2015年の12月、日本と韓国が慰安婦問題について”最終的・不可逆的”に解決することで合意した。
めでたしめでたし。
とはいかないのが日韓関係で、先日韓国がこの日韓合意を検証した結果を発表した。
そこでは、日韓合意について「被害者(元慰安婦)の意見を十分集約せず、政府間で最終的・不可逆的解決を宣言しても問題は再燃するしかない」と指摘している。
これでは、最終的・不可逆的な解決の意味がない。
「韓国は政権が変わったら、また問題を再燃してしまう」ということなのだから。
この検証報告に対する韓国の反応は前に書いた。
韓国はこの日韓合意を、「でたらめ」や「屈辱的」と否定的にとらえている。
でも、日本への対応では意見が分かれた。
「合意は破棄せよ」というものがあれば、「国家間の合意を破棄すれば韓国に信用がなくなる」というものもある。
では、日本はこの検証結果をどうとらえたのか?
今回は日本の反応について書いていこうと思う。
ここでは日本の全国紙の社説を取り上げて、それぞれの新聞社の意見を見ていくことにしよう。
韓国の新聞社はどこも、日韓合意を「でたらめ」や「屈辱的な合意内容と非民主的な過程」と否定的していた。
日本はこれとは逆で、すべての新聞社が日韓合意を好意的にとらえている。
でも、その後はそれぞれの新聞によって違う。
朝日新聞の社説「日韓合意 順守こそ賢明な外交だ」にはこう書いてある。
「いまの日韓関係を支える、この合意の意義を尊重する賢明な判断を求めたい」
「政権を担う今、理性的な外交指針を築く覚悟が求められている」
今の日韓関係はこの合意によって成り立っているのだから、「日韓関係を支える」というのはまさにその通り。
「賢明な判断」や「理性的な外交指針を築く」というのは、「韓国政府はこの合意を守るべきで、合意の破棄や再交渉を言い出すべきではない」ということ。
朝日新聞は、「文政権は合意の順守を表明」するように求めている。
具体的には、ソウルの日本大使館前にある慰安婦像(少女像)の移転問題だ。
この像の撤去について、「文政権は市民団体などへの説得に注力しなくてはならない」と書く。
ここまでは分かるのだれど、「それってどうなん?」と首をかしげたくなるのがこれだ。
「さらに日本政府にできることを考え、行動する姿勢が両国関係の発展に資する」
日本は、2015年の日韓合意で約束したことをすでにやっている。
後は、この合意に反することをしなければいい。
日本も最終的な解決に合意したのだから、さらに何かをやろうとは思わないほうがいい。
日本が慰安婦問題に手を出せば、日本や韓国から反対の声があがってまた問題化してしまう。
次に、毎日新聞の社説「文政権の「日韓合意」検証 再燃回避へ指導力発揮を」を見ていこう。
日韓関係について「政府間の約束は政権交代したからといって簡単に変更できるものではない」と韓国政府に釘をさしている。
さらに、韓国の”反日的な姿勢”を指摘した。
韓国政府は慰安婦の記念日制定を進めたり、トランプ大統領の夕食会に元慰安婦を招待したりした。
これについて、「合意に否定的な国民感情を強調」したと批判する。
毎日新聞は結論として、日韓関係が悪化しないよう「文氏は韓国内で問題が再燃しないよう指導力を発揮すべきである」と注文する。
「再燃するしかない」とあきらめてどうする?
韓国はこの問題を再燃させてはいけない。
読売新聞の社説「慰安婦合意検証 履行を怠る言い訳にはならぬ」では、韓国を厳しく批判している。
日韓合意の検証結果についてこう書く。
「結果はさらに奇怪な代物だ」
「説得力のある根拠はない。元慰安婦の支援団体の政治的に偏向した主張に沿っているのは明らかだ」
「日韓合意には問題がある」のではなくて、韓国の検証に問題があることは間違いない。
そして日韓合意は国家間の約束で、米国や国連など国際社会でも歓迎されたことをあげ、韓国が「合意を反故にすれば、韓国の信用を落とすだけだ」と警告している。
これはその通り。
韓国が約束を守らなかったら、日本だけではなく、国際社会で韓国の信用がなくなってしまう。
読売新聞は韓国に、日韓合意を履行することを求めている。
具体的には、やはり慰安婦像(少女像)の撤去だ。
「文政権は、少女像撤去に向けて、具体的な行動をとるべきである」と韓国に訴えている。
これは韓国が約束したことだから、やってもらわないと困る。
日経新聞の社説も韓国に厳しい。
社説のタイトルが「「再燃せざるを得ない」のは韓国への不信だ」というものだから。
書いてあることは、ぐうの音も出ないほどの正論だ。
「国家間の合意や協定は着実に履行する義務がある。前政権時代の約束だからほごにするという事例がまかり通るようでは、いつまでたっても互いの信頼関係は築けない」
「韓国側が再交渉などを求めるようであれば、再燃するのは韓国不信であることを文政権は肝に銘じるべきだ」
韓国政府がしなければならないことは日韓合意を守ることで、「少女像の撤去に向けた努力」と書く。
産経新聞はもちろん韓国に厳しい。
「日韓合意の「検証」 もう責任転嫁は許さない」と、韓国をにらみつけているようだ。
「日本大使館前の慰安婦像を撤去しないなど、課題を先送りしているのは韓国側だ。国内向けの時間稼ぎは終わりにしてもらいたい」
くり返しになるけど、韓国は2015年の日韓合意にもとづいて、慰安婦像を動かさないといけない。
日本は合意にしたがって、すでに安倍首相がお詫びの言葉を表して韓国側に10億円をわたしている。
でも韓国がしたことは「先送り」で、像をまったく動かしていない。
これでは、「国内向けの時間稼ぎは終わりにしてもらいたい」と怒られても仕方がない。
韓国政府は「反日世論への迎合に走る態度は改めるべき」で、日本との約束を行動に移すよう求めている。
それもすぐに。
「新たな日本への要求など認めようもない。慰安婦像の撤去など、合意に即した対応をとることこそ、韓国として早急に表明すべきだ」
朝日、毎日、読売、日経、産経のすべての新聞が韓国に対して、2015年の日韓合意を守るよう求めている。
すべての新聞がこの点では同じだ。
日本がこの合意をどれだけ大切に考えているのかがよく分かる。
逆にいえば、韓国がこの合意を守らなかったら、「日韓関係は終わり」と言っていいだろう。
でもそれは、中学生でも分かるはず。
一度約束しても「政権が変わりましたから、前の政権のことは知りません」と言われたら、日本はもう韓国を信用することができなくなる。
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