日本は1910年に韓国を併合し、終戦の45年まで統治していた。
現代の韓国人の感情からすると、その期間を表現するなら、「漆黒の闇」という言葉がピッタリ。
この36年間は苦痛に支配されていた暗黒時代だった。
台湾も同じように日本の統治を経験したけれど、歴史認識は韓国とは違い、その期間に近代化が進み、人々の生活が豊かになったとポジティブな評価もしている。
友人の台湾人は、「日本時代には良いことの方が多かったと思いますよー」と平気で言っていた。
韓国でそんなことを言ったら、キムチで顔をビンタをされる予感。
いまの韓国社会に、日本時代に光があったことを認める雰囲気はほぼない。
最近、国防部長官候補のシン・ウォンシク氏が遠回しの言い方で、日本の統治を擁護するような発言をすると、全国メディアのハンギョレ新聞が「暴言」と怒り、こんな批判記事を掲載した。(2023-09-26)
*「日帝」は大日本帝国や日本の帝国主義のこと。
朝鮮を継承した大韓帝国には人権があったのか、個人の財産権があったのか。大韓帝国が存続したからといって、日帝より幸せだったと我々は確信できるのか
韓国の国防長官候補が暴言「大韓帝国は日本より幸せだったのか」
暴言とは、相手の立場や気持ちを無視した非礼で乱暴な言葉のこと。
とはいえ、韓国内でも歴史認識についてはさまざまな考え方がある。
上のような意見は、野党など左派リベラルの人たちの感情を強く傷つけるが、現在の政府与党などの保守派は基本的に問題視しない。
シン氏は、日本との歴史についてこうも主張した。
重要なことは日本を恨むのではなく、「二度と私たちがこのような目にあわないように富国強兵をしなければならない」という教訓を得ることだ。
尹大統領の考え方もこれと同じ。
でも、左派の人たちはこういう認識を「帝国主義的植民地史観」と呼んで敵視する。
ハンギョレ新聞は、「このような歴史認識の所有者が国防の責任者になれば、外国による侵略の脅威があればにすぐに降参するだろう」という文を載せてシン氏を非難した。
でも、これは歴史の問題だ。
もし、シン氏の主張が間違っていると考えるのなら、19世紀後半の朝鮮王朝や大韓帝国では、日本時代よりも人権が重視されていたという事実を指摘すればいい。
「個人の財産権があったのか」という疑問に答えず、「植民地史観」とレッテルを貼って個人攻撃をしても意味はない。
こんな感情的な反応はキムチ・ビンタと変わらない。
それにしても、韓国では日本統治が始まってから、国民に財産権が認めらたというのは初耳。
ちなみに日本のネット界では、シン氏のような行為を「事実陳列罪」と呼ぶ。
たとえば、日本は韓国を併合した後、はじめの10年間は、所得税を免除していたという事実を指摘すると、韓国ではこの“罪”に問われる可能性が高い。
さて、朝鮮王朝や大韓帝国に比べて、日本の統治下では人権が尊重され、国民は幸せだったのか?
それを知るには、当時を生きた第三者の言葉に耳を傾ければいい。
現代の人間が書いた文章だと、「嫌韓」や「親韓」といった感情や自分の立場が影響するから、どうしても中立性が保証されない。
19世紀後半、イギリス人のイザベラ・バードが日本と朝鮮半島を訪れ、両国の政府要人と交流した。
日本が日清戦争に勝ち、朝鮮に強い影響力を持ち始めたころ、ソウルを訪れた彼女は以前との違いを旅行記にこう書いている。
ソウルの監獄は改革が行われていない清その他の東洋諸国にくらべれば、非常に好ましい方向に差をつけている。
拷問は少なくても表向きは廃止されたし、切断された首や胴体をさらしたり、笞打ちや身体のそぎ切りで死にいたらしめるようなことは日本の支配を受けていた時代になくなった。「イザベラバード朝鮮紀行 (講談社学術文庫)」
このイギリス人は、「朝鮮の農民はまちがいなく日本の農民に負けず劣らず勤勉でしあわせになれるはずなのである」と朝鮮の民衆の能力を高く評価している。
当時の朝鮮政府や役人が無能で残酷だったから、国民は生活を良くしようとする意欲を失い、無気力になっていたらしい。
また、日本に併合された後、朝鮮半島に派遣されたアメリカ人記者は、朝鮮人の苦しみもあるかもしれないと認めたうえでこう書く。(日本統治時代の朝鮮)
「数百年間停頓状態にあった朝鮮と、近代文明国との間に渡り橋を架けてやった」
「日本は莫大な利益を(朝鮮に)もたらしていることは明らかである」
「李氏朝鮮時代よりも日本統治によって朝鮮人民は救われている」
ここまで言うと、もうキムチ・ビンタでは済まなくなる。
左派も保守も関係なく、全韓国民が怒って袋叩きにされる。
「いやいや、それは好意的な意見だけをピックアップしただけで、日本統治の残酷面を無視している」というツッコミは当然あるはず。
もし、そう思ったら、実際に調べてほしい。
現在の価値観や常識ではなく、日本の統治時代と比べ、大韓帝国や朝鮮時代のほうが人権が尊重されていたと、第三者の外国人が記録したという話をボクは聞いことがない。
個人の財産権を持ち出したシン氏は、日本時代は以前よりも、人権が認められていたとほのめかしている。
それを裏付ける事実は多く存在するから、この指摘は全体的には事実だろう。
でも、「国民は幸せでだったのか?」という点については分からない。
これは個人の主観に左右され、幸福や不幸を感じていた人たちが同時にいただろうから、はっきりしたことは言えない。
以前のソウルの状況と比較して、「非常に好ましい方向」に進んでいる好意的に評価したバードも、それでも朝鮮の人たちは日本を嫌っていたと書いている。
だから、現代の日本人が韓国に対し、日本の統治時代に人権状況は改善されたと主張することはできても、「当時の朝鮮人は幸せだった」と言うことはできないと思う。
おまけ
同じ過去があっても、現在の台湾と韓国では歴史認識で天と地ほどの違いがある。
旧日本軍の兵士(杉浦茂峰)が「飛虎将軍廟」で、神として祀られているという事実は、韓国の特に左派の人たちにとっては信じられないはずだ。
自分のほっぺたをキムチで叩くかもしれない。
イギリス人が見た日本・日本が世界の歴史で初めてした誇っていいこと
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