韓国の競争社会①最多の自殺者を出す「ヘル・コリア」という地獄

 

日本でも格差が固定化するのだろうか?

子の学力と親の経済力、相関関係があるって本当?

先ほどのお茶の水女子大学の調査によると、親が『高学歴・高所得』で全く勉強していない児童と、『低学歴・低所得』で毎日3時間以上勉強している子を比較すると、学力テストの正答率は前者の方が上回っていました。

 

この記事を受けて、「親が『低学歴・低所得』の子が毎日3時間以上勉強しても、親が『高学歴・高所得』で全く勉強してない子にテストで勝てない」とインターネットで話題になっている。

どこまで正しいか分からないけど、これはなかなか衝撃的。

 

前回まで、韓国の軍隊での生活について書いてきた。

今回の記事は、韓国社会のことを書いていきたい。
韓国は、日本以上の激しい競争社会。
2015年には、「ヘル(地獄の)コリア」という言葉が流行語なった。

そんな韓国社会ってどんなものだ?

 

3、4年前、韓国人の友人と話をしていたとき、彼が「スペック」という言葉をよく使っていた。

「韓国では、スペックがすべてなんです。スペックがないと、韓国の社会で生きていくのは本当に難しいですね」

そんなグチをこぼしていた。

この韓国人がいう「スペック」という言葉を聞いたことありますか?
韓国は激しい競争社会だ。
それを勝ち抜くためには各種資格や英語試験の点数、留学経験など、就職活動に有利になる武器がほしい。
そんな武器をスペックという。

就職活動を勝ち抜いて良い会社に入るためにはスペックが必要なのだ。

 

就職だけではなくて女性とつきあうときにも、その男性がどのくらいのスペックを持っているかが重要になる。

韓国社会でスペックが「神器」と見なされるのは、おそろしいほどの競争社会だから。

 

 

日本と韓国がちがう点は、韓国には徴兵制があるということ。
日本と韓国が同じ点は、不幸なことに自殺者が多いということ。

これは日韓の深刻な社会問題だ。

日本は自殺者が多いことで世界的に有名。
だけど、韓国での自殺率は日本より高い。

ここ数年、韓国の自殺率はOECD(経済協力開発機構)の国の中で最多となっている。

OECD30カ諸国のなかで、韓国は人口10万人あたりの自殺者数が2004年から2015年まで10年連続で1位となっている。

2015年には、OECDではなくて世界全体で第2位(10万人あたりの自殺者数)になってしまった。

ちなみに日本は世界全体で17位。
経済力としては世界第3位だけど、自殺者は本当に多い。

こんな日本を見ると、20年以上前に予備校の講師が言っていた言葉を思い出してしまう。

「日本にはホームレスは少ない。でも、ホープレス(希望を失った人)がとても多い」

この状況は今も変わっていない。

 

 

ちなみに、「幸せの国」のブータンが20位だったのは意外だった。
日本とあまり変わらないぞ。

自殺者が多いのに「幸せの国」とは、どういうことだ?

前から「ブータンは幸せ」の調査には、かなり問題があると言われていたけどね。

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ずっと2位がハンガリーだということも予想外だった。

 

友人の韓国人からスペックの話を聞いたのは、もう数年前のこと。

だけど韓国が生きづらい社会であるとは、ずっと前から言われている。

韓国人 生まれ変わっても韓国人になりたくないが多数

財閥企業の象徴ともいうべきサムスン電子の入社試験の倍率は数百倍。大卒で従業員300人以上の大企業の正社員になれるのは10人に1人だ。

2016年には、ソウル市職員の採用試験の倍率が288倍になって話題となった。

 

数年前に友人が話していたのは、いき過ぎた競争社会のなかでで生きる辛さについて。

そのときに、「今の韓国で生きるのは、地獄で生きるのと同じですよ」と自嘲気味に言っていたことが印象に残っている。

去年、韓国社会があまりに生きづらいということから、「ヘル・コリア(地獄のような朝鮮」」という言葉が流行語になった。
これを知ったときに彼の言葉を思い出した。

たくさんの韓国人がこの言葉に共感する理由はさきほどの友人と同じ。

人間を無視するような、韓国の競争社会のためだという。

流行の背景には、韓国の超競争社会による雇用不安と、縁故採用がはびこる不公正な就職状況がある。韓国では過酷な受験競争を経て大学を出てもすぐ就職できないことは珍しくなく

(ウィキペディア)

猫のようにのんびりとはできない。

 

この「ヘルコリア」という言葉を知ったとき、この言葉は「地獄の韓国」という意味だと思っていた。
でもそれはちがうらしい。

韓国人の友人に聞くと、この「コリア」とは今の韓国ではなくて朝鮮時代の韓国(朝鮮)のことだという。

特に19世紀後半の朝鮮をさすらしい。

そのころは「両班(リャンパン)」という生まれついての特権階級がいた時代で、身分が固定されていた。

「ヘルコリア」とは、個人の努力では社会の上流にはいけないという朝鮮時代のような世の中のことだという。

 

朝鮮時代の両班の家

 

この元祖「ヘルコリア」の韓国を見たイギリス人も、同じようなことを言っている。

この時代の韓国(朝鮮)の社会には2つの階層しかなかったという。
盗む側と盗まれる側の2つだけ。

堕落しきった朝鮮の官僚制度の浄化に日本は着手したのであるが、これは困難きわまりなかった。名誉と官吏の規範は存在しない。日本が改革に着手したとき、朝鮮には階層が二つしかなかった。盗む側と盗まれる側である。

朝鮮の両班たちは貴族社会の全体的風潮である搾取と暴政をこれまで事実上ほしいままにしてきた。この点について日本は新しい理論を導入し、庶民にも権利はあり、各階級はそれを尊ばなければならないということを一般大衆に理解させ、無料新聞も同じ路線をとった。

「朝鮮紀行 講談社学術文庫」

 

今の「ヘルコリア」という韓国には、こんな19世紀の朝鮮を思わせるような生き苦しさがあるらしい。

次回は、今の韓国社会の問題である特権階級について書いていきます。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。