クーデターのいま、ミャンマー人を激怒させた日本人の一言

 

いまミャンマーが大変なことになっている。

日本経済新聞の記事(2021年3月15日)

ミャンマー国軍、デモ死者120人超 戒厳令6地区に拡大

2月1日にクーデターが発生して以来、この国から平和と笑顔がなくなった。
きのう3月14日には抗議デモの参加者ら38人以上が死亡して、1日あたりの犠牲者としては過去最多と並んだとか。
最近、ミャンマー人がSNSに投稿する内容がどんどん過激化していて、国軍に殺された市民の死体の写真をそのまま載せたりするから、見ていてツライし気が重くなる。

それでSNSを閉じると、ネットには「ホワイトデー特集2021|ハズさないお返し選び」なんて特集が出てくるし、同じアジアの国でもホントに別世界だ。
ホワイトデーに浮かれる日本人を見て、ミャンマーの人たちは何を思うのか。

でも、あるミャンマー人がこんな印象的な書き込みをしていた。

「アメリカで黒人1人が殺害されると大騒ぎするのに、なんでミャンマーで100人以上死んでも日本のメディアは静かなんですか?」

この問いかけには多くの「いいね」が集まっていたから、ミャンマー人の関心はホワイトデーよりも断然こっちだろう。

もちろん日本のメディアもこの事態を無視することはなく、何度も記事で取り上げている。
けれど、ミャンマー人の期待値が高すぎる。

 

クーデターのあと市民に犠牲者が出ると、多くのミャンマー人が抗議の意味でプロフィール画像を真っ黒にした。

 

さて先月、ミャンマーの人たちがある日本人コメンテーターの一言を聞いて、一斉にこんな書き込みを始めた。

・勉強不足か日本の皆様にフェイクニュースを伝えたいのか、国家顧問を冗談にしているのは全く許せません。😡
・嘘をついて、ミャンマー人50万人の命を捨てるつもりですか?ジャーネリストのスキルが足りないでしょう?
・正しい情報を伝えろ‼️もっと勉強しろ‼️全く許せません。ミャンマー人としてすごく怒っています。

 

先ほど「国家顧問」が左のアウンサンスーチー氏
右の男性は父親のアウンサン将軍

 

その日本人はテレビ番組でこう言ったのだ。

「75歳のスーチーさんは永遠の「陽軍のお嬢様」で政治家の器ではない」

アウンサンスーチー氏はミャンマー民主化のシンボルで、今回のクーデターでは国軍に捕まっていま監禁状態にある。
このことばの前後がわからないから、どんな文脈で言ったかわからないけれど、とにかくにこの発言はトリガーを引いてしまった。
日本いるミャンマー人や、日本語のわかるミャンマー人は怒り心頭だ。

・ミャンマーの正しくない情報を言って、誤解を広めている。許せない。
・早く謝ってください
・この人ミャンマーの国の歴史を勉強してから言って頂きたい。この人本当に日本人ですか…ありえない
・ミャンマーの人に失礼な事を😠😠
・ウソ付きジャーナリスト!
ほんとに日本のジャーナリストですか?
・勉強不足すぎて日本でそんなジャーナリストがいるのは信じられない。
・僕はこの人をめちゃくちゃ怒る。

ちなみにミャンマー語の文字とはこんなものだ。

・ထိုကဲ့သို့သောမိုက်မဲသောလူအနည်းငယ်ရှိပါတယ်။ ဂျပန်လူမျိုးများစွာသည်မြန်မာနိုင်ငံ၏အဖြစ်မှန်ကိုနားလည်ကြသည်။

「こんな愚かな人も何人かいます。でも多くの日本人はミャンマーの現実を理解しています」といった意味らしい。

ミャンマーに民主主義と平和が戻ること、それとこれ以上、無神経な日本人が出てこないことを切に願ってる。

 

 

こちらもどうぞ。

ミャンマー人がブラジル人より、日本の介護職に向いてる理由

【ミャンマーとタイ】違いと同じ/ミャンマー人が見たもの

東南アジア 「目次」

旅 「目次」 

旅 「目次」 ②

旅 「目次」 ③

 

3 件のコメント

  • >政治家の器ではない
    なにがあれば政治家の器なんですかね?たとえ本人に能力が無くても人(の心)を動かすことができれば政治家として優秀だと。能力も人望もない政治家って山ほどいると思うけど

  • ミャンマーの人達って、もともと仏教徒で怒りを表に表すことが少ない、穏やかな人々が多いと聞いたのですが。そういう民族国家で、どうしてこのような騒ぎが起きるのでしょうね? 軍隊を構成する人々と一般大衆とでは、民族が違うのかな?
    たとえばやはり何度も軍のクーデターが起きているエジプトなんか、軍人も一般国民も同じエジプト人なのですが、文化集団・民族集団としてはほとんど別民族のような振る舞いをしていますよね。ていうか、軍隊は、軍隊だけが支配階層となれるような国家を作りたがっているように見える。
    ミャンマーもそういう状況なんでしょうか?
    スー・チー女史への盲目的な信頼感も、いまいちよく分かりません。

  • 政治になるとミャンマー人も、微笑みの国と言われるタイ人も頭が熱くなります。
    これは仕方ないですね。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。