文字を送信したところでシステムダウン。
どうやらバグが発生したらしい。
フギンがあれほど「世界にバグは不要です」と言っていた理由がわかる。
でも問題個所を修正して、もう一度実験を行ったところ「LOGIN」の5文字を送信することができた。
これがそのときの様子。
「L が見えるかい?」
「ああ、L が見える」との答えが返ってきた。
私たちは O と打ち込んで、訊いた。「O が見えるかい」
「ああ、O が見える」
そこで G と打ち込んだところで、システムがクラッシュした…
それでも、これが革命の始まりだった
現代のぼう大な動画送信も「LO」の2文字から始まった。
この実験を成功させたチームのレオナルド・クラインロック氏は、「LOは『これは驚いた(Lo and behold)』のLOだ。インターネットの最初にはふさわしいメッセージだ」と話す。
ところなんで、アメリカはこのときインターネットを開発しようとしたのか?
50年前のこの時代はまだ米ソによる冷戦の真っ最中。
1957年に旧ソ連が人類初となる人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功して、「あれほどの科学技術があれば、アメリカ本土を攻撃するのも可能だ!」と全アメリカが恐怖した。
翌1958年にアメリカ国防総省の高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency、ARPA)が設立された背景には、このスプートニクショックがある。
万が一メインコンピューターを爆撃されても、すべてのシステムがダウンすることがないように、米国防総省内でインターネットの原型であるARPAnet(アーパネット)が開発された。
そして、「LO」の送信に成功したことはさっき書いたとおり。
いまでは世界中で使われているインターネットは、アメリカが冷戦で自国を守るため、相手より優位に立つためという軍事目的から生まれた新技術だった。
1989年にインターネットの商業利用が解禁されて、いまのように誰でもこれを使える時代がやってきた。
この年は冷戦が終わった年だから、ネットの一般利用解禁と無関係ではないだろう。
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> 問題個所を修正して、もう一度実験を行ったところ「LOGIN」の4文字を送信することができた。
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LOGINだから5文字ではないのですか? 単なる勘違い?それとも何か別の意味があるのでしょうか。
私が初めて「ログイン」という言葉を聞いたのは、米国のTVドラマ「宇宙大作戦(Star Trek)」でした。毎回ドラマの冒頭で、カーク船長(ウィリアム・シャートナー)が「航宙日誌(Star Logbook)、宇宙暦xxxx年~」という形で日誌を読み上げるのですが、その日誌を口頭で記録し始める際のコンピューターへの合図が、「LOG-IN」という言葉でした。
ほぼ同じ意味の言葉で「サインイン」「サインアウト」という言い方もあります。こちらも最初に聞いたのは同様にSF映画「エイリアン」でした。宇宙船乗組員のうちただ一人生き残った主人公リプリー(シガニー・ウィーバー)が、エイリアンとの闘争の経緯を宇宙船のコンピューター日誌に録音で記録するのですが、その最後のセリフが「以上(Signing Off)」でした。
そんなセリフを自分が日常で使う時代がやってくるとは・・・。
5文字の間違いでした。
ご指摘ありがとうございます。