礼儀正しい日本人、世界で戦うにはマリーシア(ずる賢さ)が必要

 

10月16日、日本サッカーは覚醒した。
FIFAランク5位でになったウルグアイに、54位の日本が勝ってしまった。

ウルグアイといえばW杯優勝が過去2回、6月のロシアW杯ではベスト8まで進んだ強豪国。
一方、日本といえばW杯でちょーがんばっても、ベスト16が過去最高の国。

でもこれだけ期待値を上げておいて、いざ試合をしてみたら、アジアの国にあっさり負ける「がっかりジャパン」に戻りそうな気がしないわけでもない。
とにかく1月のアジアカップは頑張ってほしい。

ウルグアイ戦の前、日本代表のベテラン長友選手は、いまの若手にはタフな精神力やずる賢さが必要と指摘していた。
相手に「精神面でダメージを与えると駆け引きとか勝負は変わってくる」と言う。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

異次元の弱さ→史上最強へ。日本サッカーに必要な”ずる賢さ”

 

でも、駆け引きが必要なのはサッカー選手だけじゃない。
礼儀正しくてルールをしっかり守ると世界で評判の日本人も、外国人を相手をするときはずる賢さがあったほうがいい。
海外旅行での値段交渉は結局だまし合いだから、誠意や正直さなんて隠すべき。

国際化の時代では、ルールを上手に破ったり相手をだましたりするずる賢さが必要だと思う。

 

 

長友選手の言うずる賢さをサッカー用語で「マリーシア」という。

マリーシアとはそのまま「ずる賢い」という意味のポルトガル語。

「サッカー基礎講座」ではこんな説明をしている。

情報戦、心理戦であり、常識外れであり、相手を惑わし煙に巻くことに通ずる。不利な状況でこそ発揮される頭脳プレイである。

マリーシア

 

マリーシアとは審判や相手選手をあざむく行為や駆け引きのこと。

具体的には、自分に有利な判定になるよう審判にアピールしたり、PKをもらえるようにペナルティーエリア内で上手に倒れることなどをいう。

 

日刊スポーツの記事(2010年5月28日)で、ブラジル出身の田中マルクス闘莉王選手も日本代表に「マレーシアのすすめ」をしていた。

南米の強豪ブラジル、アルゼンチンではマリーシアというキーワードがある。ただひたむきに、ばか正直にという考え方とは対極にある概念だ。相手をいらつかせたり、冷静さを失わせるための駆け引き、時にはファウル覚悟で失点を防ぐこともある。

「闘莉王、日本もっとマリーシア!ずる賢く」

長友選手と言っていることは同じだ。
礼儀正しくルールを守るという点で、日本代表は変わっていない。
行儀よくまじめなんて出来やしなかった、というプレーをしてもいいと思う。

 

中東のサッカー選手は時間をかせぐために、よくピッチ上に倒れ込む。
自分たちが勝っていてそのまま逃げ切りたいときに、原因不明の倒れ込みをしやがる。
それで日本では「中東する」、韓国では「ベッドサッカー」なんて呼ばれているけど、これもひとつのマリーシア、相手をいらつかせたり冷静さを失わせるための駆け引きだ。
「賢さ」は抜けているような気はするけど。

でも、チームが勝ち切るために、自分が批判を受ける覚悟は見習っていいと思う。

 

 

世界で戦う日本人には、マリーシアのようなちょっとしたずる賢さやルール違反が必要だ。

「GLOBIS 知見録」の記事(2007年08月24日)で、HOYA株式会社の最高執行責任者・浜田 宏氏が、グローバル時代に日本人が外国人を相手に戦うために必要なものについて話をしている。

それによると、外国人とコミュニケーションをとるときには、相手の話に耳をかたむけて丁寧に聞いていてはダメ。
相手の話が終わっていないけど、自分が話し始めてしまう。それで自分の考えを相手に伝えさせる。

日本では失礼なやり方だけど、弱肉強食の世界ではそんな強引なやり方も必要。
浜田氏は「最後はガッツしかないですね」と強調する。

日本流の礼儀正しさを壊すことで、浜田氏は世界で通用するコミュニケーション術を身につけたと話している。

私が、なぜ、うまくならなかったかというと、「人の話を遮るのは失礼だ」という何年にも渡って積み重ねた、日本人としての価値観を壊すことが、できなかったから。

「グローバル」 日本人が世界で戦うために必要なもの

 

日本人が世界で戦うには、ちょっと失礼なぐらいの強引さやマリーシア(ずる賢さ)のようなテクニックがほしいと思う。

 

 

おまけ

「アジジ作戦」って知ってますか?

これもマリーシアのひとつかもしれない。
1997年にイラン代表のアジジ選手がおこなった情報戦で、日本のサッカーファンの間では”伝説”になっている。

「試合前の練習でアジジが大けがを負ってしまった」というウソを、チーム一丸となって演じたもの。

「サッカーネット用語辞典」にはこう書いてある。

試合前日、報道陣の前に車椅子で現れたにも関わらず、翌日の試合にスターティングメンバーとして出場した事件のこと。試合に出場するのは難しいと思わせる、イラン側が仕掛けた情報作戦である

アジジ作戦

 

車椅子に乗って泣きそうな顔で現れた次の日、アジジ選手は試合にスタメン出場して1ゴールを決める。
マリーシアは「ちょい悪」だけど、アジジ作戦は極悪非道の言語道断レベル。

でも、この試合に勝ったのは日本。
これが日本のワールドカップ初出場を決めた試合で、いわゆる「ジョホールバルの歓喜」だ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。