米朝首脳会談、中止の原因。アメリカを激怒させた北朝鮮の言葉

 

韓国の青瓦台(大統領府)は、6月におこなわれる米朝首脳会談について、かなりの自信を持っていた。

政府関係者は韓国のマスコミに、「会談成功の可能性は99.9%」と言い切る。
それが、開催まで1か月を切ったところでまさかのキャンセル。

これは、北朝鮮側の言葉がアメリカを激怒させてしまったことによる。
これから、この世紀の大ドタキャンの原因をみていこう。

うかつな言葉は自分自身を滅ぼす。
怒って感情的になったときこそ、冷静にならないといけない。
北朝鮮の態度をみると、そんなことを思う。

 

 

米朝首脳会談については、開催が近づくにつれて、アメリカと北朝鮮がたがいに「ジャブ」をくり出すようになっていた。
アメリカが北朝鮮に、徹底的で完全な核の放棄をせまると、北朝鮮はこれに反発。

ジョン・ボルトン大統領補佐官の名前をあげて批判した。
イギリスBBCの記事(2018年05月16日)

北朝鮮の金桂冠第1外務次官は、米国が向こう見ずな発言をし、悪意を隠し持っていると強く非難。(中略)金次官はさらに、「我々は過去にすでにボルトンの資質を明らかにしており、彼に対する嫌悪感を隠しはしない」と付け加えた。

北朝鮮、米朝首脳会談の中止を警告 一方的な核放棄要求に反発

 

「アメリカが一方的な核放棄を要求するのなら、我々は米朝首脳会談を考え直さないといけない」と、北朝鮮はアメリカを牽制(けんせい)する。

トランプ大統領も言い返す。
こちらも、首脳会談を延期したり中止したりしてもかまわないと言う。

でもこれは、会談を自分たちに有利に進めるためのかけ引き。
実際は会談を行う。
そのつもりだけど、中止や延期をほのめかして、相手を動揺させようとする作戦でしかない。
言ってみれば、会談の「やめるやめる詐欺」。

そういう言葉を言い合っているだけだとボクは思ったのだけど、アメリカはマジだった。
本当にキャンセルしてしまった。

 

 

アメリカを本気にさせた決定的な原因は、北朝鮮の言葉だった。
北朝鮮は言いすぎた。

韓国・中央日報の記事(2018年05月25日)にそのことが書いてある。

24日に崔外務次官がマイク・ペンス副大統領を「無知蒙昧」「足りない間抜け」などの低劣な言語で公開非難すると「到底許しがたいこと」と言って爆発した。トランプ大統領は最後にボルトン補佐官と相談し、ここで一旦中止の書簡を送ることで結論を出したという。

トランプ氏、金桂冠氏威嚇の時に怒り…崔善姫氏のペンス氏侮辱に爆発

会談をやるつもりだったら、国はいいけど、個人を非難してはいけなかった。
アメリカではなく、アメリカ人を攻撃するのは一線を越えている。

 

トランプ大統領が会談のキャンセルを決意したきっかけは、北朝鮮の挑発的な発言だった。
アメリカのウォールストリートジャーナル紙も同じ見方をしている。

金氏宛てに書簡を送り、「(正恩氏の)最近の発言にすさまじい怒りとあからさまな敵意が含まれていた」ことが理由だと述べた。

トランプ氏、米朝首脳会談中止 北朝鮮の「怒りと敵意」が理由

 

首脳会談中止を伝えるトランプ大統領のツイッター

約5万人が「いいね」をするのはなぜだ?

 

トランプ大統領は金委員長に送った書簡で、武力行使の可能性をほのめかしている。

You talk about your nuclear capabilities, but ours are so massive and powerful that I pray God they will never have to be used.

あなたたちは自身の核能力を自慢する。しかし、我々の核兵器はとても大きく強力だ。私はこれらが使われないことを神に祈る。

 

NHKのニュース(2018年5月25日)は、もっと具体的な指示を報じている。

「北朝鮮と世界にとって大きな後退だ」と述べました。そのうえで、マティス国防長官らに対し、必要であれば軍事的な態勢を整えるよう命じたと明らかにしました。

トランプ大統領「北朝鮮と世界にとって大きな後退」

 

いまの時点では、米朝首脳会談は完全にふっとんだ。
「トランプ大統領・文大統領・金委員会がノーベル平和賞を受賞するかも!」という話は、北朝鮮の不用意な言葉で一瞬で遠い過去になった。

やっぱり世の中には、上り坂と下り坂と「まさか」という坂があるらしい。
本当に言葉はオソロシイ。

 

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