SNSにはびこるヘイトベイト(怒りの餌)
SNSで稼ぐには、まず投稿や動画を見てもらわないと話にならない。
しかし、星の数ほどいるライバルの中で、視聴者にクリックしてもらう作品をつくるのはとても難しい。
そのため、つい「ヘイトベイト」に手を出してしまう人は本当に多いのだ。
タイムラインを見ていると、ある投稿に目が止まり、瞬間的にイラッとなって、ついその投稿をクリックしてしまう経験は誰にでもあるだろう。
意図的に人びとの怒りや反発、不快感を引き起こすことで、多くのコメントやシェアを獲得するテクニックを「ヘイトベイト」という。
直訳すると「怒りの餌(エサ)」だ。
動画の紹介を見て「何だこれは、ふざけんな!」と思ってしまうと、その投稿を無視することは難しく、ついついクリックして中を見てしまう。
そして、コメントを書き込んだりシェアしたりすると、それは相手の罠にハマることを意味し、相手に利益をあたえることになる。
魚がパクっと食いつくように、怒りを餌にして視聴者を釣り上げる手法が「ヘイトベイト(Hate bait)」だ。
餌の種類には、AIで事実をねつ造する場合もあるし、一部の過激な意見を取り上げて大きく見せるパターンもある。
あえてターゲットの感情を逆なでするのは、「怒り」という強い感情を刺激するとターゲットが食いつきやすく、閲覧数が増えて投稿者の儲けにつながりやすいから。
全国紙が「怒りの餌」を使う韓国
まとめサイトと大手メディアの違い
特定の人や組織に敵意を向けさせることで、自分が利益を得るためにヘイトベイトを投じる個人アカウントやまとめサイト、ネットメディアは無数に存在する。
しかし、社会的な責任を持つ大手メディア、たとえば全国紙が、匿名の書き込みを元に記事を作成することは通常ならあり得ない。
炎上商法をすれば、メディアとしての品格と信頼を失ってしまうからだ
(視聴者の怒りを特定の政党や人物に向けるような、グレーな報道をすることはあるけれど)。
しかし、韓国ではすこし事情が違うようだ。
本来なら「社会の木鐸」(人びとを目覚めさせ、社会を正しく導く存在)であるはずの大手新聞社が、いい加減な根拠を元に「反日感情」をあおるヘイトベイト記事を掲載することが珍しくない。
熊本地震をめぐる韓国紙の報道姿勢
たとえば、朝鮮日報が掲載したこの記事だ(2026年8月7日)。
「韓国産の水は飲みたくない」…熊本の地震救援物資支援にも日本の一部ネットユーザーが暴言
大韓航空が熊本県の被災者に1万2000本のミネラルウォーターを提供すると、ある日本のネットユーザーがX(旧Twitter)に「韓国産の水は飲みたくない」「水洗トイレの水くらいしか思い浮かばない」と書き込んだという。
この投稿には「韓国の支援は必要ない」「賞味期限切れの在庫処分でないことを願う」といったネガティブなコメントが続いた。
もちろん、韓国企業の支援に感謝したり、支援行為をけなすコメントを批判したりする意見も少なくなかった。
記事は、別の韓国企業の支援活動を紹介して終わっている。
全体的に、「韓国は救いの手を差し伸べているのに、日本は韓国を侮辱した」という印象を受けた。
タイトルだけを見ただけでも、韓国の読者がこの記事を読んだら、日本に悪感情をもつことは想像できるだろう。
「韓国産の水は飲みたくない。水洗トイレの水くらいしか思い浮かばない」という嫌韓コメントは、KBS(韓国放送公社、日本でいえばNHK)も報じていた。
これらの記事は「ヘイトベイト」と呼ぶのが妥当だ。
匿名の暴言を拾い上げるメディアの思惑
AIに推測してもらったところ、今回の熊本地震について日本のSNSに投稿された件数は数千万件にのぼるという。
その膨大な投稿の中から、ピンポイントで「韓国産の水は飲みたくない。水洗トイレの水くらいしか思い浮かばない」という超例外的なコメントをなぜ選び出したのか。
悪意に満ちたコメントをわざわざ読者に紹介する姿勢の根底には、悪意があったのではないか。
選択基準が不明なら、これを報道する社会的な意義も見当たらない。
わざわざ「暴言」を見出しに取り上げたのは、読者の「怒り」を引き出して記事を読ませることが目的だろう。
記事の中身も、韓国の善性をアピールして日本の「恩知らずぶり」を強調し、その“期待”に応えている。
そもそも韓国メディアは投稿主を「日本のネットユーザー」と断定しているが、情報開示請求をしたわけでもなく、その正体は誰にも分からない。
日本人以外の人物の仕業かもしれないし、AIによる自動投稿かもしれない。
だからこそ、日本の全国メディアだったら、こんな正体不明の投稿を元にニュースを作成し、報道することはない。
AIも認めた韓国紙の「ヘイトベイト」報道
ただし、以上はボクの主観的な見方だから、AIに客観的な意見を聞いてみた。
すると、「この記事の見出しと構成は『ヘイトベイト』の性質を非常に強く持っていると評価できます」と、ほぼ同じ見解が示された。
理由はおもに以下の2つだ。
・最も攻撃的で韓国の読者の感情を逆なでする少数の書き込みを意図的に拾い上げ、見出しに採用している点。
・「善意で支援したのに、こんな侮辱を受けた」という構図が、読者に強烈な怒りや不公平感、ナショナリズムを引き起こす点。
韓国の読者はこのニュースを見て「怒り」をかき立てられ、爆発的に拡散したと思われる。
裏付けのない情報がもたらす実害
韓国の全国紙がいい加減な情報をもとに、「怒りの餌」同然の記事を掲載したことは先日もあった。
ある韓国のユーチューバーが京都のレストランで、日本人と外国人では違う「二重価格」が設定されていると動画で主張した。
しかし、これはユーチューバーの誤解であり、その店は「ぼったくり」なんてしていなかった。
このデタラメな情報を韓国の全国紙を含むさまざまなメディアが報じた結果、店は韓国のネットユーザーによる「低評価爆撃」を受けて大ダメージを負った。
後から間違いだったと分かっても、韓国メディアが店に謝罪することはない。

韓国メディアがあたえる日韓関係への悪影響
日本のメディアも完璧ではないとはいえ、どこの誰が書いたかも分からない匿名の投稿や、素人ユーチューバーの動画を裏付けもせずに全国ニュースにすることはない。
それは、メディアにとって自殺行為になるからだ。
ネットユーザーがネット上でヘイトベイトをまき散らし、社会が感情的になっている時にブレーキをかけるのが大手メディアの使命だと思うのだけど、どうやら韓国では違うらしい。
メディアみずから「怒りの餌」をまいて、国民の反日感情を増大させているように見える。
記事の中で、韓国の支援に感謝するコメントにも触れたのは、「バランスを取っています」というアリバイのためで、そもそもあの暴言を大々的に報道する必要はなかった。
日韓関係を悪化させている原因の一つに、こうした感情を刺激する韓国メディアの報道姿勢がある。

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