【日本の紅葉】外国人が絶賛する理由・海外との違い

 

11月の半ばになって、いま紅葉が見ごろをむかえている。
それで以前、この時期に上級レベルの日本語を学んでいる外国人から、「モミジとカエデの違いって何ですか?」と質問されて、硬直した記憶がある。
モミジもカエデも同じカエデ属の植物で、形も色もよく似ているから、見分けることがむずかしい。
ネットで調べてみたら、葉っぱの切れ込みの深いものをモミジ、浅いものをカエデと呼んでいるらしい。

昔の日本語では、葉の色が変わる様子を「もみづ」と言い、それが時代が進むにつれて変化して「もみじ」となった。
一方、カエデは、葉の形がカエルの手に似ているから「カエルデ」と呼ばれるようになり、それがカエデとなった。
でも、植物学的な分類ではどっちも同じで、海外(英語圏)では両方をまとめて「メープル」と呼んでいる。
日本でも普通の人なら、モミジもカエデも「同じ」と考えていい。

日本人は紅葉が大好きだから、ちょっとした違いにも気づいて区別したようだ。

 

最近、日本に10年以上住んでいるフィリピン人が SNSにこんな投稿をした。

「Autumn or Aki秋is my most favorite Season in all 4 it was cool,smells good and everything around is beautiful!」

「秋は最高!涼しくて、いい香りがして、周りの景色が全部美しいんだよ!」

秋は涼しくて良いにおいがして、周囲のすべての景色が美しく見える。
クリ、カキ、サツマイモ、サンマといった旬のおいしい物を食べられし、何と言っても「Autumn Foliage」(紅葉)を見ることができるから、彼女は日本の四季の中で秋が一番好きだと言う。
このフィリピン人は日本の紅葉を見た感想をこう書く。

「It was magical that you can think it was on fairy tale…」
(おとぎ話のようなマジカルな世界だった…。)

バングラデシュ人とタイ人と紅葉を見に行ったとき、彼女たちもこのフィリピン人と同じように感激した。
日本人にとっての「夢と魔法の世界」はディズニーランドだろうけど、熱帯気候に生まれ育った外国人には、日本の紅葉は「おとぎ話」のような現実離れした光景に見えるかもしれない。
小国神社や静岡県西部では有名だけど、実際は全国にこんなスゴイ場所がいっぱいあるんだよ。
バングラデシュ人とタイ人は静岡県西部にある小国神社へ紅葉を見に行った。
わりと知られているけれど、このレベルなら全国各地にあって、特にスゴイ場所というわけでもない。
それでも2人は赤や黄色の世界を絶賛し、後でバングラデシュ人は SNSに写真と一緒に詩を書いていた。

最近は、タイでも日本の紅葉は有名になってきていて、それを目的に日本へ旅行に行くタイ人も増えているらしい。
タイ人が事前に(たぶんタイの)観光サイトを見ていたら、日本の紅葉は世界一美しいと書いてあって、実際に、彼女は期待を裏切らない景色を楽しむことができた。

日本政府観光局のウェブサイト(Autumn Leaves (Koyo) of Japan)も、

「The transformation of autumn leaves in Japan is considered to be one of the most beautiful in the world. 」
(日本の紅葉は、世界で最も美しいもののひとつとされている。)

と、自信を持って外国人に紹介している。

 

小国神社の紅葉

 

明治時代に来日したイギリス人のラフカディオ・ハーンは日本の自然をこう称賛した。

いったい、日本の国では、どうしてこんなに樹木が美しいのだろう。西洋では、梅が咲いても、桜がほころんでも、かくべつ、なんら目を驚かすこともないのに、それが日本の国だと、まるで美の奇跡になる。

「日本賛辞の至言33撰 (ごま書房) 波田野 毅」

小説家で日本民俗学者だったラフカディオ・ハーン

彼は日本国籍を取得して「小泉八雲」と名乗った。
『耳なし芳一』、『むじな』、『ろくろ首』などの有名な怪談を書いたのがこの人。

 

日本の紅葉について、タイ人とバングラデシュ人が一番感動したポイントは、赤やオレンジ、茶、黄、緑などのさまざまな色を同時に見られたこと。

葉の色が変化するのは、常緑樹ではなくて落葉樹だ。
秋になると、紅葉が見られることは海外でもあるけど、日本では落葉樹の種類の多さが違う。
落葉樹はカナダやヨーロッパでは13種類あるのに対して、日本では26種類もあるから、色の組み合わせが紅葉を魅力をマシマシにしている。

落葉樹は寒さに弱いから、欧米の落葉樹は氷河期の時代に枯れてしまった。
でも、島国の日本では、周囲に暖流が流れていたことなどによって、落葉樹は生き残ることができた。
日本の紅葉はグラデーションの美しさが海外とは違うから、それを見ると「It was magical…」と別世界のように感じる外国人もいるのだ。

 

 

 

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

イギリス人が日本で誇らしく、うれしく感じた2つのこと

日本とイギリスの季節(四季)の違いや特徴。あること・ないこと

親日度、驚異の99% タイ人は日本のどんなところが好き?

【1993年米騒動】日本米は美味しいが、タイ人を怒らせるな

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。