友人の台湾人女性はアニメがきっかけで日本が好きになって、そのまま沼って(深くハマって抜け出せなくなる)、日本語を学んでマスターし、今は台北で日本語教師をしている。ここでは名前を春麗(チュン・リー)として、これから彼女から聞いた話を書いていこう。
ーーひさしぶり、台湾も今はもう秋かな?
お久しぶりです。10月の終わりは秋なんですけど、最近は季節と気温が合っていないんですよ。もうすぐ11月なのに、今日は29度まで上がりました。だから最近は、「台湾の秋は短くなっている」ってよく言われます。
ーー温暖化のせいで、日本では春と秋が削られて「二季化」が進んでいるけど、台湾も同じか。
今年の終わりが見えてきて、春麗はこれから何か予定はある?
ありますっ、2025年最大のビッグイベントが! 11月に日本へ旅行に行くんですよ〜。きょねん同じ時期に京都へ行って、夫が初めて日本の紅葉を見て大ファンになったんです。台湾であんなキレイな景色は見られないので、無理ないですけどね。わたしも日本の紅葉は大好きです。
ーー台湾で紅葉は?
ないことはない、という程度にあります。でも、紅葉は山の中にあるので、台北では見られません。アクセスが良くないし、あまり見応えもないので、紅葉を見るなら日本へ行く人が多いです。
ーー日本は紅葉の「聖地」だったのか。
熱帯の台湾は基本的に暑いから、台湾人にとっては、紅葉、雪、桜といった日本の四季はすっごく魅力的なんです。
ところで、紅葉を見ることを日本語で「紅葉狩り」って言いますよね? 「花見」は分かりますけど、紅葉ではなんで「狩り」って言葉になるのか不思議です。
ーー前にアメリカ人にも同じことを言われた。「Strawberry picking を何で日本語では『いちご狩り』って呼ぶんだ?」ってね。台湾でいちご狩りは何て言うの?
「採草莓」です。
ーー「picking」と「採」は同じ意味だな。やっぱり、「犭(けものへん)」のある「狩り」は変わってる。
ーー「picking」と「採」は同じ意味だな。やっぱり、「犭(けものへん)」のある「狩り」は特殊だ。
【中国人の疑問】なぜ日本人は紅葉”狩り”と言うのか? の答え

質問があるんですけど、いいですか?
ーー欲しいクリスマスプレゼント? それならプレステ5。
へー。この前、生徒に日本語を教えていたら、「“こうよう”と“もみじ”って何が違うんですか?」って聞かれて、瞬間凍結しました。「紅葉」って漢字はその2つの読み方がありますよね? 日本人はどう使い分けているんですか?
ーーざっくり言うと、「こうよう」は秋になって、葉っぱの色が赤や黄に変わる現象のことで、「もみじ」はそういう植物の種類(カエデ属の広葉樹)のこと。
「こうよう」を英語にすると「autumn leaves」になって、色づく秋の葉っぱ全体を指している。いっぽう、「もみじ」は「Japanese maple」と特定の種類を指している。
「こうよう」の代表格がモミジだから同じ漢字になったけど、台湾人は「漢字の民」だから、余計ややこしいかも。
そうですね。その場合は英語のほうが分かりやすいです。
ーー楓(カエデ)と紅葉(モミジ)の違いになると、これは日本人でもハードモード。
あ、そこまではいいです。

台湾らしいマンゴー&パイナップルビール
それともう一つ、質問していいですか?
ーー好きな台湾土産はパイナップルケーキと台湾ビール。
紅葉シーズンに日本へ行く人が多いから、いま台湾で日本の「クマ出没」が大きな話題になっているんです。京都の嵐山でクマが出たと知って、わたしたちはそこへ行く予定だったから、夫もわたしも不安なんですけど、今の状況はどうですか?
ーーけっこう深刻。最近は、毎日のようにクマの目撃情報や被害のニュースを見るし、もう『くまクマ熊ベアー』の3期は無理だろうね。
でも、クマに襲われやすい地域は本当に限られている。嵐山みたいな有名観光地には人がめちゃくちゃいるし、対策もしているらしいのでまず問題ない。そこにクマが現れて人が襲うっていうのは映画のシーンだね。まぁ、可能性がゼロとは言い切れないけど。
じゃあ、予定を変更する必要はなさそうですね。
ーーそれはない。それにしても、日本人と同じように台湾人が紅葉を楽しみにして、クマ騒動についても同じように不安を持っているとは思わなかった。日台関係は本当に近いというか、一心同体だな。

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