日本に住む韓国人の嘆き ニュアンスの違いから生まれる“誤解”

 

サッカーのアジアカップで、日本代表は最有力候補と高く評価されていたが、世界ランキングでは「格下」のイラクに「1−2」で敗れてしまった。
日本のスポーツニュースサイト「THE ANSWER」によると、韓国の各メディアは過激な表現を使って、この敗戦を伝えたらしい。(2024.01.20)

日本敗戦を煽る韓国メディア、辛辣な表現並ぶ「ドーハの悲劇リターンズ」「恥さらし」「全て偽物」

あちらのメディアはこんな報道をする。

・日本はアジアカップ優勝の最有力候補と言われていたのに、イラク代表の前に恥をさらした。
・FIFAランキングでアジアトップの日本は、アジアには敵がいないという自信があったが、すべて偽物になった。
・1993年のワールドカップ予選で日本が土壇場でイラクにゴールを許し、引き分けて本戦行きを逃した「ドーハの悲劇」を引き合いに出して、「ドーハの悲劇リターンズ」と表現した。
・日本のエース、久保選手については「恥さらし」「試合中はどこにいるのか見えないほどだった」「なぜプレーしているのかわからないほど不便な選手」とぶった切る。

一方で、イラクに対しては「完璧な勝利だった」と称賛した。

日本のファンもイラク戦については、確かにあれはヒドイ内容だったと認めている。
とはいえ、“恥さらし”や“偽物”といった表現については、「韓国に言われたくない」と怒ったり、「翻訳はあってるの?」と疑問を抱いたりする人も多かった。

韓国メディアがこんな表現を使ったことは間違いないのだろうけど、これが本当に「辛辣」で、日本の敗戦を煽ったのかは微妙。
以前、「日韓では言葉のニュアンスが違うんですよ〜」と言っていた、韓国人の不満そうな顔が思い浮かぶ。

 

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日本人も中国人も「國」や「氣」なんて漢字は使わないけど、言いたいことは分かる。

 

2019年に、当時の文大統領が日本を「盗っ人猛々(たけだけ)しい」表現し、佐藤副外務大臣が「品のない言葉まで使っているのは異常だ。日本に対して無礼だ」と発言するなど、日本人の怒りを買った。
でも、そのころ日本で働いていた知人の韓国人は、「あれはニュアンスが違うんですよ〜。はっきり言って誤訳です。文大統領は日本を“泥棒扱い”なんてしていませんし、日本人はカン違いして怒っているんですよ〜」と不満を言っていた。

西日本新聞がそれについて報じている。(2019/8/8)

文大統領の発言、翻訳で火に油? 報道「盗っ人たけだけしい」 専門家「加害者が居直ること」

このとき文大統領は「賊反荷杖(적반하장:チョクパンハジャン)」という言葉を使った。
この韓国語の表現は日本語には無いから、直訳することができず、日本のメディアは専門家の意訳を採用し、「盗人猛々しい」という訳語を使った。
辞書にもそう書いてあるから、この日本語訳に間違いはない。

しかし、韓国語の専門家の中には、「賊反荷杖」を「盗っ人猛々しい」と日本語訳すると、もとの意味よりも厳しい表現になると指摘する人もいた。
知人の意見も同じだ。
韓国では「賊反荷杖」は「開き直る」や「居直る」といったニュアンスで、「盗っ人猛々しい」は言い過ぎになる。
実際、まわりの日本人で、「日本=泥棒」と言われたとカン違いして怒る人もいた。
文化の違いで言葉も微妙に変わってしまい、それが日本の怒りを増幅させる結果になったと彼は嘆く。
この韓国人からすると、「盗っ人猛々しい」と表現した日本のメディアが「煽っている」と感じたはずだ。

言葉の受け取り方は個人の感覚によって違うから、受ける印象も人それぞれだ。
「賊反荷杖」の意味については、客観的な辞書に「盗っ人猛々しい」という訳語があるから、それを使うのは中立的で、上の場合はそれが正しい。
とはいえ、日韓関係が悪化すると、日本に住む韓国人が影響を受けるから、彼は日本に来てから、政治や歴史に関わる問題に特に敏感になった。
だから、火消しのために、「あれはそんな強い言葉じゃないんです!」とボクに訴えたと思われる。

