【日本と韓国】韓国人が感じた生活リズム・対人関係の違い

最近、20代の韓国人男性のシン・チャング(仮名)と話をしたから、それをまとめてこんな記事を書いた。

【舌と自転車】日本の生活で、20代の韓国人が変わったこと

今回はその第二弾。
チャングは今年の4月から9月まで静岡の大学で学んだ後、母国に戻り、現在は大田(テジョン)市にある大学に通っている。

じつは、日本と大田市には深い関係がある。1904年に鉄道が建設されると、多くの日本人が大田に移住するようになり、1914年には日本人住民が3435人だったのに対し、朝鮮人住民は1556人だった。
現在の大田市の都市設計には日本人が関わっているのだ。
こうした歴史から、大田市を「ふるさと」のように感じていて、文学館を建設する際には100万円を寄付した日本人もいた。

日本とゆかりのある大田市に住んでいるチャングに、日韓の生活リズムの違いや対人関係の距離感について話を聞いた。

 

大田市のマスコットキャラ、クムドリ(꿈돌이)

目次

生活リズムの違い

ーーチャングは日本に半年ほど住んでいて、韓国の生活とどんな違いを感じた?

一言でいうと「リズム」ですね。韓国人はスピード重視で、日本人はのんびりしているな、という印象を受けました。
韓国人は何でも早く終わらせるのが気持ちよくて、それが「よし、次に進もう」という前向きな気持ちにつながるんです。

ーーたしかに韓国には「パリパリ(急げ急げ)」文化が根づいている。
以前、久しぶりに知人の韓国人とネットで話そうと思って連絡して、お互いの都合を合わせようとしたら、すぐに電話がかかってきて「今から話しましょう」と言われて驚いた。

THE・韓国人ですねw。日本人は段取りを重視しますけど、韓国人はその場で決めて行動することが多いです。日本で生活していて、そんな国民性が社会に表れていると思いました。

ーーそうは言うけど、チャングは韓国の大学に復学してから、バス通学をやめて自転車で通うことにしたんだよね? それだと移動時間が倍以上になると思うけど。

だからこそ、なんです。
日本ではゆっくり生活していて、周りの風景を楽しむ時間が多かったんです。それが、帰国して韓国式の生活に戻ると、いつも急かされているみたいで、ストレスがたまってきました。
日本にいたときは留学生だったので授業が少なくて、今は卒業制作をしていて忙しいという事情もありますが。

ーー目の前のことに全集中するんじゃなくて、周りの環境に意識を向けることで心に余裕が生まれる、みたいな感じ?

そうですね。自転車通学は本当に日本的なもので、韓国にいたら絶対にそうしようとは思いませんでした。今の生活の8割は韓国のリズムで、少しだけ日本の要素を取り入れて、自分に合った生活ができるようになったんですよ。

ーー日本に住んでいた韓国人の話は何度も聞いたことがあるけど、そんな変化を聞くのは初めてで新鮮だな。

 

※イスラム圏の生活は日本の数倍ゆっくりしていて、「ゆとり」と「くつろぎ」を合わせた「ラーハ」という文化がある。韓国の「パリパリ精神」と正反対にあるのがラーハだと思う。

【異文化交流】中東・イスラム世界で味わう“ラーハ体験”

 

チャングにもらったラーメン。
その時は気がつかなかったけど、これは多分クムドリだから、大田市のご当地ラーメン?

対人関係の違い

ーー次はヒトについて聞きたい。チャングが留学していて、いろんな日本人と交流してみて、日本人と韓国人の付き合い方について何か違いを感じた?

ぼくが付き合ったのは、20歳前後の若い日本人が多くて、たまに40代や50代の人と話をしました。その経験から言うと、日本人と韓国人では距離感の取り方が違うと感じましたね。

ーー対人関係で、韓国人は距離が近くて、日本人は遠い。

いえ、韓国人はすごく近いんです。たとえば、日本人に比べて、韓国人はボディタッチがすごく多いんです。女性同士でも手をつないで歩くことがありますよ。

ーー日本では「親しき仲にも礼儀あり」が大事にされているから。

その価値観が違うと感じました。韓国では、知らない人や年上の人と接する場合は礼儀が大切ですが、同年代の友だち同士だと礼儀はほとんどありません。礼儀があったら、仲良くなれないじゃないですか。

ーー日本に住んでいた20代の韓国人女性からも、そんな話を聞いたことがある。彼女が仲良しの日本人女性とご飯を食べに行ったとき、友人は自分が注文したものだけを食べた。
その韓国人は2つの食べ物をテーブルの真ん中に置いて、シェアしながら食べると思っていたので、感覚の違いにちょっとガッカリしたらしい。

わかります。日本人は他人を尊重して、すごく礼儀正しいので、相手のゾーンに踏み込みません。いつも一定の距離を保っている感じがして、イマイチ仲良くなった気がしませんでした。そこは残念でしたね。

ーー日韓のその辺の文化の違いはどうしようもない。韓国人が“普通”の感覚で接してくると、日本人にはグイグイこられるような圧迫を感じることが多いと思う。

でも、大阪人と韓国人は感覚が合うらしいですよ。

ーー日本人と大阪人の感覚はちょっと違うから、なんて言うと怒られるかな。

 

そういう文化の違いが、さっき言った生活リズムの違いと関係していると思うんです。

ーー韓国の生活にはスピード感があって、日本の生活はのんびりしているってやつ?

はい。韓国人は「相手もきっと同じだろう」と自分中心に考えるから、即断即決ができます。でも、日本人は「自分がこうしたら、相手はどう思うだろう?」と他人に配慮しながら行動するので時間がかかります。
もちろん個人差はありますが、日本で生活していてそんな印象をもちました。

ーーなるほど。日本は古代から「和を以て貴しとなす」の国で、協調性が大切にされてきたから、その説はあるかも。国民性が社会を作ったのか、それとも社会が国民性を作ったのか分からないけれど。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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