平成28年に外務省・北東アジア課が公表した「最近の日韓関係」という資料がある。
そこには「最近の日韓間の主要な懸案事項」として次の６点があげられていた。
・竹島
・慰安婦問題
・朝鮮半島出身の「旧民間人徴用工」をめぐる裁判
・日本産水産物等の輸入規制
・日本海呼称問題
・仏像盗難事件
このうちの慰安婦問題と徴用工問題は、いまでは日韓関係の懸案事項ではなくて「クリティカルヒット（致命的打撃）」になっている。
「和解・癒やし財団」を解散すると発表して、2015年の日韓合意を白紙にする。
徴用工訴訟では1965年の日韓協定をひっくり返す。
どちらも韓国側の責任だ。
こういう大きな動きに隠れていたけど、そういえば対馬の「仏像盗難事件」もまだ未解決のままだった。
対馬仏像盗難事件というのは、2012年に韓国人の窃盗団が対馬市の神社や寺院から、仏像２体などを盗んだ事件。仏像はいずれも重要文化財の宝物。
でも本当の“事件”はこのあと起きた。
韓国の裁判所は盗まれた仏像の返還を事実上拒否したのだ。
それでも１体は対馬に返還されたけど、まだ１体は韓国にある。
日本から仏像が盗まれた。
しかも裁判所が「お墨付き」をあたえてしまい、日本に戻って来ない。
それでこれほどの外交問題になってしまった。
くわしいことはここを開いてプリーズ。
窃盗団はもともと不法集団だから、存在自体に問題がある。
でも韓国の場合、司法にもっと大きな問題がないか？
日本企業が敗訴した徴用工訴訟でもそうだけど、韓国では司法までも、国民感情にもとづいて「反日無罪」の空気に流されているような気がしてならない。
おまけに言うと、２年後の2014年にも対馬で別の仏像が盗まれてしまった。
こんなことを思い出したのは、中央日報の記事（2018年11月27日）を見たから。
対馬の盗難仏像めぐり韓日市民が大討論会を開催
大討論というのは“荒れた”ということか？
日本側の意見は「盗まれた仏像は元の所有者に返すべき」と思っていた。
興味があるのは韓国側の主張だ。
この窃盗をどう正当化するのか？
記事には、討論会に参加したキム弁護士の言葉がある。
「自分のものではないことを知りながらも所有者の意思に反して物を持ち帰ったとすれば、占有取得時効が認められない」
盗まれた仏像はもともと韓国の「浮石寺（プソクサ）」にあったもので、浮石寺の意思を無視して日本側が奪ったとしたら仏像の所有権はまだ浮石寺にある、ということらしい。
キム弁護士は「倭寇」が奪ったと主張。
「倭寇が仏像を保管していた瑞山浮石寺の同意もなく略奪していったとすれば、これに該当する」
この弁護士だけでなく、韓国で仏像返却に反対する人はこの「倭寇略奪説」を支持している。
ではこれに対して、日本側はどう反論したか？
大阪経済法科大学客員研究員の森本和男氏はこう言う。
「仏像に焼けた痕跡があるからといって、倭寇が仏像を略奪したとするのは行き過ぎた飛躍」
御意。
なんで仏像に「焦げたところ」があると、倭寇に略奪されたことになるのか？
想像力は無限大といっても、これは無理があり過ぎる。
小説家が仏像の「焼けた痕跡」を見て、数百年前に日本の海賊が韓国の寺に押し入って仏像を奪ったという物語を書くのはいい。
韓国の場合、それを裁判所が認めてしまい、日本への返却を拒否してしまうのだ。
さすがアメージング・コリア。
森本氏は略奪とか言う前に、「所有の意志を持って取得した占有物は一定期間が過ぎれば取得者の所有」という日本と韓国の民法を持ち出して、「仏像をひとまず対馬の観音寺に返すべき」と言う。
御意。
韓国側の主張は「持ち帰ったとすれば」とか「略奪していったとすれば」とか、結局は憶測でしかない。
それに対して日本側は、事実と法を根拠に話を進めようとしている。
これだと日本が勝つように見えるのだけど、韓国ではこれが通じない。
平行線をたどるだけで、なぜか互角の戦いになってしまう。
慰安婦問題でも徴用工問題でも、韓国はとにかく日本に対して「過ち」や「負け」を認めたくない。
自分が「下」になるような立場には立ちたくないのだ。
それを回避するためなら、何を主張してもかまわない。
韓国とはそんな空気が支配する国。
この大討論の記事を読んでそう思った。
２年後の「最近の日韓間の主要な懸案事項」でも、「日本産水産物等の輸入規制」以外は平成28年のものをコピペできるはず。
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