佐渡金山をめぐり、大騒ぎの韓国・困惑の日本・冷静な台湾

 

「似て非なるもの」

日本人にとってそれが韓国・台湾の関係だ。
日本統治という同じ過去を持っているのに、現在の日韓関係は「戦後最悪」と言われるほど悪化している。一方、日台関係は日々好日だ。

日台関係は本日も視界良好 日本人が台湾を好きになるワケ

日本人が台湾に良い印象を持つ理由に、「歴史的に交流が長い」(45.7%)や「日本と歴史的なつながりがある」(43.4%)がある。

日本人と韓国人にアンケート調査をすれば互いに悪感情を持つ最大原因が「歴史」で、これと真逆の結果になるはず。
「歴史的なつながり」を言い出すと日韓はバトルになるし、これが理由で互いに親しみを持つことは本当にむずかしい。
それは例えばこんなふうに。

テレ朝news(2022/01/20)

“佐渡金山の世界遺産”推薦見送りへ 韓国反発で見通し立たず?

「佐渡島の金山をぜひ世界遺産に!」という新潟県や佐渡市の熱意とはちがい、日本政府はこれを見送る方向だ。
もちろん政府は世界文化遺産への登録をしたいと思っている。が、「佐渡島の金山」については韓国が「朝鮮人労働者が強制的に働かされた場所」と主張し大反発していることから、登録の見通しが立たなくなった。
安倍元総理は「しっかりとファクトベースで反論をしていくということがとっても大切なんだろう」と日本政府の“弱腰”を批判するも、外務省幹部は「佐渡島の金山を推薦すれば、再び韓国が国際社会で一方的な主張を展開しかねない」と危惧する。
いま岸田政権は板ばさみだ。

外務省幹部が不安視する「一方的な主張」とは、朝鮮日報が伝える「歴史わい曲」のことだ。(2022/01/21)

「日本は佐渡鉱山の価値を認められたいのであれば歴史歪曲をやめよ」 

“強制動員された”と語る人物の遺族はこう主張する。

「鉱山の最も深い坑道で悲惨に働いた朝鮮人がいた事実を明らかにすることを願います」
「誇りたい歴史だけを主張し恥ずかしい内容を隠して歪曲(わいきょく)する日本の態度を問題視している」
「朝鮮人たちがあの時佐渡島になぜやって来て、どのように働き生活していたか、恥ずかしい歴史も認めて公開することから出発すべきではないですか」

この件について多様性なんてモノはなく、韓国メディアの報道を見る限り、韓国社会は反対一色で怒りと不満に満ちている。

中央日報(2022.01.21)

徐ギョン徳教授、日本文化庁長官宛てに佐渡金山の世界遺産登録推進に対する抗議書簡

ハンギョレ新聞(2021-12-29)

[社説]「軍艦島」の約束破った日本の「佐渡金山」文化遺産推進、厚かましい

*「約束破った」というのは韓国側の解釈で、ユネスコはそんなこと言ってない。

 

すごい圧力なんだが、今回の「佐渡島の金山」の推薦内容は江戸時代まで。
このときは朝鮮半島出身の労働者なんて1人もいなかったのだから、本来なら韓国が口を挟むことではない。でも「過去の歴史」になると、国民感情が許さないからこうなる。
佐渡市としては「違法な強制動員」を示す資料が一切見つかっていないから困惑しているし、「恥ずかしい歴史」という朝鮮日報の記事にもその客観的な根拠は何もない。

内地出身の日本人と同じ水準の給料をもらっていた記録ならある。

産経新聞(2022/1/21)

韓国「強制連行」論に疑問 佐渡鉱山の待遇「区別なし」の史料

 

そして台湾からは世界遺産登録に反対する声も、「歴史歪曲をやめよ」と日本を非難する声も聞こえてこない。
共通の過去を持っているのに、大騒ぎの韓国と静かな台湾は本当に対照的だ。
だから日本人は「歴史的なつながりがある」という理由で台湾が好きになる。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。