イタリア人の「コーヒー愛」を、全国の日本人が知った瞬間

 

日本人とイタリア人の「こだわりポイント」の違いについて、イタリアに住んでいる日本人がSNSにこんなコメントをした。

「日本人は2、3分の遅れでも気になるけど、イタリア人はまったく気にしない。
日本人はコーヒーの量をあまり気にしないけど、イタリア人は2、3ミリの高さの違いでも気になる。」

日本人のこだわりは時間の正確さで、イタリア人のそれはコーヒーだ。
もちろんこれは盛った表現で、単位はミリじゃなくてセンチだろう。
イタリア人がコーヒーをどれだけ好きで身近に感じているのか、きょねん行われた野球の世界一を決める大会で全国の日本人が知った。

日本のプロ野球選手が試合中に水分補給をする場合、ミネラルを補うためにスポーツ飲料を飲むことが一般的で、中には水や麦茶を選ぶ選手もいる。
国籍は違っても、人間は生物として同じだから、他の国のスポーツ選手も普通はスポーツドリンクを飲むだろう。
でも、昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本と対戦したイタリア代表がベンチに持ち込んだのはエスプレッソマシンだった。
試合中に選手たちがエスプレッソコーヒーを味わう様子は、日本人の常識の外側にあったから大きな話題となる。

無地のカップではもったいない。
そこに名前を入れるだけでも、イタリア代表(か大会運営者)は億単位の広告料をゲットできたのでは?

 

「エスプレッソ(espresso)」というイタリア語は、英語の「エクスプレス(express)」と同じく、「急行」を意味している。
この名前は、高い圧力で短時間(20~30秒ほど)でコーヒーを抽出する方法から付けられたと言われている。
または、すぐに飲むから「エスプレッソ(急行)」という名前になったという説もあるが、これはアヤシイ。
イタリアに住んでいた知人のリトアニア人の話によると、イタリアの人たちは朝の忙しい合間にエスプレッソを飲んで、生活の”リズム”を整える習慣があるらしい。
野球の試合でも、選手たちはサッとエスプレッソを口にしてリラックスしたり、リズムを作ったりしているように見える。
あの大会で、ベンチにエスプレッソマシンを置いたのはイタリアだけだったし、水分補給だけを考えたら、イタリア人でもスポーツドリンクを選ぶだろう。

日本のネット掲示板を見ると、スポーツの試合中に、エスプレッソを飲みながらプレーする発想には驚くか、感心する人が多かった。

・スポーツ競技なのによくOKが出たな
・ドーピングやんけ
・日本はビールサーバーで対抗するしかない
・イタリア人だからカッコイイんだよ
同じ事日本人がやってもクスッとくるだろ
・戦時中からブレないな

イタリア代表の監督は、イタリア人にとってこれは当たり前のことで、日本で話題になったことに驚いたという。できればバリスタが作ったコーヒーを飲みたかったし、エスプレッソを紙コップで飲むなんて、コーヒーを冒涜しているようで好きじゃないと監督は話す。
コーヒーに対するイタリア人のこだわりの強さは、日本人では想像できないと思う。ベンチにバリスタがいて、選手にコーヒーを出すなんてアニメの世界だ。
なお、試合結果は「9―3」で日本が勝った。
でも、イタリア代表は日本人に強い印象を与えることに成功した。
次のWBCでは、日本代表も日本文化を広めるために、ベンチに茶道の先生を招き、抹茶を点てて選手が飲んで世界の度肝を抜くしかない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。