近くて遠い国|日韓関係の現状
日本と韓国は、物理的な距離は近いものの、歴史認識において埋められない溝があるため、「近くて遠い国」とよくいわれる。
しかし最近、日韓関係は改善傾向にある。
過去の世論調査の結果に比べると、相手の国に好印象を持つ国民も増えている。
たとえば、内閣府が2025年に発表した世論調査では、「韓国に親しみを感じる」と答えた人が56.3%と、半数を超えていた(内閣府「外交に関する世論調査」)。
また、韓国側でも日本に対するイメージは上昇中だ。

SNSで話題(?)の「釜山病」
しかし、日韓のあいだには玄界灘よりも深い、「歴史認識」という溝があることを忘れるわけにはいかない。
日本人の韓国旅行といえばソウルが圧倒的で、日本人観光客の8割がソウルに集中しているという指摘もある。
一方で、日本人にとって韓国で2番目に人気のある都市が南部の釜山だ。
韓国の全国紙・朝鮮日報の報道によると、今では釜山が好きすぎて、ある「奇病」にかかる人が続出しているという。
(2026/08/01)
台湾・中国・日本のSNSを埋め尽くす「釜山病」とは?
釜山を旅行してすっかりハマってしまい、帰国した後も釜山が恋しくてたまらなくなる状態が「釜山病」だ。
今、日本・中国・台湾では釜山のトリコになる人が続出し、SNSは「釜山病」という言葉であふれているという。
まぁ、これは韓国メディアらしい誇張表現で、実際には「釜山病」という言葉を知らない日本人、台湾人、中国人がほとんどだろう。
しかし、釜山を訪れる観光客が増えていることは間違いない。
釜山が人気を集める3つの魅力
釜山が人気を集める理由には、大きく以下の3つが挙げられる。
1. 圧倒的な写真映え
釜山には、とくに若い旅行者を歓喜させる「写真映えするスポット」が多くある。
リゾート地の海雲台(ヘウンデ)では、1キロ以上もつづく白い砂浜のビーチがあり、近くの高層ビルと合わせて印象的な写真を撮ることができる。
また、山の斜面にカラフルな家々が立ち並ぶ甘川(カムチョン)文化村も、インスタ映えの「聖地」として有名だ。
ほかにも、広安里やブルーラインパーク海岸列車、BUSAN X the SKY展望台などなど、釜山にはSNSに映える場所が多くある。
ただし、甘川文化村については「暗部」があり、「観光地としてすすめたくない」と語る釜山出身の韓国人もいる。

2.優れたコストパフォーマンス
ソウルに比べて、物価が安いのも釜山の良いところ。
手ごろな料金で良いホテルに泊まり、美味しいグルメを楽しんだりすることが可能だ。
とくにデジクッパやミルミョン(小麦粉麺の冷麺)といった地元の名物料理は、コスパ重視の旅行者に愛されているという。
3.アクセスの良さ
飛行機を使えば福岡からは約1時間、関西や中部地方からも2時間以内に、金海(キムヘ)国際空港へ到着することができる。
国内旅行のような感覚で、気軽に遊びに行くことができるのも釜山の大きな魅力だ。
ということで、写真映え、コスパ、アクセスの良さが日本人を引きつけ、ネットで「釜山病」をまん延させる大きな要因となっている。
釜山出身者が語る大きな魅力「人情味」
釜山の魅力はきれいな景色や、美味しくて手ごろな食べ物だけではない。
ことし日本で知り合った釜山出身の韓国人に言わせると、最大のストロングポイントは「情」だ。
これは主観と地元愛にあふれた彼女の意見だが、「冷たいソウルの人間と違って、釜山の人間は人情味があって温かい」という。
外国人旅行者にフレンドリーに話しかける人が多いし、道に迷って困っている人がいれば放っておかない。
時にはその親切度が高すぎて、若干「うざ…」と感じてしまうほどだとか。
ソウルに住んでいた知人のアメリカ人も、釜山の人たちは気さくで人懐っこいと話していた。
先ほどの韓国人女性の考えでは、人情味において「ソウル<釜山」となる理由は、地理と歴史にある。
釜山は昔から「港町」として発展してきた。
外部から頻繁に新しい文化や人が流れ込んできたため、自然とさまざまな背景を持つ人たちを迎え入れる文化が生まれた。
だから、釜山人は「よそ者」に対しても壁を作らず、温かく接するという。
繰り返すが、この見方にはきっと彼女の「郷土愛」が込められている。
日本人にとって釜山の魅力は、素敵な風景・美味しいグルメ・気軽さの3つに加えて「人間味」があるのだろう。
だから、「釜山病」にかかってしまう。
観光都市に影を落とす「反日通り」
しかし、釜山は韓国の都市である。
日本人にとっては明るく魅力的な面が多い一方で、「ダークサイド」もあることを忘れてはいけない。
韓国に長く住み、韓国事情に精通しているジャーナリストの黒田勝弘氏が最近、産経新聞のコラム(ソウルからヨボセヨ)で釜山についてこう嘆いた(2026/7/25)。
釜山に〝反日通り〟とは 反日団体が制止振り切り設置 国際都市が看板なのに
釜山には日本総領事館があり、その近くの大通りに大きく「ハンイルコリ(抗日街)」と書かれた文字板が掲げられているという。
「日本を代表する在外公館の周辺が〝反日通り〟とは、ひどい嫌がらせである」と黒田氏は怒る。
2019年、文在寅(ムン・ジェイン)政権下で「反日不買運動」の嵐が吹き荒れていたとき、地元の市民団体が当局の制止を無視して、勝手にこのような大型の表示物を設置したという。
日本政府は抗議して撤去を要請したが、韓国政府は応じなかった。
地元当局も撤去を訴えてきたが、この文字板はいまもそこにある。
釜山は国際都市なのに、〝反日通り〟の大きな看板があることは「国際的非常識」であり、釜山の魅力を損ねていると黒田氏は指摘する。
韓国社会にある「光」と「闇」
しかし、韓国では国民感情が「絶対的」であり、誰もそれに逆らえない空気がある。
以前、市民団体が釜山の日本総領事館前に慰安婦像を建て、区長が法にしたがってそれを撤去した際、世間から袋だたきにされてしまった。
「法が国民感情に勝つことはできない」と区長は白旗をあげた。

この看板については否定的な見方をする市民も多いだろうが、「歴史認識において、日本には絶対に妥協できない」ということは韓国国民の常識になっている。
それは日本人も同じだから、日韓の溝は埋まらない。
日本人が韓国を旅行すると、一般的には楽しい思い出がたくさんできて、「反日」を感じることはほとんどない。
しかし、韓国社会には、日本に対して否定的な見方が根強くある。人によっては、「釜山病」という熱が一気に冷めるほどの衝撃を受けるかもしれない。
日本人が韓国を旅行すると、全体的には高い満足度を得られるだろうけど、「闇面」が潜んでいることも忘れてはいけない。
目には見えなくても、「反日通り」があるのは釜山だけではないのだから。

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