高麗・朝鮮時代の最高教育機関だった「成均館(ソンギュングァン:せいきんかん)」を起源に持ち、いまの韓国でも名門とされる成均館大学の学生が歴史のチャレンジを行った。
彼らは運営するWEBマガジンで日本統治時代(韓国では日帝強占期)について、「二つの視線」を紹介する。
韓国ではあの時代を「抑圧の歴史で闇しかない」と考えるのが一般的だが、学生らは「韓国の成長基盤が形成された時期」と反対側から光を当て、もう一度あの時代を理解してみようと呼びかけた。
そしたら全方向からぶっ叩かれて、あわててWEBマガジンからその文章を削除したという、「韓国あるある」のオチで終わる。
韓国メディア「トップスターニュース」にその記事がある。(2021.11.11)
“일제 강점기=한국 성장 기반?”…성균관대, ‘식민지 근대화’ SNS 발언 뭇매
「日本の植民地時代=韓国の成長基盤?」成均館大、「植民地時代の近代化」SNS発言を大量に非難(機械翻訳)
この勇敢な学生は同じ成均館大の学生に、従来の「植民地収奪論」と「植民地近代化論」を同時に紹介し、「学友の皆さんが日帝強占期に対する視野」を広げてみようと提言する。
とはいえそこは韓国で、彼らは韓国人だ。
さすがに日本統治を否定と肯定の「五分五分」にするわけにはいかない。
「日帝強占期中に多くの人々は暴力性、強制性によって苦痛を受けた」と全体的には悪だったとしながらも、「日本の近代性が韓国に一部移転された部分もあるだろう」と光の部分に焦点をあてる。
引具体的な根拠をあげ、「日帝の収奪のみを一方的に強調する植民地収奪論を否定し、1930年代の工業化がもたらした開発の側面や近代化の側面を浮上させる」とし、「収奪が本質という考えは払拭できない」としても、日本に支配されていた間に近代化が進んだという側面を発見できるという。
そして最後に、自分たちが持っている「日帝強占期」の認識について、もう一度考えてみる必要はないかと問いかけた。
するとこれを読んだ学生は、
「成均館大学校の初代総長であるキム・リャンスク(金昌淑)先生が、独立運動に一生に捧げた方ということは知っているのか」
「問題提起だとしても、このような方向に文章を書いてはいけなかった」
「思わず悪罵がでてしまった」
「植民地は単なる収奪目的だ」
と憤怒が収まらないようす。
一方、そんな出来事を知った日本のネット民はこう思った。
・工業化が進んだのは半島の北部で今の北朝鮮
・「正しいから正しいのだ。正しいことに証拠は要らない。」
・李朝/日帝時代の写真を見るというごく簡単なこともできないのか
・都合の悪いことは、見ない、聞かない、信じない
・大学でこの反応な時点で歴史考証とかを学問として扱うのは無理だな
韓国の政府見解や一般常識を否定するような真実を突きつける行為を、日本のネット界では「事実陳列罪」という。
国民情緒を不快にさせるこうした行為は、”違法”とされ断罪の対象となる。
SNSで集中攻撃を受けるから、それをした当人は大体の場合、謝罪→釈明→削除のコンボが必至となる。
日本が建設した水豊ダム
この巨大ダムによって、朝鮮半島にいた多くの人に電力を供給し街を明るくした。
これはほぼそのまま北朝鮮の重要な電力の供給源となっている。
水豊ダムを採用した北朝鮮の国章
ではここで、「日帝による植民地収奪論」の中身を知っていこう。
韓国の中学生用の歴史教科書「躍動する韓国の歴史 (明石書店)」を見ると、「貧しさは日帝がもたらした唯一の産物」とまずボロクソ書いてある。
日本に土地を“奪われた”農民は、故郷を離れて都市部へ行くしかなかったという。
でも、待っていたのは苦しみだけだったらしい。
日帝の経済侵略によって工業発展が遅れ、どこでも働き口を探せなかったからである。だから、故郷をなくした彼らは鉱山や埠頭に押しかけ、都市で雑役をして、かろうじて生計を維持するだけだった。
「躍動する韓国の歴史 (明石書店)」
ほかにこんな記述もアリ。
それ(*土地)さえない人は子どもでも売らなければならない状態だった。「自分の土地を持ったら、米の飯に肉のスープを一度食べたら…」。それは日帝下の農民の大多数の願いだった。
韓国ではこうした歴史教育を行っているから、「多くの人々は暴力性、強制性によって苦痛を受けた」ということが完全事実として社会に定着している。
そんな常識に対して韓国の保守論客が先ほどの学生と同じようにように、反対側から意見を投げかけた。
韓国情報のサイト「wowKorea」の記事(2021/10/08)
<W寄稿>「漢字とハングルの混用」を最初に考案した人=日本人の韓国語に対する貢献
日本統治期間中に起きた社会の変化として、氏は次のことを挙げる。
・韓国人の平均寿命は2倍以上に寿命が延び(併合時は24歳)、人口の絶対数も倍増した。
・米の収穫量は3倍となり、餓死は根絶された。
・はげ山には6億本もの樹木が植えられ、鉄道は100kmから6000kmへ延長。
・水豊ダムは「世界最大級の水力発電所」だった。
そして保守論客さんはこう書く。
このような韓半島地域の発展に要した資金は、当時の日本政府が(日本国民の税金で)全て負担した。現在の価値で換算すれば60兆円以上の莫大な資金が当時の韓半島に投入された。本国(本土)からこのような莫大な資金を引き出して、植民地を近代化させたケースは世界的に類例がない。
「貧しさは日帝がもたらした唯一の産物」という植民地収奪論もあれば、「植民地を近代化させたケースは世界的に類例がない」と真逆の指摘をする人もいる。
とはいえ、韓国社会で支配的な意見はもちろん前者。
日本統治は複雑でぼう大だから光も闇もある。
複数の意見を同時に眺めるといいのだけど、それは現実にはむずかしいから、せめて否定・肯定の相反する2つの意見に目を通してから、自分の頭で考えるべき。
「植民地は単なる収奪目的だ」とはじめから決めつけていたら、異論は排除するしかない。
「問題提起だとしても、このような方向に文章を書いてはいけなかった」と大学生が言うようでは終わってる。
中身に反論しないで、事実の陳列を”犯罪行為”と見なして攻撃するようなら、学問は死に絶えたも同然だ。
こちらの記事もいかがですか?
> 韓国の中学生用の歴史教科書「躍動する韓国の歴史 (明石書店)」
というのは、韓国の歴史教科書を日本語に翻訳して赤石書店が出版している書物ですよね? 念のため。
韓国語版(オリジナル)の出版社はどこですか? 翻訳者は誰ですか?
韓国の歴史教科書は全てが政府刊行物なんですか?
すごく分かりづらいです。もうちょっと表現を工夫してほしい。
疑問に思ったことはぜひ調べてみてください。
「躍動する韓国の歴史 (明石書店)」なら図書館か、アマゾンにあると思いますよ。