野球の世界一を決める国際大会が日本で開催されたとする。
東京ドームで日本 vs キューバ戦が行われている最中に、球場内の巨大スクリーンで、別会場の台湾 vs オーストラリアの試合が流されるという事態は、きっと日本人の斜め上にある(想像を超えている)。しかし、台湾ではそんなことが起こる。
先日17日、「プレミア12」が開催されていた台湾で、日本がベスト4進出をかけてキューバと試合をしている裏で、台湾がオーストラリアと戦っていた。
日本とキューバの試合は大接戦になり、日本が1点を勝ち越した状態で、9回に1死満塁の特大ピンチを迎える。しかし、藤平投手が好投し、キューバ代表の打者を2者連続で三振にして日本が勝利する。
それと同時並行して別会場では、台湾とオーストラリアの試合が行われていて、とつぜん球場の巨大スクリーンの映像が切り替わり、その場面が流された。
数万人いた台湾の観客は日本を熱烈に応援し、「三振コール」が鳴り響く。そして、藤平投手がキューバの打者を打ち取って日本が勝ち、ベスト4進出を決めた瞬間、会場は歓喜にわいた。
台湾の選手もそれを見守り、ガッツポーズをしたという。
別の試合映像が流されるという異例の事態になった背景には、この試合で日本と台湾が勝てばそろってベスト4へ進むということと、台湾人は単純に日本が好きで、日本に勝ってほしいという気持ちが強かったということがある。
ちなみに、台湾もオーストラリアを破ってベスト4進出を決めた。
「日本隊加油」は「日本チームを応援する」といった意味。
台湾とオーストラリアの試合なのに、日の丸を振って日本の勝利を喜んだ台湾人もいたらしい。
これは、それを報じた台湾メディア「東森新聞」の記事だ。
「台日友好!台球迷大巨蛋喊「三振古巴」為日加油感動日網」
(台日友好! ドームに集まった台湾のファンは「三振」と叫んで日本を応援し、日本のネット民を感動させた、という意味と思われる。)
台湾の観客の歓喜はまさに日台友好を象徴している。
この出来事を伝えた日本メディアの記事にはたくさんのコメントが寄せられ、それをAIが要約するとこうなった。
・日本と台湾は互いに深い絆で結ばれており、その友情はスポーツやカルチャーを通じても感じられますと感じています。
・台湾の野球がこれからさらに強くなり、日本とのライバル関係が盛り上がることを期待しているという意見もあります。
東京で行われている日本戦の試合会場で別の試合が流され、観客が日本そっちのけで台湾チームを応援するという現象は、いくら日本人が台湾を好きでも考えられない。
台湾人が日本を好きで、勝利を応援したいという気持ちの強さは日本人の想像を超えている。
2018年にロシアでサッカー・ワールドカップが開催されたときには、台湾のスポーツニュースでキャスターが日本代表ユニフォームを着ていて日本で話題を集めた。
それだけでも驚きなのに、お天気お姉さんまで日本代表ユニを着ていたことは日本人の想像を超えていて、ネット上では「ちょっと意味が分からない」と戸惑う人が続出した。
こういうことも日本のテレビでは見たことがない。
友人の台湾人に聞くと、これは日本人ではなく台湾人を喜ばせるためで、「台湾人は日本が好きだから、日本が勝てばうれしいんです。単純に応援したいから、そうしているだけですよ」とサラリと言う。
台湾の人たちにそんな気持ちがあることを考えれば、今回の出来事が起きたことも理解できる。
日本人も台湾を好きになるかは別として、まずは関心を持って知ったほうがいい。
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