 

日本と韓国では文化が違うから、言葉の感覚も違う。
韓国の政治家やメディアの国内向けの言葉を日本人が聞くと、誤解を招き、新しい問題を引き起こす可能性がある。
文大統領が「盗っ人猛々しい」と発言し、佐藤副外務大臣が「無礼だ」と反応すると、今度は韓国外交部が、副大臣が大統領に「無礼だ」と言うのは「常識外れ」だと日本に抗議した。
すると、そのニュースが日本に伝わり、日本人の間で怒りが広がり…と、2019年には怒りの連鎖が生じた。

 

今回、韓国メディアが日本の敗戦を「ドーハの悲劇リターンズ」「恥さらし」「全て偽物」と表現したことは、それを直訳すると、日本人には「辛辣」に聞こえてしまう。
日本人はマイルドに表現するから、韓国代表が試合で負けても、日本のメディアならこんな過激な言葉は使わない。
でも、韓国人の感覚からすると、スポーツの試合でメディアがこうした言葉を使うことはよくあって、それほど強烈なものではないと思う。
韓国メディアは韓国のスポーツ選手や政治家にも、かなり厳しい言葉を使う。
メディアは読者の注目を集めたいから、見出しには特にキャッチャーな言葉を選ぶ。

しかし、韓国人の感覚や韓国語のニュアンスを知らない日本人が、「恥さらし」「偽物」と言われているのを知れば、反発するのは当然。
日本人の間でも、「そういうつもりじゃなかった!」という行き違いは起こるし、外国人が相手だとそれは避けられない。
日韓の場合、メディアがお互いに相手の事情を伝えるから、理解と誤解が広がりやすい。
それが原因で「日韓戦」がはじまると、「いや、アレは違うんですよ〜」と周囲に説明する在日韓国人や在韓日本人がきっと出てくる。

 

 

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3 件のコメント

  • 言葉のニュアンスの違いは、韓国に限らずどの国も共通で抱えている問題ですよ。
    だからこそ不必要な外交摩擦を産まないよう政府公人や主要メディアは、極限まで言葉の角を丸めた外交修辞を使うのが国際常識的マナー。

    情報取得や発信が新聞テレビで独占可能だった時代は、双方の暗黙の了解により報道自粛を掛けられたのでしょう。
    しかし十数年前からインターネット経由で個人が他国の国内向け記事を閲覧し、翻訳して再発信が可能な時代となりました。
    だからこそ国内向け発言でも、相手国にどう受け取られるか言葉に気を付けなければなりません。
    たとえその場で流しても、言われた側はまず忘れませんよ。

    韓国人自身が同朋に自省を促さず、言われた側にのみ責任転嫁を続ければ韓国人全体の評価が下げられるでしょう。

  • 私が最近主に私のブログに書く文が韓国メディアの反日的記事に対する批判です。
    韓国の記者たちはたいてい民労総という左派労働組合所属です。そこで、彼らは日本の不幸な出来事を重点的に報道します。野球についてですと、日本人選手の坂本勇人が女性に強制堕胎を強要したという記事や、中田翔が同僚に暴行を加え、チームから追い出されたという記事を先を争って報道します。そう言いながらやたらに非難します。 例えば、坂本は「すべての女性の敵」と非難し、中田は「遊び人」と書きます。そんな記事を読んだ読者は、日本のプロ野球にはあんなゴミが多いということだと思うでしょう。メジャーリーグの日本選手に対しても敵対感を示しています。菊池雄星は頭金ほど成績を出せないとして、「먹튀(食い逃げ(お金だけ食べて逃げるという意味))」と非難します。そういう記事を読む韓国のファンは、”やっぱり日本のやつは病身だし、韓国の選手は偉大だな”と感じますよね。
    韓国の記者たちがこのように反日的な記事を書く理由は、韓国では反日ビジネスがお金を作ってくれるからです。反日記事をうまく書くと人気を博し、左翼に見えない援助を受けるようです。

  • わたしが見る韓国メディアの記事は日本語版です。
    だから、韓国語の記事を見ると、過激な表現が多くて驚きます。
    韓国人の読者はそれに慣れていて、メディアはさらに刺激の強い言葉を使うのでしょうね。
    悪循環です。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。