韓国人らしいというか、「日本人ならできなかっただろうな」と思うようなことがあった。
3月19日、ブラジルでおこなわれた「第8回世界水フォーラム」でのこと。
「世界水フォーラム」は3年に1度おこなわれるもので、世界の水問題解決に向けた会議としては世界最大級のもの。
2018年の「水フォーラム」には、韓国から李首相、日本からは徳仁(なるひと)皇太子殿下が参加していた。
皇太子さまはこのフォーラムで、国際社会が協力して水害など自然の脅威に対応する必要性について訴えられた。
“立ち見”の聴衆が出るなど、皇太子さまの講演は大きな注目を浴びたという。
またブラジルでは、歓迎に来ていた日系人とお言葉をかわされ、親交を深められた。
ここまでは、皇太子さまのご予定にあったもの。
この場で韓国の首相と会談する予定はなかったのだけど、韓国の首相は皇太子さまに会って話をしたかった。
最近の韓国と日本の関係はよくない。
もちろんそれは、韓国側に大きな責任がある。
今年1月には文大統領が、「慰安婦問題が本当に解決するためには、日本の真の謝罪が必要」といった内容の演説をして、3月には「日本は『慰安婦問題が解決した』と言ってはいけない」と言う。
慰安婦問題は2015年の合意で、日韓両政府が「最終的、不可逆的な解決」を確認している。
文大統領の言葉は合意の精神に反する。
さらに韓国の大臣は国連で慰安婦を「性奴隷」と言って、日本政府に抗議された。
これも日韓合意の内容に反している。
最近開かれた平昌五輪・パラリンピックでも、韓国側は「独島」や「東海」をアピールしていた。
日本政府はこうした「五輪の政治利用」についても、韓国に何度も抗議している。
こんなことをしていて、韓日関係が悪化しないと考える方がどうかしている。
でも韓国は、日本との関係を何とか改善したい。
そんな韓国が、水フォーラムに出席される皇太子さまに注目しないわけがない。
「世界水フォーラム」の会場にお入りになる皇太子さまに、李首相が近づいて来てあいさつをした。
もちろん、「あいさつ」だけでは終わらない。
下の聯合ニュースと中央日報の記事では、首相はこの場で皇太子さまに次の3つをしている。
・南北対話をはじめとする朝鮮半島情勢の変化への理解と支持を訴えた。
・韓国側は、皇太子さまの韓国訪問を希望していることを伝えた(実質的な天皇訪韓)。
・韓日関係の改善への力添えを求めた。
くり返しになるけど、「世界水フォーラム」で皇太子さまが韓国の首相と会われる予定はなかった。
フォーラムの会場に入る皇太子さまを「つかまえた」というのは、言ってみれば、韓国首相による不意討ちのようなもの。
それに上の3つは日本の政治家に訴えるべき内容で、政治的なことは何も言えない皇族に、突然こんなことを言い出すのはひかえてほしいもんだ。
でも、こうでもしなかったら、皇太子さまと話をすることはできなかっただろうけど。
韓国紙の報道では、これに対して皇太子さまは「自身の立場でできることは限られているけれど、できることはする」といったことを言われた。
皇太子さまも東アジアの平和と友好を望んでおられると思う。
でも、韓国の首相が言ったことは「世界の水問題解決に向けた会議」とは関係ない。
これはほとんど韓国の願いであり都合だ。
上の内容は下の記事から。
聯合ニュースの記事(2018年03月20日)
中央日報の記事(2018年03月20日)
それにしても、本当に韓国人らしい発想と行動だと思う。
「五輪でもなんでも、あらゆる機会を使って自分たちの主張をおこなう」という、強引というか欲張りな行動は日本人にない。
日本の首相級の人物が「世界水フォーラム」のような場で、外国の王族を”奇襲”してつかまえ、一方的に日本の主張を伝えるようなことはしない。
ちなみに、韓日関係の改善に力添えを求められた皇太子さまは、こうおっしゃられたという。
「歴史を学ぶ人として、過去を反省した上で良い関係が築かれることを願う」とし「両国間に良い環境ができることを願う」と述べた。
李首相の”作戦”は、国内向けには大成功だろう。
日本の皇太子が「自身の立場でできることは限られているけれど、できることはする」と言ったと複数の全国紙に報道させることができた。
それに、日本の皇太子に「歴史を学ぶ人として、過去を反省した上で良い関係が築かれることを願う」と、韓国の期待どおりの言葉を言わせたというのは、国民向けのいいアピールになる。
でも、個人的にはこれはアヤシイと思っている。
皇太子さまが韓国の主張と同じようなことをおっしゃるだろうか。
前に韓国の全国紙による誤報記事のことを書いた。
「自民党の石破氏が、『韓国が納得するまで、(日本は)慰安婦に謝罪しなければならない』と言った」と東亜日報が伝えたことで、大きな問題になる。
でも、産経新聞が石破氏に確認したところ、「『謝罪』という言葉は一切使っていない」と韓国紙の報道を否定した。
くわしいことはこの記事をご覧ください。
今回の皇太子さまの「過去を反省した上で~」という発言も、これと同じようなものだと思う。
はたして今回の李首相の行動には、具体的な効果があるのだろうか?
これによって、韓日関係は改善に向かうだろうか?
日本のネットを見る限り、今のところはむしろ逆効果だ。
韓国による「皇族の政治利用」と考える人が多い。
・水フォーラムに関係ねー
・しらんがな(´・ω・`)
・五輪とか皇太子を政治活用するな!
・何やってくれてんの
・失礼だって思わないんだろうね
・日王とか言ってた国が何言ってるの?
・皇室の政治利用はタブーですよ。
・日本人の神経逆撫でするのがお上手なことで
・一方的に話しかけて都合よく解釈しそれらしく公表
超えちゃいけないラインも普通に超えてくる
・世界水フォーラムには、毎回必ず参加する皇太子が前回の韓国大会だけ、参加できなかった理由を韓国人は少しは考えた方がいいよ
「世界水フォーラム」で李首相がしたことが良いことだとは思わないけれど、対韓国外交では、日本側もこれぐらい強引で大胆なことをしたほうがいいかもしれない。
「それは日韓合意の精神に反する」と正論を言って遺憾の意をしめすような正攻法の抗議では、韓国は変わらないから。
たまには韓国側を怒らせるようなことを、日本から仕掛けてもいいと思う。
それが韓国の反日パフォーマンスの抑止力となって、日韓関係は意外とうまくいくかもしれない。
おまけ
2017年に皇太子さまがデンマークを訪問していたとき、地元の一般人が「一緒に写真を撮ってほしい」とセルフィー(自撮り)を皇太子さまに願い出た。
突然のことだったけれど、皇太子さまはそれに応じられた。
「アエラ」の記事(2017.6.25)から。
笑顔で応じる皇太子さまに、同行していた宮内庁関係者も、驚きを隠せない様子だったという。
「韓日関係の改善」を訴えるよりは、こうしたセルフィーを願い出るほうがまだいい。
皇太子さまが何をおっしゃっても、きっと韓国側に都合のいいように利用されるから。
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