前回、アメリカの北部と南部の違いについて書いた。
アメリカの北部と南部では、人々の価値観や考え方に大きな違いがあって対立することもしばしば。
支持政党を見ると、北部には民主党の支持者が多くて、南部では共和党の支持者が多い。
くわしくはこの記事を↓
アメリカとはこんな国①北部と南部の対立。民主党 VS 共和党
アメリカは2大政党の典型的な国といわれる。
今回は、民主党と共和党の違いについて書いていきたい。
大まかにいって、民主党はリベラルな考え方をしていて共和党は保守的な考え方をしている。
日本の政治でも、保守やリベラルという言葉はよく使われる。
たとえば、日本の保守政党は自民党だ。
一般知識として、「保守やリベラルとはどんな考え方をしていて、どんな違いがあるのか?」ということは簡単にでも知っておいたほうがいい。
まずはアメリカ北部の位置を確認しておこう。
上の赤いところがアメリカ北部(ウィキペディアから)
続いてアメリカ南部。
下の赤いところがアメリカ南部(ウィキペディアから)
*これは「一応の目安」と考えてほしい。情報源によって北部や南部の指す範囲が変わってくる。
ちなみに、保守(conservative・コンサバティブ)という言葉はファッション用語としても使われている。
コンサバとは、コンサバティブの略で、「控えめな」もいう意味を持っています。
どういったファッションかというと「お姉さん系」のような服装のことをいいます。
コンサバ系は流行に流されにくいのに、どの年代や性別からも受けがよい万能スタイルと言われています。
自民党とお姉さん系のような服装とはまったく関係がないけれど、どっちもコンサバティブだ。
一般的に、アメリカの民主党はリベラルな(自由主義的な)政策を立てて、共和党は保守的な政策を立てている。
くり返しになるけど、北部の人はリベラルな考え方をする人が多くて、南部には保守的な考え方の人が多い。
保守というのは、良くいえば「アメリカの伝統的な価値観や考え方を大切にする」ということ。
ほ‐しゅ【保守】
旧来の風習・伝統・考え方などを重んじて守っていこうとすること。また、その立場。
「デジタル大辞泉の解説」
これに対してリベラル(自由主義)では、伝統よりも個人の選択を重視する傾向が強い。
自由主義
自由主義(じゆうしゅぎ、英: liberalism、リベラリズム)とは、国家や集団や権威などによる統制に対し、個人などが自由に判断し決定する事が可能であり自己決定権を持つとする思想・体制・傾向などを指す用語。
「ウィキペディア」
この2つの政党の立場はおよそこんな感じになる。
共和党は、変化をあまり好まず、昔ながらの生活を守っていこうとする。
民主党は、それまでの伝統や慣習よりも個人の判断が重視される。変化をおそれない。
少し話がそれる。
最近、女人禁制の沖ノ島が世界遺産に登録された。
女人禁制だから男性は島に入ることができるけど、女性はそれができない。
このことについて、それを支持する人と反対するがいる。
「女人禁制は日本や神道の伝統的な考えだから守るべきだ」という人がいれば、「今の男女平等の時代にそれはおかしい。女性が島に入ることを認めるべきだ」という人もいる。
これを強引に保守とリベラルで分けると、「女人禁制を守るべき」というのが保守の立場で、「女人禁制を解くべきだ」と考えるのリベラルの立場になる。
アメリカで、共和党が好きな保守的な人はこんな考えを支持している。
・LGBT(性的マイノリティ)を認めない。
・人工中絶を認めない。
・同性婚には反対。
・アメリカの公立学校でもっとキリスト教(聖書)についてもっと学ばせる。
・自分の身は自分で守る必要がある。だから銃を持つことには賛成(つまり銃規制には反対)。
これらのことは共和党の綱領に盛り込まれている。
民主党を支持する人たちはこうした考え方には反対の人が多い。
リベラルな人たちはこんな考えを支持している。
「LGBT、人工中絶、同性婚といったことは個人の問題。だから、その選択は個人にまかせるべきだ」
南部の保守的な人はこういう考えを嫌う。
だから北部と南部は対立する。
アメリカの銃規制は日本でもたびたび話題になる。
「自分の身は自分で守る」というのがアメリカの昔ながらの考え方。
だから、保守的な立場の人は銃を持つことには賛成で、銃規制には反対する。
アメリカの南部にはそう考える人が多い。
南部にあるテキサス州のメディア「Rated Red」で、銃の使い方を紹介していた。
日本だったら、こんな放送はあり得ない。
この根本には、アメリカの伝統的な「自分の身は自分で守る」という考えがきっとあるだろう。
南部のフロリダ州出身のアメリカ人がこんなことを言っていた。
「フロリダ州では、ショットガンを持って街を歩いても何も言われない。でも、タバコを吸っていると怒られる」
日本とは正反対。
「もし服部君がアメリカ北部で留学していたら、彼は射殺されずにすんだかもしれない」という思いがある。
1992年に、日本人留学生の服部君がハロウィンのときに射殺されるという事件が起きた。
威嚇射撃を一切行わず、また足などへの狙撃もせず、ピアーズはいきなり丸腰の少年服部の胸部に向け銃を発砲した。弾丸は服部の左肺の上部と下部を貫き、第7肋骨のあたりから抜け出た。救急車が呼ばれたが、服部は出血多量により、車中で息絶えた。
これが南部のルイジアナ州ではなくて北部の州だったら、最悪の結果にはならなかったかもしれない。
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